コロシアム
コロシアム
前編 殺し合い
(こうなってどれぐらい経つだろう)
今年18歳になる青年 昌男は、自分の境遇に絶望している1人だった。
殺し合いがショーになったその日から、彼にとっての日常は急速に壊れてしまったのだ。
昌男がいるのは小さな牢の中だ。お粗末なベッドとトイレが唯一、彼が使える私物。服装はボロボロの褐色のズボンと、薄汚れた白いランニングシャツの1枚のみ。だが、浮き出た筋肉は彼が強力な戦士である事を物語っていた。
「おい!」
警察官の服装をした男が、警棒を牢屋に叩きつけて昌男を呼んだ。
「時間だぞ」
「ああ」
これが、彼にとっての日常の始まりだ。
「今日もやってきました!コロシアム!」
手錠をかけられた昌男が放り込まれたのは、円形型の闘技場。しかし、闘技場の上に観客席はない。その代わり、世界中の狂った連中のお茶の間が観客席となるよう、全周囲にカメラが設置されている。
「うるせえな」
司会の声が彼の精神を苛立たされる。
「まず!百戦錬磨の王者!昌男!」
司会者が闘技場の上にある解説席から彼の名を読み上げる。そして
「相手は!最強のレディー軍団!ヴァルキリー!」
昌男の向かいにあるゲートから、3人の少女が入ってきた。色白で綺麗な顔をした日本人の少女。真黒なスパッツに、白いランニングシャツを身にまとっている。短なスパッツから露出された肉付きのいい太股と、下乳までしか長さのないランニングシャツから露出された引き締まった白い腹部と、少しだけ盛り上がった下腹部。シャツの下にブラはなく、乳首がその存在をアピールするようにパツンとシャツを浮かせている。
そして、彼女達の手にはそれぞれ槍、斧、剣が握られていた。
「さて、今日はどのような興奮する戦いを見せてくれるのでしょうか!それでは」
一瞬の間がおかれ
「ファイト!!」
ゴングが鳴らされて、戦闘の開始を合図した。
(やれやれだ)
昌男からすれば、これがいつもの日常。相手はどうやって選ばれ、そもそもどういう境遇なのかもわからない。でも、昌男にとっての法則は一つ。敗者にあるのは死のみ、と言う事だ。
「やぁぁぁぁぁ!!!」
3人がかりで、襲いかかる3人の少女達。
でも、少女とは見た目だけ。中身は凄まじい憎悪を孕んだ戦士である事を昌男は彼女立ちのオーラから読み取っていた。
まず、斧を持った少女が昌男に飛びかかってきた。
「はぁあ!」
斧を振り下ろし、昌男を一刀両断にしようとした少女。だが、昌男はズボンのポケットに手を突っこんだまま平然とそれを避ける。
そこへ、剣を持った少女が昌男を首を切り落とそうと横殴りに払ってきた。
「やぁあ!」
それを昌男はちょこっと屈んだだけでかわす。
だが
「お…」
自分の目の前に黒光りする物体が迫っているのを見て、昌男は間一髪でそれを避けた。
(ち)
心の中で舌うちをする昌男。右頬が少しだけ切れて血が流れていた。
「ふふふふふ」
それを見て、愉快そうに笑う3人の少女達。
3人の少女達はかなり訓練を受けている事がさっきの連携攻撃からわかる。
「やぁぁぁぁぁ!!」
体勢を再度、整えた少女達は再び昌男に攻撃を仕掛けた。
パターンはさっきと同じ、斧の攻撃、剣の攻撃、それらを難なく避けた昌男だが、次に危険な突きが残っていた。
無言で繰り出される槍。それが再び、昌男の目前に迫った。
(バカな女だ)
自信満々に槍を繰り出した少女だが
ガシ!
電光石火のはずの槍の柄を掴まれて、驚いたように目を見開いた。
「同じパターンを繰り返すなんて、二流もいい所だ」
昌男は掴んだ柄を勢いよく引っ張った。それも柄を掴んでから一瞬の刹那の間で、だ。
「うわぁ!」
槍を放すのが一瞬遅れた少女は、槍に引っ張られるように体勢を前に崩した。といっても、ほんの僅かに体勢を崩したにすぎないが、命をかけた戦いを生き残ってきた昌男にとって、それで十分だった。
昌男は脅威的な足の力で瞬時に体勢を崩した少女の懐に飛び込んだ。
そして、無防備な鳩尾に、高速回転するボディーアッパーを突き刺した。
ボクン!!
