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幼なじみが何故かvtuberを布教してくるんだけど

作者: 鍋の地
掲載日:2025/12/31

大みそかの話。

「事前参りって言うんだっけ、こういうの」

「(コクッ)」


幼なじみが全く喋らない。

元々無口で、僕と2人きりのときにしか声を出さないんだけど。

でも、「うん」「違うよ」くらいは言うのに。

外、神社だけどさ。


『元日は不味いから大みそかにお参りしよう』

今朝、メッセージが入った。理由は教えてくれなかった。

何が不味いのかな、分かんない。


「やっぱり、人は少ないね」

「(コクッ)」

「御朱印はどうする?」

「(フルフル)」

「じゃ、鳥居くぐってお参りしようか」

「(コクッ)」


クイッ、と僕の袖を引っ張ってくる。

このポーズで歩くのだろう。

なんだか、デートみたいな。

いやいや、この幼なじみに、そんな感情を抱いてはいけない。それに、この子にも迷惑だろう。


小さい頃から、今の高2までの関係。

去年くらいから、様子が変だし、ある女性vtuberを推してくるけど、色々あるのだろう。分かんない。




「小銭あげようか?」

賽銭箱の前、僕は聞く。

「いくらがいい?」

「(フルフル)」

「そっか」


大みそかの昼間。

皆は、やっぱり元日、つまり明日に行くのだろう。

明日は来年、西暦が変わる。そう思うと、ワクワクしてくる。2025年じゃなくなる、明日から。

ワクワクしながらお参りしたいのだろう、大みそかの昼間、参拝客は少ない。がらん、としている。


新型コロナが現れ、事前に参拝するってのも出てきたけど、まあ、ここは田舎だし。都会かな、そういうのは。


5円。

いや、

「10円、かな」


賽銭箱に10円玉を1枚入れ、パンパン、と手を叩いた後、手を合わせ、おがむ。作法はよく分からない。


僕は、高2です。

自分はどうでもいいので、隣の―。


目を開け、隣を見る。

「ねえ」

おっ、やっと声を出した。

「なに、祈ったの」

こういうのって言ってもいいんだっけ。

「教えて」

うーん。

じゃ、教えるか。


「君が元気でいますように。

来年は、3年生だから。

大学に行くか、就職するか、僕には分からない。でも、とにかく健康で、幸せでいますように」

笑顔で教える。

僕のことだったら、5円でいいけど、この子の幸せを願ったから。


「…そ」

なんか、顔が赤くなったような。




「ねえ」

「うん? 何?」

「今日、配信するから、みてね」

「ああ、例のvtuberだね。プレミアム会員じゃないから、バックグラウンドだっけ、できないんだよね。なるべく頑張るよ」

「感想教えて」

「好きだよね、そのvtuber」


じっ、と見てくる。

何か、言いたげな。


「なに?」

「なんでもないっ」


そして、再び袖を引っ張り、無言モード。

なんか、力が少し強いような。


「屋台見ようか」

「(フルフル)」

「帰る?」

「(コクッ)」

「はあい」

まあ、好きにしたらいいよ。好きなよう生きたら。僕はできる限り支えるから。幼なじみだし。

ありがとうございました!


『vtuberの正体がばれている』てのは知ってるけど『ヒロインがvtuberであることに気付いていない』てのは知らないので書きました。


鈍感主人公って、いいですよね。今では絶滅危惧種かもしれませんが。


…尊い関係(*´∀`*)

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