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戦国の世の、茶の湯の路 ― 信長の弟・織田有楽斎

作者:東曌
最新エピソード掲載日:2026/10/14
慶長十九年(一六一四年)、冬。

大坂城を取り巻く徳川の大軍。砲声が響き、城内には和睦を拒む声と、戦を終わらせようとする声が入り交じっていた。

そのなかに、一人の老人がいた。

織田有楽斎[織田長益]、ひとりの男である。

かつて天下を駆けた織田信長の弟であり、豊臣秀吉や徳川家康の時代を生き抜いてきた茶人である。

兄のように天下を求めず、武功によって名を刻むことにも執着せず、彼は茶を点てることで人と向き合ってきた。

だが、茶碗一つでは戦を止められない。

誰かを救おうとすれば、その人自身の望みと衝突することもある。

生き延びることは、臆病なのか。
死を選ぶことは、誇りなのか。
そして、人を大切にするとは、その人の代わりに未来を決めることなのか。

戦国の終わりに、一人の老茶人が問い続ける。

これは、天下を取らなかった男が、天下の移り変わりのなかで、命を生きることを、護ろうとした者の物語り。
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