「あぅ……」
一瞬の出来事に、少女は何をされたかわからず目を瞬いた。
昌男の拳が、メロンのような大ぶりの胸の真下に深々とめり込んでいた。
「あ………おごぉ………」
引き締まった白い腹部の中心に、強力なエネルギーと硬さを誇る凶器が突き刺さり、少女の中でエネルギーを爆発させていた。
「そ……んな……うぶぅ……!!」
腹膜を貫かれ、胃を深々と抉られた少女の口内に、酸味のする液体が湧きあがってきた。
「この!」
仲間のピンチに、昌男の背後から斧を持った少女が襲いかかった。だが
(やはりか)
昌男にとって、それこそが真の狙い。
昌男は一先ず槍を持っていた少女の肢体から拳を引き抜くと、軽快なステップを踏んで瞬時に斧の少女と向き合うと、振り上げられた斧の側面を蹴った。
「きゃぁ!」
ただでさえ重く、持ち主の重心を不安定にさせる斧。その斧を蹴られたことにより、少女の攻撃態勢は完全に崩れ去った。
昌男は斧の少女の懐に飛び込むと、槍の少女と全く同じ部分に、引き絞った凶器を突き刺した。
ボクン!!
「ぐふぅぅ!!」
みちみち、と音を立てて少女の鳩尾に突き刺さった昌男の拳は、そのまま少女の柔らかい肉をかき分けて深々と埋没した。昌男の手に、胃を直に抉る感覚が伝わる。
「う…うぶぅぅ!!」
胃を直に抉られて、少女の唇から涎が噴き出した。
昌男の拳に秘められた莫大なエネルギーが少女の中で爆発し、その全てを少女の華奢な肢体は吸収してしまったのだ。
「あうぅ……」
鳩尾に深々と拳を捻じ込まれ、意識が朦朧とした少女はぐったりと昌男に倒れ掛った。
(じゃまだ)
昌男は倒れ掛ってきた少女の可愛く窪む臍に、渾身の力を込めた膝を突き刺した。
グサ!!
「はぉぉ…!!」
臍に突き刺さった膝は少女のひ弱な肝臓を抉り、内臓を圧迫した。
鳩尾と臍、その両方を貫かれた少女の五臓六腑が戦闘不能に陥る程のダメージを受けた事は誰の目にも明らかだ。
肝臓と胃を同時に抉られ、少女の唇から堪らずに黄色い液体が溢れだす。
「うぶぅぅ!!」
余りの鈍痛に、少女は耐えきれずその場に膝を落とし、両手で腹を押えながら痙攣した。
「こ、このぉぉぉ!!」
2人の仲間が戦闘不能に陥り、1人孤立した剣を持つ少女。焦るあまり、大ぶりになってしまった技など昌男にとって止まっているに等しかった。
迫りくる少女の剣を難なく避けた昌男は、無防備な少女の脇腹に無理やり拳を捻じ込んだ。
「ぐぶぅ!!」
まだ幼げの残る唇から涎が溢れる。
昌男の拳は少女の脇腹を抉り、その固い凶器を脾臓に無理やり捻じ込んでいた。ただでさえ括れていた少女のウェストが、昌男の拳によりさらに変形する。
「か…はぁ………」
脾臓を大きく抉られ、目を大きく見開く少女。あまりの鈍痛に全身の筋肉が弛緩した。
昌男はその弛緩しきった鳩尾に、渾身の一撃を突き刺した。
ズムゥ!!
「ひぐぅ!!」
まだまだ未成熟な果実に真下に、引き絞られた凶器が無理やり捻じ込まれ、白く張りのある肌が鳩尾を中心にらせん状の皺が出来た。
「はぅん……んくぅ………」
内臓に凄まじいエネルギーが発散されるのを感じて、少女の頬に赤みがさす。
昌男の拳は、少女の肋骨を掻い潜り、急所を的確に破壊していた。昌男の拳に、ブルブルと震える何かが潰れる感触が伝わってきた。
「ひ……うぅ……」
ぶくり、と少女のあどけない唇から黄色い液体が溢れだし
「うぅ……」
豊満な肢体を痙攣させながらその場に蹲った。
(さてと)
3人の少女はこれで戦闘不能。でも、これで戦いは終わらない。
「や…やめ…て……」
蚊の鳴くような声で、昌男に訴える槍を持っていた少女。鳩尾を殴られ、その場にうずくまるしか出来ない。
「おね…がい……他の…子は……やめ…て……」
「だまれ」
昌男は槍を持っていた少女を足で仰向けに寝かせると、ふっくらと盛り上がった少女の下腹部に踵をつき落とした。
「がはぁ!!」
未成熟ながらも頑張って盛り上がっていた少女の下腹部。しかし、昌男の踵が大きく下腹部を抉り、急所の塊を抉っていく。
「う……い…いやぁ……」
弛緩しきった少女の下腹部に全体重をかけられた昌男の踵がみるみる沈んでいく。
小腸を押しつぶし、柔らかい肉をかき分け、踵の先が少女の急所に触れた時、少女の目が真丸に見開かれた。
「や…やめぇ…―」
やめて、と哀願しようとした少女。でも、昌男は全力でその急所を踏みつぶした。
グボォ!!
