あれやこれやで思い出したこと
今季のNHKの朝の連続ドラマ『半分、青い。』のヒロインは昭和四十六年の七月生まれの設定になっています。わたしは昭和四十五年の一月生まれ、生まれた年は一年違いですが、学年は二つ違い。ヒロインの高校卒業と、わたしの短大卒業、社会に出て働き始めたのは同じ年の勘定になります。
バブル景気と呼ばれて、都市部は景気が良かったそうですが、地方は関係なし。ヒロインの実家は岐阜県の食堂経営、わたしの父親は地元で公務員、ポーンとお金の入る職業でなく、景気の良さはよそさんのニュース、別世界の出来事でした。当時の大学生の就職活動は現在と違っていました。四大生は四年生の夏休みに就職活動が一般的。就職の為にあれこれやっていた時に、短大と同じ米沢市にある山形大学工学部の大学生に就職について訊くと、「三年生の時に企業から勧誘の電話が合って、もう就職は決まっているんだ」とのお答え。学生の売り手市場と言われていましたが、地方の女子短大生、それも文系には無縁。まあ、企業説明会に行ったら交通費を千円くれたのが、好景気の証拠と言われればそうでしょう。
この好景気に公務員になるなんてバカだと言われていましたが、地方の女子短大生には安定した就職先はそれしかないと頑張りました。で、念願かなって公務員。頑張って働いて、初めての夏のボーナスと言われる時期、賞与ってこんなもん? って額面の賞与でした。某証券会社で新卒女子でも夏のボーナスは百万円超えたのニュースに、桁が幾つか違うとがっかりしましたが、地方企業では新卒者にはそもそもボーナス査定無しの例もあるので、いただけるだけ有難いのだと反省しました。
いい時代ばかりではありません。ドラマのヒロインの幼馴染、大学でロボット工学に進むのでしょうが、かれが卒業する頃にはバブル崩壊後の就職氷河期が待っています。ちゃんと大学に行って勉強したかったけれど、働くのを考えたら、高卒か、短大や専門学校卒でさっさと就職しといてよかったあ、の微妙な年代でした。かれは理工系でこのまま研究職になるのか、教授の伝手で上手くロボット開発に力を入れている工場や企業に入れるのか、どんな展開が待っているのでしょうね。
バブル期に十代、二十代を過したからって、享楽的ではなかった人間が多かったと思います。




