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私は顔が良いだけ  作者: 大木戸 いずみ


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 そして、私は最終試験に落ちた。

 ここまで来てまさか落ちるとは思わなかった。合格者の名前が呼ばれなかったということはそういうことだろう。

 ……ちなみに、最終面接で落ちたのは私だけ☆

 そんなことってある~~!?

 受け答え完璧だったはずなんだけどなぁ……。

 皆、私をジロジロと見ながら会場を出ていく。ここまで来て、私だけ落ちたとなると、逆に注目を浴びる。一体こいつは何を言ったんだ、というのが皆の気持ちだろう。

 私も「なんかまずいこと言ったっけ?」という気持ちになっている。

 一人ぽつんと残されて、私は机に顔を伏せた。

 とりあえず状況を整理しないと! と思っているが、実際は絶望に打ちのめされていた。

 ジョルジになんて言おう。というか、ウエスト家の皆に合わせる顔がない……。

 それに、エドにも。……いや、もう彼なら結果は知っているかもしれない。がっかりさせたかしら……。

 割と楽観的な私もこれは結構クる。こんな挫折を経験したことがないから、どう折り合いをつければ良いのか分からない。みんなから失望されることもショックだが、なによりも、私が騎士になれないという事実があまりにも受け入れがたい。

 あ~~~~! もう!! どうすればいいのよ~~~!

 私が机に額をつけながら、盛大にため息をついていると、ガタッと誰かが目の前に立つ気配を感じた。自分のことに切羽詰まり過ぎて、人がこの部屋に入ってきたことに気付かなかった。

 反射的に顔を上げる。


「……エド、様」

 

 私はその名を呼んだ。

 忙しいはずのエドが私の前に立っていた。相変わらず格好良くて、彼の周りだけ煌めいている。

 二次試験の時に遠い存在だと思っていた人が、今こんなにも近くにいる。……なんだか変な気持ちになる。

 手の届かない人が、すぐに手の触れれる場所にいる。


「しょぼくれているな」

「…………まさか落ちるとは思わなかったので」


 私はへらっと力のない笑顔を見せる。

 眉間に皺を寄せながら、エドは私のことを見ていた。そんな険しい表情をしていても、美形のままだ。


「なんて答えた?」

「え?」

「あいつらに言ってもなにも答えない。……直接聞く方がいいだろうと思ってな」

「なんの話を」

「お前はある質問で落とされた。『騎士として死ぬ覚悟はあるか』に対してなんて答えたんだ?」

「ちゃんと誠心誠意ある答えを」

「なんて答えたんだ?」


 エドはゆっくりな口調で強調するかのようにそう聞いた。私は彼の圧に一度口を閉ざした。

 その質問だったのね、私が落とされた理由は……。私は心の中で自分の言ったことを振り返る。別に悪いことを言っていない。


「言えないのか?」


 エドの言葉に私は小さくため息をつき、口を開いた。

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