第3話 会話
「はぁふうぅぅ…温度が丁度良いねぇ…」
士郎を少しからかった後、私達は温泉に浸かっていた。日頃の疲れが取れるのを感じる。
「そうかしら。私には少し熱く感じるけど」
氷華ったら氷属性しか使わないから熱に対して耐性が付いてないのだろう。全く柔な身体だなぁ…
「それにしてもフレイ、貴方また士郎を弄って…士郎困ってたじゃない」
おっとぉ?ここでその話題を振りますか。
「別に良いじゃない。士郎は…何て言うか…弄りたくなるような顔と雰囲気してるのよ」
「ふぅん…」
な、何ですかそのジト目は…まるで私の考えが間違ってるかのような眼差しをして。
「私は逆に守らなきゃって雰囲気を感じるけどね…何よその顔は…」
「い~や~?べ~つ~にぃ~?」
あの氷華が士郎を守りたい、ねぇ…数年前じゃ絶対に聞けない言葉だ。人って変わるものなのだと思い知ったよ。
「フレイは士郎の事どう思ってるの?」
何でまた士郎関連の話題なのだろう…別に構わないが。
「そうだなぁ…一言で言うなら平凡な人間、かなぁ…」
幼馴染みである私ですらこの程度のイメージしかないのもどうかとは思うが…仕方がないだろう。それほどあいつは昔から自分を主張しない人間だったのだから。
「もっと無いの?いざというときは頼りになるとか…」
「え、なに?氷華ったら士郎の事好きなの?」
軽い冗談で言ってみたが…
「は?何で私があんな平均平太を好きにならなきゃいけないのよ。頼れるってのはあくまでも仲間としての話よ」
実に冷たく辛口なコメントを頂いた。士郎…強く生きなさいよ…
「ねぇフレイ…一体何をどうしたらそんなに大きくなるの?」
身体を洗いながら氷華が聞いてきた。最初何の事か分からなかったが氷華の視線の先にあるモノを見て理解した。
「え?なに?氷華ったら私のこの豊満なバストを妬んでんの?」
「いや、体術を使う身としてはその肉塊は邪魔じゃないのかなって思っただけ」
ニヤニヤしながらおちょくってみたら真顔で返された。
「そうねぇ…正直言うと確かに邪魔かなぁ…しかも肩が凝りやすいしー…」
諦めずに煽ってみるも…
「そう、それは大変ね。共感も同情もしないけど」
またも冷静に返されてしまった。くっ…士郎といい氷華といい、何でこいつらは煽り耐性が高いのだろうか。実につまらない。
「さてと、私はもう上がるわよフレイ」
身体を流し終わった氷華はさっさと更衣室に行ってしまった。私もそろそろ上がるとするか…
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