情報収集
説明会です。ダルいですが許してください。
…正直なにが起こっているのかわからない。ここまで来たらむしろ夢であって欲しい。
「どうかね、話は理解してもらえただろうか。」
「は、はぁ…。まぁ大体わかりましたが…」
俺は今50代くらいのおっさん。もといギドレー=ジル国王と縦にクソ長いテーブルを挟んで話し合っている。ちょっと聞こえづらいから止めて欲しいんだが…。
これまでの王の話をまとめるとこうだ。この世界には数百年に一度、各魔物の種族ごとに一斉に強大な力を持つ魔王が誕生する場合がある。それにより配下の力が増してしまうようだ。
この世界のシステム。ここ住人はそれを神と呼ぶそうだが、均衡を保つために知識と力のある人間を別の時空から呼ぶらしい。いわゆる勇者だな。
ちなみに勇者の証がこのネックレスだそうだ。
「それと、君はまだ勇者ではない。実際には勇者になれる逸材…卵と言ったらわかるかね。神はたくさんの勇者の卵を呼ぶが、本物の勇者と成れるものは数少ない。大抵死亡するケースだが…。」
「あの、疑問なんですけどその勇者候補って何人くらいいるんですか?もしくは過去に何人呼び出されたかという記述は残ってたりしますか?」
「過去の記述だと来る時間帯はバラバラだが、最終的に確認されたのはピッタリ100名だ。現在、各国が情報を共有しあっているが、見つかったのはまだ50名程度だのう。」
…ふむ、まぁそんなものか。
「それで、勇者候補ってのはなんか特別な力とかあるもんなんですかね?」
「あぁ、勇者には普通は覚えられない固有スキルが初期から備わっている。君たち勇者たちにはレベル上げをしてもらって真の勇者への覚醒、及びスキルの強化をしてもらいたい。勿論、国は最大限の援護を行う。」
スキル確認とかどこでやるのかわからんが…まぁ後で聞くとして、今は現実的な話だ。
「それで…こんなことも言うのも図々しいですが、何か報酬等はもらえるのでしょうか…?」
「勿論だ。その神が創造せしネックレスの力は、この世界にもう勇者の力は不要だと認識したらまず、この世界に残るか元の世界に戻るかを選択した後、どんな願いでも叶えてくれる。最もこの世界に害が及ぶことは不可能だが。」
無難だな…まぁどうするかは世界を救ったあとにでも考えるとするか………こんなこと考えるのは嫌だが、死ぬかもしれないしな。一応聞いておくか…。
「俺たちがこの世界で死亡した場合、どうなるんでしょうか…?」
「死亡する直前にネックレスの力で元の世界に転送及び治療される。力を使いきったネックレスは壊れるから、もう戻ってくることは不可能になる。」
「なるほど…。」
流石に死んではいさよならじゃやる気も何も起きないからな…。
「あの、それでステータス…自身の力を数値化したようなものは見れるのでしょうかね…?」
「すてーたすというものは何かわからないが、過去の記述によるとそのネックレスに念じれば力を数値化したものが出るようだが…どうだね?」
…むむむ。こ、このネックレスにそんな力あったのか…。
(とりあえず念じてみるか…ホイッ!出てきてくぅださぁいっ!!)
出来るだけウザそうな念じ方をした。なんでか知らないが俺は無意識にこいつのことを嫌っているらしい。神が嫌いなわけじゃないんだがな…。
フゥン…
あ、なんか半透明なウィンドウが出てきた。これがステータスか…まぁこれは後で見ればいっか。
「色々教えてくれてありがとうございます。ギドレー王。」
「なに、こちらも人の種族の危機なのだ。当然のことをしたまで。それと…出発する前に玉座の間に来てくれたまえ。」
「わかりました。ではまた。」