表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は顔が良いだけ  作者: 大木戸 いずみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/95

95

 次の日、いつもの生活のせいでか日が昇る前に目が覚めた。

 ……昨日の試験で疲れていても、この時間に起きれてしまう私ってすごいわね。

 私はベッドから体を起こして、軽くストレッチをする。

 不合格だったことをみんなに伝えた時の反応を思い出し、私はまた吹き出してしまう。リックは「そんなの絶対におかしい!!」って大声で怒ってくれて、ナタリーとリチャードもずっと文句を言ってくれていた。そして、あのジョルジが物凄い形相で怒っていた。

 もちろん、私に対してじゃなくて、審査員四人に対して。最高のリアクションだったわ。

 今すぐ家を飛び出す勢いだったんだもの。

 私のためにそれほどみんな怒ってくれるとは思わなかったから、嬉しくなってしまった。

 ちゃんと、今日の演習の話も伝えた。だけど、そんなことに耳を持たず、みんな「ルナを落とすなんてどうかしてる」と憤怒していた。

 もう一度あの光景を見たいぐらいだわ。

 私はそんなことを考えながら、ストレッチを終えて着替える。いつも通りの訓練着。

 今回の演習でへまはできない。それに、私は絶対に浮く。白い目で見られることは百も承知だ。強気で行くしかない。

 自分で自分のことを鼓舞して、私は部屋を出た。




 演習場所として指定された山は最悪だった。

 というのも、良い噂を聞いたことがない。「ここに立ち入れば生きて出てこれない」や「悪党の住処」などと呼ばれている。

 そしてなによりも私が昔誘拐された場所だ。よりにもよってどうしてこの場所なのかしら……。

 神様のイタズラ? なにか試されてる? ……前者だったら、絶対に神に文句を言ってやる。

 きっと偶然なんだろうけど、またこの山に来ることになるとは思わなかった。

 それにしても、よくここを実践でなくて、演習で使おうと思ったわね……。


「どうして彼女がいるの? 試験に落ちたはずでしょ?」

「なんか慈悲でこの演習にだけ参加できるらしいぜ」

「俺らだったら、絶対にそんなことしてくれないのにな。顔が良いってやっぱり得だよな」

「おい、あそこに不合格者がいるぞ」

「受かったって勘違いしたんじゃねえか?」

「なんでここに来てるんだ?」

 

 ごちゃごちゃうるさいわね。

 あちこちから私に対しての視線を感じる。それに、悪口を言っているのもしっかりと聞こえている。 

 私のことに気を向けていないで、演習に集中したらいいのに……。よそ見していると、足元すくわれるってことをしっかりとその体に教えてあげるわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