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私は顔が良いだけ  作者: 大木戸 いずみ


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 どれぐらい時間が経ったのか分からない。

 時間を忘れるぐらい私は多くのことを学び続けた。

 四人の神様から多くのことを学んだ。「多くのこと」と一括りに出来ないほど膨大な知識や技術を身につけた。

 弾けない楽器はないし、作れない武器もない。人類が得てきた知識で知らないことはないし、戦略を立てる際に役立つ発想も身につけた。

 それでも決して驕ってはだめだ。

 知識には謙虚であり、常に何かを探求しなければならない。

 好奇心や向上心を忘れてしまえば、人は廃れる。

 この場所でそれは嫌というほど感じた。……前までの私はなんて未熟で愚か者だったのだろう。 


「あの時の自分が恥ずかしい」

『あら、そう思えるようになったのは素晴らしいことだわ』


 私の独り言にフッとどこからともなくシャーロットが現れた。

 最初は急に現れる神に驚いていたが、もう慣れてしまった。

 ここでは私のプライバシーなど一切ない。


『心を読まれて、行動を監視されているものね』

「知らぬ間に心身ともに鍛えられてしまった」

『人間界で楽に生きていけるわね』


 どうなのだろう。

 神たちと過ごしている方が楽だったと思うかもしれない。

 人間の小ささに苛立ちそうだ。

 けど、私はここの人間ではない。この神秘的な場所からもうすぐ去らなければならない。


「どれぐらいの月日が経ったのだろう」

『人間界で言うと、五年ぐらい経っているんじゃないのか』


 ジャティスが現れる。


『普通の人間なら一生かけても身に付かないわ。私たちも驚くほどの成長速度だったもの』


 続いてイザベラが現れる。気付けば、キュディスもいた。

 詰め込み教育と言えども、あの教育を五年で終わらせたと思えば私は優秀な方なのかもしれない。

 ……神の血が入っている分、若干他の人間たちとは違うのかもしれないけれど。


「母親の遺伝のおかげって考えたら、ズルしちゃっている気持ちになるね」

『これは完全にルナの実力だ』

 

 キュディスは柔らかな口調でそう言ってくれた。

 私は嬉しさに覆われた表情で「ありがとう」と伝える。

 本当にこの四人の神様にはお世話になった。感謝してもしきれないほどの恩を受けた。


「元の世界に戻らないと」


 私の言葉に『そうね』とシャーロットが呟く。

 泣きたくなる気持ちを必死に抑えて、私は表情を作った。

 ……最後ぐらいは笑顔でいよう。強くなった私を見てほしい。


『寂しくなるわね』

 

 イザベラがそう言って、私を優しく抱きしめた。

 その温かさに思わず涙腺が緩んだ。……ダメだった私がここまで成長できたのは彼らのおかげだ。

 イザベラ、シャーロット、キュディス、ジャティスに会わなければ、私は人として終わっていた。


『忘れるな。我々はいつもお前を見守っている』


 ジャティスの言葉が聞こえた。

 私はその言葉を大切に心の中で大切に抱きしめた。

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