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僕のパーティメンバーのパワーバランスがブッ壊れている件  作者: 雪月風霞
第一章 ブッ壊れパーティ誕生
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第1話 経緯

主人公は最強or最弱系…

今まで僕が読んできた小説はこんな感じでした。

ならば、僕はあえてその王道パターンから外れ、主人公は普通スタイルを貫いていく。これはそんな無駄な意識を詰め込んだ小説です。

「うし…今日の分の依頼は全部こなしたな」

この世界に連れてこられてもう一週間か。異世界召喚とか言う訳の分からない事をされた当初はこんな弱肉強食の世界で僕みたいな貧弱な男が生きていけるのか心配だったが…いざやってみたら意外にも短い期間で対応できるものだった。

「で、あんたらはなんで何もかもを僕にやらせるのさ。職業もステータスも固有スキルもどれを取っても僕より強いよね…」

仕留めたモンスターの肉を捌きながら幌馬車の中にいる二人に聞く。うん、この肉は今日の夜ご飯にしよう。余った分は干し肉にでもして保存食にでもするか。

「んー?だってあまり戦いたくないしー、面倒だしー…」

一人目は間の抜けた声でふざけた事を、

「私は馬の世話をしていたから」

二人目は至極真っ当な理由を述べた。

「よし分かった、今日の夜ご飯はフレイだけ抜きで。OKか氷華?」

そう言ってみると幌から二つの顔がモグラのようにひょっこり出てきた。そして、

「OK」

「いやだ!!」

同時に、全く逆な事を言った。仕方がない、今日も三人分の食事を作らないといけないようだ。食料を幌馬車に積み、街に帰ることにした。




「しっかし、現代っ子の私達がこの世界でよく生きていけるよね」

日中に狩ったモンスターの肉で作ったステーキを美味しそうに頬張りながらそんな事を言い出した。

「それはあれだ、この世界に連れてこられる前にあの女神が僕達の職業やら何やらを決めさせてくれたからね」

ステーキを切りながら答える。くっ、このステーキ切りにくいな…

ステーキを食べながら僕達はあの女神が僕達を拉致、もとい異世界召喚したときの事を思い出す。




その日、僕達は高校の修学旅行で某日本一高いビルにいた。そこのエレベーターに乗って最上階に行こうとしていた時にそれは起こった。

突然エレベーターが停止し、そのまま落ちていった。当然中は大パニック、僕達も例外ではなかった。死を覚悟し眼を強く瞑っていたが何時になっても地面にぶつかる衝撃はこない。異常を感じ眼を開けると…

「何処だ…ここ…」

一面真っ白な部屋にいた。隣を見ると一緒にいた二人も呆然と立ち尽くしていた。どうやら二人も状況を理解できていないらしい。

「おや、君達かい、今回の生け贄…もとい選ばれし人類は」

いきなり後ろから声が聞こえた。振り返ると緋色の髪をした女性が立っていた。

「そんなところで立ってないで座りたまえよ」

女性が指を鳴らすと机と椅子が突然出現した。とりあえずお言葉に甘えて僕達三人は椅子に座ることにした。




「さて、君達が聞きたいことは沢山あるだろうがまずは名前を教えてくれないか?とりあえず右の子から順番に」

僕達が座るのを確認してから女性はそう言った。

「私は火神愛です」

僕の右隣、蒼色の髪をツインテールにした少女は躊躇せずに本名を口にした。お前凄いな…プライバシーとか考えないのかよ。

「ふむ…じゃあ次」

っと、僕の番か。

「天野士郎です」

ここは素直に名前を言っておこう。

「ふむ…じゃあ最後」

「凉野…氷花です…」

僕の左隣、紅髪ロングの少女は疑るような視線で女性を見ながら名乗った。若干躊躇った所を見るとこっちはプライバシーの問題とか少しは考えたのかな?

「成る程。君達の名前は分かった。したら次は私が名乗る番だな」

女性は僕達の名前を何かの紙に書きながらそう言った。

「私はリム。女神だ」

…は?

