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私は顔が良いだけ  作者: 大木戸 いずみ


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 あの時、私は……、あの子を助けることができなかった。

 いや、私のせいで彼女は…………。


「どうした?」


 王子が心配そうに私を覗き込んだ。ハッと我に返る。

 

「いえ、何も」


 私は笑顔を作る。王子と同様、私にも言えない秘密がある。

 王子は「そうか」と、それ以上何も聞いてこなかった。


「殿下、どうします? このまま捜査を続けますか?」


 リックがそう言うと、王子は少し黙ってから口を開いた。


「血が消えていて、遺体も消えた。……これ以上、ここにいても人が集まるだけだ。今日のところは一度ひきあげよう」

「「承知」」


 王子の判断にリックとセスの声が重なる。

 懸命な判断だ。これ以上、人だかりができる前に王子たちは城に戻った方がいい。


「……私はどこに行こう」

 

 思わず、自分の心の声を吐露してしまった。


「俺のとこに来るか?」

「「「は?」」」


 私とセスとリックの声が見事に重なった。

 王子のとんでもな発言に驚いたのが私だけでなくて良かった。 

 にしても、この王子は一体何を言っているのだ?


「王宮に来ればいい」

「はい? えっと、今、何か聞き間違いえたような気がします」


 そう簡単に平民が王宮に住めるわけがないでしょ。

 というか、身元調査をしていないのに、そう簡単に平民を王宮にあげれないだろう。

 ……冗談にしか聞こえないのに、目が嘘を言ってるように思えないんだよね。


「ここにいられないのなら、俺が住む場所を与えてやる」

「だからと言って、王宮に招くのは違います」


 この辺りで新しく家を用意してくれるのならまだ分かる。……いや、赤の他人にそこまでする理由も分からないけど。

 けど、王宮に住めばいいというよりかは現実的だ。 


「俺の隣にふさわしいのは自分だって豪語していたのはどこの誰だったけな」


 王子は意地悪そうに微笑んだ。

 ……なにその笑顔! 反則すぎない?

 私を惚れさせたいのか、この王子は……。というか、そんなことを発言した自分を呪いたい。

 なんて自信過剰だったのだろう。私が王子の隣に立つなど死んでもあり得ない。


「そんなこともありましたねぇ」

「遠い過去の言い方をするな、昨晩のことだろ」


 私からしたら、五年ぐらい前の出来事なんです。

 じっと王子を見つめた。透き通るような赤い瞳から彼の聡明さを感じた。この男は将来、良き国王になるだろう。

 私の直感がそう言っていた。彼の目を見据えながら私は口を開いた。


「王子が私にそう思わせてくださよ」

「え?」

「エドワード様の隣に立つ価値を私に教えてください」

 

 驚く王子に私はニコッと笑みを浮かべた。

 私もそんなに安い女ではない。己の美貌を武器に戦う。……けれど、神に教わった知識や技術が沢山詰まっている。

 むしろ、王子から私を手に入れたいと思わせたい。

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