幼馴染がサッカー部のチャラ男とホテルから出てきたからキレた
急に思いつきました
「マジかよ…」
やあ。
俺は楠慎也18歳
どこにでもいる高校生だが、ちょいと普通じゃない事情があったりするぜ
…あ、べつにとんでもないイケメンだとか実はトップモデルだとかそういうのじゃないから安心してくれ
さて
それはさておき
俺の隣の家の幼馴染の美少女、伊万里胡桃が最低ヤリチン野郎で有名なサッカー部の鮫島とラブホから出てくるところを見てしまったわけだが…なにやってんだよ胡桃!!
「こら!胡桃!!」
とりあえず胡桃を叱ろう。鮫島は…胡桃と絶縁してくれればそれでいいかな
「げっ?!シンヤ?!」
「あ、幼馴染くん?
もしかして胡桃ちゃんのこと好きなのぉ?ごめんねぇこいつもう俺の女なんだよねぇ〜胡桃ちゃんエロくて最高だよぉ??」
「ケンタは黙ってて!!!」
「胡桃!なんでお前はよりによってこんな奴と!!」
「私の勝手でしょ!!」
「恋愛するなとは言わないけどもう少し相手を選べよ!!こいつがどうしょうもないクズでチャラ男ってことは全校生徒が知ってるレベルなんだぞ!!」
「おい〜幼馴染君ひどくねぇー?」
「うっさい!!あんたに関係ない!!!」
ムキになって声が大きくなってくる胡桃と、図星とはいえ面と向かってクズだと言われて苛つき気味な鮫島
「だいたいさぁ、胡桃ちゃんが誰と何しようがお前に関係なくない?
ただの幼馴染なんだろ??」
優越感たっぷりに見下してくる鮫島は何が何でもNTR展開にしたいらしいが、生憎と俺は胡桃にはそんな感情はねぇ!
「黙れ!!お前みたいなクソ野郎が義理の息子なんて想像するだけで吐き気するわ!!!」
「同い年のくせに父親面しないでよ!!!」
俺と胡桃が同時に言ったことが理解出来ない鮫島はフリーズした
胡桃の家は母子家庭なんだが、実はちょっと特殊な母子家庭だ
胡桃の実母は元々身体が弱く、胡桃が小さい頃亡くなっているのだ
それから父子家庭で過ごしてきたが胡桃が15歳…高校入学の大事な時期に父親も交通事故で帰らぬ人となってしまった
もともと隣にあった我が家は家族総出で伊万里家を何かとフォローしていたし、俺と胡桃も家族同然に育ってきたので親戚が嫌な人ばかりばっかりなら胡桃ちゃんもうちの子に…なんて母親も言っていたのだが
親戚が揃って押し付け合いをする中、一人の女性が啖呵を切り立ち上がって胡桃を抱きしめた
それが胡桃の実母、菫さんの年の離れた実妹、桃華さんだった。
当時22歳、社会人としてもペーペーだったのに凄い覚悟だと思う
実際桃華さんは色々背負い込むタイプで、無理してばかりだった
俺はとにかく桃華さんと胡桃の力に少しでもなりたくて出来ることはなんでもやった
そして一年経った頃には胡桃にウザがられるくらい俺達はラブラブになった。今もそれは続いている
今は入籍を済ませている。俺が高校を卒業したら披露宴の予定だ
「おじさんの代わりになれるなんて思い上がっちゃいねぇよ!!
でもな、それでも!!胡桃は大事な家族なんだよ!!娘みたいな妹みたいな、とにかく大切な存在なんだよ!!こんなクソみたいな奴と付き合って自分の価値を下げて欲しくないんだよ!!」
「うぅ…ぐすっ…わかったわよ!!
……馬鹿パパ!あんたなんか馬鹿パパで十分!!…ごめん、やっぱり…お父さんは"お父さん"だけだから…」
「最初からそこは俺も思い上がらないって言ってるだろ?実際同い年のガキだしな…さ、帰ろう
今日は生姜焼き作るから」
「…!…生姜焼き!」
胡桃は今は亡きおじさんと桃華さんと我が家が甘やかしまくったせいで少し幼いんだよな…もうちょっと厳しくするべきだったかも…
とりあえず胡桃の頭をなでなでしてしっかり手を繋ぐ
「あの…なんかすいません」
「ああ、まあいいや。胡桃とはこれっきりにしてくれよな」
「わ、わかりました」
混乱したチャラ男を背に、俺は愛しの奥様が待っている隣の家に胡桃と向かうのだった
おっと、スーパー寄ってかなきゃな。
桃華さんも胡桃も生姜焼き好きなんだよな〜
END