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私は顔が良いだけ  作者: 大木戸 いずみ
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 私の美貌が武器になる……?

 

 イザベラの言ったことを頭の中でそう解釈した。


『そう。美貌は貴女の最大の武器よ』

「期限のある武器だけど……」

『年を重ねても、魅力のある女でありなさい』

「どうやって?」

 

 老いてしまえば、顔だけの私は死んだも同然。


『貴女はもうその答えを見つけているはずよ』


 イザベラの言葉に私は少しだけムッとしてしまう。

 そんな方法あるはずがない。不老不死なんて夢物語だ。

 ……ただ、私はこの世界で自分の価値を守れる人間になりたい。顔だけの私が自分の存在意義を誇れるような人物になりたいのだ。


「私の答えが正しいかは分からない」

『どういう答えが出たんだ?』


 ジャティスは興味深そうに私にそう聞く。

 何よりも真っ先に出たのが「復讐するための力を手に入れる」だ。

 自分を磨き、自分の価値を高めるのには不純な理由だが、今の薄い私にはそれぐらいでいい。

 そんな始まりで丁度いい。

 これから、新たな目的を見つけていけば良いのだから。


『復讐か』


 ジャティスは私を見定めるようにじっと見る。

 彼の圧に怖気づきそうになったが、必死に耐えた。ここで怯えていてはダメだ、と私の神経が言っている。

 復讐は復讐を生む負の連鎖だということは分かっている。

 だが、私にとっては必要なのだ。世の理として意味のない悪循環だったとしても、私という世界では復讐が全てなのだ。

 今の私には一歩下がって世界を見れる余裕がない。


『その復讐が終われば、お前はどうするのだ?』

「……まだ決めていない」

『復讐の為に力を欲するものは破滅する。我々はそういう人間を今まで幾度となく見てきた。お前もその一人になるということか?』


 ジャティスの言いたいことはとても分かる。

 私がこれから歩もうとする道の結末はハッピーエンドではない。


「そうならないと否定はできない。……けど、そうはなりたくない」

『決心は強く脆くあれ』

「どういうこと?」

『一度決めたことは最後までやり遂げる強い意志が必要だということだ。……しかし、世の中は目まぐるしく変動していく。時には臨機応変に決心を崩さなければならない時もあるということだ』


 流石、神様。

 さらっと名言を口にする。

 非力で無知な愚者の私にとって今目の前にいる四人の神は最後の希望だ。 

 藁にもすがる想いで私は彼らに頭を下げた。


「私に力を下さい」

『『『『承知した』』』』


 四人の声が重なるのが鮮明に耳に響いた。

 それらの神々の言葉は重々しく心臓が震えた。神々に願いが承諾された瞬間を私は身をもって感じている。


「ありがとうございます」


 私はゆっくりと頭を上げた。

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