第5話 メンバー追加
暫くロックと一緒に温泉で温まった後、ロックの強い要望で同じタイミングで上がり着替えた。二回目だが僕は決してロリコンではない。これはロックがそう望んだからであり、僕自身には下心など無い。
その後、二人で僕達が宿泊している宿に向かった。
夜遅くに幼女を宿に連れていく少年。
文字にして表すと実に犯罪チックな行為だが決して僕にはそんな思考回路は無い。あくまでただの帰宅である。
帰途に付きながら僕はあの二人に対する言い訳を考えていた。僕が温泉から帰ってきたらいきなり幼女を連れてきたなんて知ったらあいつらは僕を殲滅しにかかるだろう。当然こんなところで死ぬ気も無いし、殺される気も無い。だが良い言い訳が思いつかない。無い頭をフル回転させていると
「ねぇねぇ士郎お兄ちゃん、あれ何だろう?」
ロックが指差す方向には…
「いい加減にしなさいよ酔っ払いども!!私達はさっさと帰りたいんだから放しなさいよ!!」
「まぁまぁ良いじゃあねぇかお嬢ちゃん達。少し遊ぼうぜぇ?」
「あの…本当に放してください…早く帰らなきゃ…」
…あいつら酔っ払いのおっさん達に絡まれてやがった。そりゃあいつら見た目は可愛いからなぁ…でもよぉおっさん方、ナンパする相手間違えてるよ…そいつらキレるとヤバいんだから…
「いい加減放せって言ってんのよこのジジイども!!」
言いながらフレイは自分の腕を掴んでいたおっさんを掴んで流れるような動作で後方高く投げ飛ばした。うおっ!!結構吹っ飛んだぞ。
「もう…どうなっても知りませんよ…?」
氷華も氷華で近づいてきたおっさんに対し、孤を描くように飛び込んで踵を落とす浴びせ蹴りをかました。やり過ぎだって…いや、攻撃に属性付加してないだけマシなのか…?
「あ、士郎。いたの?」
おっさん達を一通り倒したところでフレイが此方に気がついた。
「士郎、誰その子…」
ロックを見ながら氷華が聞いてきた。
「あぁ、こいつはロック。温泉にいたら偶然遭遇した」
「初めましてお姉ちゃん方、私はロックです」
礼儀正しくお辞儀するロック。それを見た二人は
「え、なに…士郎ったらロリコンだったの?気持ち悪いなぁ…」
「士郎…ロリコン…へんたいやろう…」
早速誤解されたよくそっ!!
「違うからな!?僕はロリコンじゃないからな!?」
「そうですよ!!士郎お兄ちゃんが私を見る目は私が今まであった人達とは違いました!!士郎お兄ちゃんはあんな犯罪者予備軍とは違います!!」
僕とロックの一時間に渡る必死の弁解のお陰で二人とも納得してくれた。
「ん…もう朝か…」
いつも通りの時間に目が覚めた。ちなみに現在午前四時。当然他のやつらは眠っている。起こさないように布団から出ようとする。
「あれ…何かいる…?」
身体をなにかに掴まれている。何だか嫌な予感がしたので毛布の中を見ると
「すー…すー…」
………これは悪い夢だ。これは悪い夢以外の何者でもない。だって僕の布団にロックが入り込んでるんだもん。しかも僕の腕に抱きついていらっしゃる。一体どうしてこうなったんだ?
「むにゃ…あれ、士郎お兄ちゃん…もう朝?」
っと、起こしてしまったらしい。寝起き直後のボンヤリとした目で見つめてきた。
「あぁ、ごめんね起こしちゃって。ロックはまだ寝てて良いからね」
頭を撫でながら寝かしつけようとするが
「ん…士郎お兄ちゃんと一緒がいい…」
ロックは僕の腕を掴んでいた手を放し布団から出た。自分から起きると言い出したのだから僕が止める権利はない。
「…分かった。じゃあ一緒に朝ごはんの支度でもしようか」
「うん。私料理得意だよ」
それは実に心強い。まだ寝ている二人を起こさないようにしながら朝食の準備を始めた。
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