ふるさとの昔ばなし
実家に帰省した際に、本棚にあった懐かしい故郷の昔ばなしの本を読み返しておりました。「あこやの松」ばかりではないよね、色々なお話があったなあと思い出しつつ、一つ一つ拾い出していきました。
狸ではなく、狐がお寺の和尚さんと交流を持ち、茶釜を贈り、その茶釜に体をくぐして綱渡りをする話がありました。
南陽市にある珍蔵寺に伝わる鶴の恩返し。
昔、金蔵という名の若者が、子どもたちが捕まえた鶴をいじめていたのを小遣い銭を与えて助けて、放してやりました。その後、金蔵の家に若い娘が訪ねてきて、夫婦になります。
機織りをするので、その間決して覗かないでくださいと妻が言い、美しい布を織ります。しかし金蔵は約束を破り、機織りを覗き、妻は助けた鶴であったことを知ります。鶴に去られた金蔵は出家します。
お寺は僧になった金蔵が建てた寺なので、金蔵寺だったのが、鶴の曼荼羅があるからと「珍」蔵寺と呼ばれるようになりましたと、伝えられています。
はて、父に連れられて珍蔵寺とその近くにある「夕鶴の里」という施設に行った記憶が……。
そうか、そうだったのか、と一人で合点しておりました。全国区の昔ばなしにちなむお寺に連れていってもらった貴重な体験なのに、すっかり忘れてしまって情けない。
父には、山形県の東置賜郡高畠町出身の濱田廣介(『泣いた赤おに』の作者)の記念館にも連れていってもらってます。
わたしは史跡関係ばっかりで、こういう部分は見落としがちなんだなぁ、大事にしなくちゃいけないものは様々あるものだと、ふと思うのでした。