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私が王族と同等の命の価値…………?
「まさか~~」
私は一度彼の言ったことを飲み込み、笑みを作った。だが、王子の表情はいたって真剣だった。
ちょっと、まじで言ってるの? …………けど、殺されたのは家族よ?
「私じゃなくて家族が王族と同等の価値だったってことじゃない? だって、私生き残ってるし……」
「メグ……、チェイスの頭だ。彼女は狙った人間をただ殺すような甘いやり方をしない。標的が最も苦しみ、絶望した状態で命を奪う」
「趣味悪ぅ」
「……俺の従妹だ。叔父の妾の娘だ」
「ややこしいですね、王族って。……エドワード様は」
私はそこまで言いかけて、口を閉ざした。
王子も妾を沢山作るのか、と聞きたかったが、私のような平民が口出すような内容ではない。
「俺はたった一人の女性を生涯愛しぬくと決めている」
彼の返答に私は固まった。
……なんだか、すごいカッコいいこと言われた気がする。
そして、その女性を羨ましいと心のどこかで思ってしまった。この人に愛される女性は幸せ者だろう。
「けれど、エドワード様の周りには沢山の美女が集まってくるんじゃないですか?」
「……それがどうした?」
「えっと、だから……」
「俺の覚悟だ。他の女性に現を抜かすなど、そんなダサいことはしない」
私が言い淀んでいると、彼ははっきりとした口調でそう答えた。
王子に言いたいことは沢山あった。……だが、何故かどこか遠慮して言えない。私と王子はなんの関係もない。私は家族殺しの犯人を見つけるのに力を貸してもらっている身だ。
「二人にしてくれ」
私の考えを悟ったのか、王子は窓の傍に立っていた従者――セスとリックにそう言い放った。
彼らは「ハッ」と頭を下げて、部屋を出ていく。
「少し腹を割って話そう」
王子は柔らかく笑った。リラックスした空気を作ってくれているように思えた。
……この人、多分相当な人たらしじゃない?
「これからの付き合いで俺たちはもう少しお互いのことを知っておいた方が良い。遠慮はするな」
「じゃあ、正妃だけと決めているのは国王様の影響ですか?」
私は、遠慮はするな、をちゃんと間に受けるタイプの人間だ。
気になっていることをズバッと聞いた。お酒も入っていない状態でこんなデリカシーのないことを聞けるのは、肝が据わっているからだ。
断じて、無神経だからではないわよ!!
「いや、誰かの影響というわけではない。俺の美学だ。ごまんと女性がいる中で、ただ一人の女性を自分の意志で選び、己の人生をかけて愛することを美しいと思っているからだ」
すごく素敵だと心から思った。
そりゃ、王子は私なんかに目もくれなかったはずだ。初対面でとった自分の態度を省みる。




