17/200
大根の花
何年か前、年始で実家に帰った際、玄関に菜の花が活けてあった。黄色の春を知らせる可愛らしいアブラナ科の花。わたしはふざけて母に言った。
「これって大根の花?」
同じアブラナ科の植物だから形は似ているはず。
「菜の花ですう」
と、母は強い口調で答えた。
わたしの後ろにいた長男が素っ頓狂な声を上げた。
「えーっ、大根って花が咲くの?」
「当たり前です。花が咲かなかったらどうやって大根の種を取るの。大根は被子植物で……(以下略)」
大根はアブラナ科の植物です。同じ科には菜の花、キャベツ、白菜など多種の野菜があります。花まで咲かせて流通させるのは菜の花くらいですので、見たことのない方が多いでしょう。わたしだって幼い頃に見たくらいです。
確か、大根の花は白だったかと思います。品種によって少し色味が違うようで、ピンクっぽい紫がかった白い花もあるそうです。
森繁久彌のドラマのタイトルを思い出す人は、きっとわたしよりも年上です。




