装備
俺は城下町に来て飯を食った後装備屋に向かう。この世界の飯は少し禍々しいが意外にも美味しかった。
この国はゲームだと初めにスポーンする場所だったからか、プレイヤーが運営する装備屋が多かった。だからあんまりNPCが運営する店は知らないんだよなぁ。
いや、確かこの道を右に曲がったところに良いところがあったな。
『アルナ武具点』
記憶通りあった。少し名前が違う気がするが…まぁこの世界はレイジング・ファンタズムと似ているが、微妙に違うのだ。中に入ってみるか。
「へいらっしゃい。兄ちゃん、何か欲しいのかい。」
「欲しいものがあるから来たんだ、あとその兄ちゃんって呼び方…まぁいい、軽装備と片手剣…出来れば片刃で。無いか?」
「あぁ、装備は俺が見繕ってやる。疑問だが、何故剣は両刃にしないんだ?」
店主のおっちゃんは色々運びながら聞いてくる。
「この辺りにはいないが、切っても倒せない魔物もいる。そういうやつ対策だ。それにやりたくはないが人にも使えるからな。」
「見たところまだ魔物狩ったことないのに、兄ちゃんはなんでそんな先を急ぐんだ?」
「これを見れば理解できるか?」
俺は服の中に隠していたネックレスを見せる。おっちゃんの驚いた顔はなんだか面白い。
「…納得だ。任せてくれ、俺が絶対兄ちゃんを死なせないからよ。なんならオーダーメイドを作ってもいいが…そんな暇も無いだろう。」
「あぁ、すまないな。」
俺は店主が持ってきた装備を着てみる。装備があるだけで中々様になるもんだな。
剣は…一応片刃だが、刀というより海賊が使ってそうな感じだ。
俺はステータスを開いて装備されているか確認をする。
装備
鉄の軽装備シリーズ+2(防御力,16)
鉄のサーベル+1(物理攻撃力,7)
防具は一括されるのか。タップしてみたら詳細が見れたが読む気にならんくらい長い。止めとこう。
横の+1とかは…()の中が追加される攻撃力等を示しているから作ったやつによる追加効果だな。
表記は違うがゲームと同じ仕様だ。
「すまねぇな兄ちゃん。まだ力が弱いだろうからあんま高レアリティのもんは出せねぇんだ。」
「あぁ、大丈夫だ。ありがとう。」
レベル毎に装備出来るレアリティが違うとこは同じか。ゲームと全て同じだなんて思ってはいけない。細かいことでも確認してかないとな。
「数日後、ここを離れる前にもう一度訪れる。その時にまた見繕ってくれ。」
「あぁ、兄ちゃん用に良いのを作っといてやるぜ!」
「それならレアリティ3くらいのこれと同じ感じの装備を頼む。それじゃあな。」
俺は金を近くにあった台に置いて外に出た。後ろでおっちゃんがわめいていたが無視でいいだろう。
ゲームと違って会話が出来るのは楽しいな。……だからこそ話す度に、ここはゲームじゃなく現実だって改めて重い知らされる。
「浮かれてばっかじゃダメだ。しっかりしないとな…。」
俺は門から出て再びジャヌ草原へと足踏み入れた。