好きだった漫画の主人公の職業
十代の頃、高橋留美子の漫画『めぞん一刻』が好きでした。『うる星やつら』も好きでしたが、こちらはどちらかというとアニメで観ていましたから、ほとんど漫画のほうでは馴染みがありませんでした。
『めぞん一刻』は同級生と本屋で漫画の立ち読みなどをしていて、教えられた作品でした。その後、単行本を買ったら、父や弟も興味を持ちだして、家族で回し読みしていました。
主人公の男性、五代裕作は物語の始まりでは浪人生でしたが、大学生になり、就職活動が上手くいかないまま卒業し、紆余曲折を経て、保父になります。当時は保育士の言葉が無く、女性は保母、男性は保父と呼ばれていました。(ついでにいうと、看護師もなく、看護婦、看護士の昭和の時代です)
保育園の園長先生(年配の男性)がぎっくり腰になり、男手が必要と五代はとある保育園に就職できました。
連載していたのは青年誌でしたが、この就職先については大した意見はなかったように思います。それまで散々就職に苦労していましたし、物語の主眼は、恋模様でしたので、主人公が安定した職に就いて、やっと結婚が現実的になってきたので、めでたしめでたしといったところだったのでしょう。主人公のいささか不器用ながらも年弱の者への面倒見の良さから、合った職だったとも言えます。
わたしは二人の子持ちですが、二人ともヤロコで、保育園で保育士の性別がどうとか気にしたことはありませんでした。むしろ、お世話になっている保育園は女性の方々ばかりで、ウチのイタズラ小僧相手では大変だろう、散歩に行けばもっと遊びたい、帰りたくないと駄々コネをすると聞いていたので、保父さんがいれば、力技でかついだりできたろうなぁくらいは考えました。
私立の保育園で、親の目から見てもギリギリの人手でお仕事をなさっているのは解っていました。子どもが元気に保育園に行き、それを楽しみにしているのですから、預ってくださる保育園に、何も言うことはありませんでした。
保母さんたちだって働く女性です。
また、話題は変わりますが、女性の婦人科医にかかりたいと女性は多いかと思います。
わたしの体験が特殊なだけで、例外なのかも知れません。一度女性の婦人科医に行った時があります。その頃には結婚、出産もしていて、若い娘ではありませんでした。その婦人科医院は非常に混んでいました。みんな、考えることは同じなのだと思いました。初診であるから仕方ないと我慢しておりましたが、そのお医者様は声が大きく、ガラッパチで、診断の結果も、そういう言い方はデリカシーがない、男性の婦人科医の方がもっと患者に気を遣った言い方をしてくれると、印象が悪かったのです。
プロフェッショナルに性別は関係ない、要は信頼できるかどうか、相性の問題だと強く感じた出来事でした。
介護の仕事をしている男性が、男性の被介護者から「お姉ちゃんに世話されたい」と言われたことがあるそうです。
保育士、介護士、看護師、医師の性別どうこうは、プロフェッショナルへの性差別なのでは? と疑問があるのです。
サービスを受ける側にも受けたいサービスを選ぶ自由があるので、これはわたしの一意見です。
介護職で指名料を加算しようかの話が東京都で出てきているようです。
ギリギリでお仕事をなさっている福祉の方々のお給料を上げる為に、技能のほかに、性別や相性で特定の人にお仕事をお願いするのなら、その提案を受け入れる生地を作る必要も出てくるでしょう。
福祉といえども、人対人の客商売。仁術といえども、人は雲や霞を喰っては生きていけません。どうしたらいいものでしょう。