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私は顔が良いだけ  作者: 大木戸 いずみ


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 私は庭園にある椅子に座りながら暫く「チェイス」について考えた。

 王子は仕事があると言って戻ってしまった。……王子も暇じゃないもんね。

 嫌なことがあったら、忙しくしている方が良いという。だが、今の私はかなり時間がある。その時間を有意義に使おう。

 魔法を使用できる者が関与してるって、チェイスの中に王族がいるってこと?

 神が王族に魔法を使用できるように施したのよね……? 確か、神たちはそんなことを言っていた気がする。

 ……話がどんどんややこしくなってきたわ。どうしてそんな悪の組織が私の家を狙うのよ。


「あ~~! もう! 意味わかんない!」

「うるさい」


 私が声を上げて空を見上げたのと同時に、木の上で休憩していた男と目が合った。

 うわ!! 人がいる!!

 私は心の中で叫んだ。人がいたことへの驚きと、王子との会話が全部聞かれていたという焦りが混ざっていた。

 ……いるなら、もっと存在感出してよ。

 多分、王子はかなり重大な秘密を私に吐露してたよ? 聞かれたら絶対にまずい内容だったよ。

 いや、でも、王宮の庭の木で寝れる人物って……、彼も王族?


「僕の睡眠を妨げないで」


 彼はそう言って、また目を瞑った。

 …………え、寝るの? この状況でもう一度眠りに入るの?

 私は彼の想像とは違う対応に戸惑う。これは何も知らないふりをして、この場から離れた方が賢明?

 私は眠っている男の顔を見る。高貴な顔をしていた。髪色は金髪だったが、王子ほどの透明感はない。……多分、王族なんだろうな。

 私はそんなことを思いながら、そっとその場を離れることにした。


「君、エドのこと好きなの?」


 私が椅子から立ち、足を進めた瞬間、上から話しかけられた。

 寝たんじゃなかったのかい、と心の中で突っ込みながら彼の方へと向いた。


「エドワード様のことですか?」

「うん、親密そうだったから」


 これは、もしかしたら良くない噂が立つかもしれない。

 人はスキャンダルが好きだ。私のせいで王子のイメージダウンはしたくない。それに私たちは決して恋仲ではない。これは事実だ。


「尊敬していますが、貴方様が思っているような関係ではないです」

 

 私ははっきりとそう言った。


「どうかな……。エドが女性とまともに話しているのを初めて見たよ。しかも、母親の話まで」


 やっぱり、ちゃんと聞かれていた。

 どうしよう~~っ、と心の中で慌てつつも、彼も王族ならお妃様の件を知っているだろう。……絶対そうであってほしい。


「敵が一緒というだけです」


 私は彼のペースに持っていかれないように、強い口調でそう言った。

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