燕と雀の姉妹
子ども頃に読んだ昔ばなしで、親のお弔いの時に、姉娘は黒い着物を着て、しゃれこんでいて働かず、妹がすすけた着物のまませっせと働いていたのを、お天道様かお釈迦様が見ていて、姉を燕に、妹を雀に生まれ変わらせたという話を読んだことがあります。
燕は黒い着物のまま、泥の中に嘴を入れてそれで巣作りをしたり、虫をついばんだり。それに対して雀は茶色のすすけた羽色だけど、穀物をついばんでいいと定められました。そういうお話でした。
燕が農家の納屋や民家の軒先に巣を作るのは、烏や猛禽から雛を守る為、人の近くを選ぶ、また人も燕は農作物の害となる虫を餌とするからそれを拒まないとも、話を聞きます。軒に燕が巣を作るのは幸運の印とも言います。
姑は糞害を嫌って、一度燕が巣作りしようとしたのを追っ払って以来、我が家に燕は来ませんが、町内の歯医者さんやスーパーでは毎年燕が巣を作っております。先週歯医者さんに行ったら、丁度抱卵しているらしく、巣からはみ出したスワロウテイルが動かずじっとしていました。
雀は作物を荒らすからと出穂すると田んぼでは雀除け対策に、農家の方々は苦労なさっているようです。
かつての毛沢東が雀は作物を荒らす害鳥だと駆除したそうです。あちらの人海戦術で雀が激減したそうですが、雀は農作物だけでなく、虫も食べていたので、その虫は雀についばまれない分無事に成長して、農作物を食い荒らす、蝗害の飢饉。その後雀を保護。これも子どもの頃に読んだ小鳥の本の内容です。何事も極端はいけません。
燕も雀も空をゆくのが自然に見られるのが、食物連鎖として良いのだろうなぁと一人勝手に思っています。
ところで、わたしはウンカを見たことがありません。もしかしたらあるのかも知れませんが、区別がつきません。
祖母から、昔はね、ウンカっていう名前の小さな羽虫がいて、稲に付く害虫だったんだよと教えられました。戦記もので出てくる『雲霞の如く』という表現は、そのウンカが群れを成して飛んでいる様子からきているんだよ。そりゃ沢山の敵が向かってくる様子をいうのですから、入道雲みたいな形容ではないでしょうなぁ。
長じて、短大の時の中世史の先生も『平家物語』の一節から、何だか解りますかと、ウンカの話をしてくださいました。
バッタやイナゴだけでなく、このウンカによる農作物の被害が蝗害と言われていたんだと、教えられればまた、農薬を悪い物と決め付けられません。
農薬の登場以前は、虫をプチプチ潰していて間に合っていたと考える人はいませんよね。