「ぐぅ………ひぃ……」
鉄のように固い昌男の踵は、少女の急所を完全に押しつぶしていた。急所の塊を踏み躙られ、少女の肢体が弓形にのけ反った。
見開かれた目から涙が零れ、開かれた口からはごぼごぼと噴水のように胃液が溢れだす。
そして
「ああ゛!!」
意識が朦朧としながらも、肉裂がもぞりと震えた事を感じて少女は慌てて太股を閉じたが
ばしゃぁぁぁぁぁ!!
黄色い液体が堰を切ったように肉裂から溢れだした。
「ああ………」
自らが曝した醜態に、少女は恥ずかしそうに頬を赤くした。
少女が小水を漏らすとようやく昌男は踵を引き抜いた。
そして、ぐったりとした槍を持った少女の上半身を起こし、肩を抱いた。
ぶるぶると震え、痛みの余り汗でべっとりとしている槍を持っていた少女。その目からは恐怖のあまり涙が溢れていた。
昌男はその状態のまま落ちている槍を手に取ると、柄を折って、短くする。そして、短くなった槍の柄を握り、ゆっくりと少女の鳩尾に差していく。
「きゃぅぅ!!」
ぷすり、と張りのある皮膚を突き破り、少女の内部へと槍が突き刺さっていくと、少女は体を痙攣させる。
「安心しろ。なるべく痛みは感じさせないようにしてやる」
昌男は少女の耳元でそう呟きながら、深々と槍を差していく。
「うぅ……ぐぅ……かぁ……」
真白なシャツがじわじわと赤く染まり、白く、張りのある腹部に血が滴っていく。だらしなく開かれた少女の口からも、赤い液体が溢れ始めた。
プスン!!
肌を突き破る音が鳴り響き、槍の刃が完全に少女を貫き、その背に顔をのぞかせると
「あぅ……」
少女はついに絶命した。
昌男は槍を引き抜くと、その場に少女を横たえた。
(安らかに眠れ)
昌男は最期を遂げた少女に心の中でそう呟くと、次は斧を持っていた少女の所へ向かった。
「い……いやぁ……」
少女は這いつくばりながらも昌男から逃げようとするが、痛みで意識が朦朧とし、手足が言う事を聞かなかった。
「きゃぁ………」
昌男につかまり、無理やり仰向けにされた少女。昌男は斧を掴むと、それを思いっきり振り上げた。
余りの恐怖に、少女の肉裂から生温かい液体が溢れだす。
「やめて!お願い!まだ…まだ死にたく………ぐぶぅ!!!!」
ブシュリ!
大きく振り上げられた斧は、そのまま少女の生腹めがけて振り下ろされた。
「は……う……ぐ……」
ずっしりと重く、鋭利な刃が少女の鳩尾に突き刺さり、内臓を難なく引き裂いた。
昌男が斧を引き抜くと、傷から血飛沫があがり、少女は瞬時に絶命した。
「最後だ」
残った最後の少女。それは剣を持っていた少女だ。
「ん………」
少女は既に覚悟を決めたように、きっと昌男を睨みつけていた。
(勇敢だな)
昌男は少女に関心するも、剣をとり、それを少女の鳩尾に突き刺そうとした。その時だ。
「やめ!」
コロシアム中に声が響き渡った。
昌男は瞬時に剣の柄を少女の鳩尾に叩き落とす。
ドス!
「うぅ…!」
弛緩しきっていた鳩尾を固い部位で強く叩かれ、少女は気絶する。
「どういう事だ?」
昌男は司会を見上げた。
「ルール変更だ。その少女は生かせ」
「なに?どういう事だ?」
「お前には関係ない」
そう言うと、警察官が2人、奥からやってきて、昌男と少女に手錠をかけるとそれぞれを隣同士の牢屋に放り込んだ。
「なんなんだよ」
隣の牢屋で意識を失ったまま横になっている少女を見ながら、昌男は理解できない、と首を傾げた。