この人なに言ってんの?女神?そ、そりゃあ何もない所から机と椅子を出してたし何らかの凄い人だとは思っていたが…女神ときましたか…

「女神…てことはあれですか?ラノベみたいに僕達は死んで、これから異世界に転生して、そこで生きていくってやつですか?」

「半分は正解だが…君達は死んでいない。そして転生ではなく召喚だ。そこが間違い点だ」

…ファッ!?

え、何、僕達死んでないの?つか異世界召喚って…完全にレイ〇ースじゃないか!?何か凄い事に巻き込まれちまったぞ…出来れば丁重にお断りしたいのだがしかし横を見てみると…

「異世界召喚…きっと楽しいだろうなぁ…」

「たまには現実から離れるのも一興よね…」

こいつら…完全に異世界ライフを満喫する気でいやがる…つか現実から離れるってそれ完全に現実逃避だからな!?

「と、いうわけで、君達には今から三つの事柄を決めてもらう。一つ、異世界での名前。二つ、異世界での職業。三つ、固有スキル。」

どうやら異世界に召喚されるのは確定事項らしい…仕方ない、諦めてこの三つを考えることにしよう。




十数分かけやっと出来た。

天野士郎

名前…変更せず、異世界でも士郎となる。

職業…剣士

固有スキル…全刀剣使用可能


火神愛

名前…フレイ(フレイヤから取ったらしい。フレイヤの兄の名前がフレイだという事は内緒にしておいた)

職業…魔法メインの魔法拳闘士(主に古武術)

固有スキル…魔力無限(!?)


凉野氷花

名前…氷華

職業…体術メインの魔法拳闘士(主にマーシャルアーツ)

固有スキル…体力無限(!?)


…なんじゃこりゃあ!?

僕以外の二人の能力がおかしいだろ!!なんだよ魔力無限て!!なんだよ体力無限て!!訳分からないよ!!

「なかなかに個性的な感じになったな。そういうの私は嫌いじゃないぞ。合格だ」

リム様も受け入れないで!!ゲームバランス、もとい異世界バランスが壊れるから!!




「さて、準備も済んだことだし、後は君達を異世界に召喚するだけだな」

あの後、僕達の行く異世界についての話を聞いたのだが…やはり剣と魔法でモンスターを倒すような世界らしい。ギルド等もしっかりあり、そこで会員登録をしてないと依頼を受けることも出来ず、モンスターを倒してもお金は入らないらしい。実にイメージ通りの普通の異世界である。

「召喚先は君達に任せるが…何処が良い?」

おや、召喚先を決めていいのか。

「出来れば…ギルドのルーキーが沢山いるような、そんな低難易度の街付近が良いです」

「了解、召喚先を冒険者ルーキーの街、アインの街手前の草原に設定した」

おお!!優しい!!これは女神様々ですわ…

っと、体が光りだしたぞ…遂に異世界入りかぁ…

「それでは、君達の幸運を祈る」

異世界に飛ばされる直前、リム様の敬礼姿が見えた。何故敬礼だったのだろうか…




「てな感じで、後はアインの街に言ってギルド登録し、今日まで街の人の依頼をこなしながら生きてきたって訳だね」

ステーキを平らげ満足そうにお腹を撫でながらフレイは回想を締めた。どうやら今回のステーキは成功だったらしい。あの顔だよ、あの幸せそうな顔を見るために僕は毎日料理を作るんだ…多分これが料理人の思考回路なのだろう。

「一週間と言えども沢山の依頼をこなしてきたお陰で僕達のレベルはもう20近くあるからね。もうそろそろ次の街に行っても良いと思うんだ」

食器を洗いながら何となく言ってみたが、

「私も賛成。そろそろ強いモンスターと闘いたいわ」

「私も良いと思う。この街ではトップランクかもしれないけどいつまでもここにいたら井の中の蛙になっちゃう」

意外にも二人とも賛成してくれた。

「よし、じゃあ明日にでもこの街を出るか。幌馬車もあるし長旅も安心だな」

と、いうわけで、僕達は明日、アインの街を出ることにした。

誤字・脱字などありましたらご指摘下さい。

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