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異世界でひっそりと暮らす天使 その強さ規格外  作者: 紀朝雄
第1章 序章
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第4話 別れの時

とある屋敷の庭で、一人剣の練習をしている少女の姿があった。

「デビルベアに深手を追わせた傷は剣によるものだった。

彼は銀狼がやったと言ったけど・・・・」


そこへ執事が近寄ってきた。

「お嬢様、そろそろ休憩された方がよろしいかと」

「ありがとう。彼について何かわかったかしら?」

「はい、調べるのは簡単でした。

 彼の母親は娼婦でして、父親は誰とも知らぬ者だそうです。母親は数年前に亡くなっておりまして、その後、同じ娼婦のナオという方に拾われています。

ナオには獣人の娘がおりまして、彼とは兄妹のように育っています。

以上が彼の今までの経歴です。」


「それだけか? 誰かに剣術など習ったとか、魔法を習ったとかはないか?」

「なんでもスラムで誰かに剣などを教えてもらっていたそうですが詳細は不明です。

その教えていた人物についてもまったく不明です」


「だが、デビルベアを倒したのはおそらく彼だ・・・なぜ彼はそれを隠すのだ?」

「可能性としては、かれに魔族の血が流れているという事もあるのではないでしょうか?

なにせ父親が不明ですから・・・」

「魔族の血が流れておれば、教会で判明したはずだ。女神様も彼に直接会っているが、そのような反応はなかった」

「では、本当に偶然に、奇跡が起こったとしか思えませんな。それこそ女神様のご加護があったのではないかと・・・

 成人式で何か特別な加護をもらったとか?

 あの2人もお嬢様と同じ教会で成人式を迎えたので可能性はあるかと思います」

「なぜ隠したのかはわからないけど、彼には何かありそうね」


「それと、別件ですがお嬢様に今週末のパーティーの招待が5件、婚約の申し込みが13件来ておりますがどうされますか?」

「いつものように捨ててしまってかまわないわ」

「・・・わかりました・・・では失礼します」

 

その頃スラムでは・・・

俺は夜遅くまでナオさんが帰ってくるのを待った。話したい事があったからだ。

しかし、夜遅く帰ってきたナオさんは様子がおかしかった。

実体がないように、体が透き通って見えたからだ。

「あ、お母さん!」

「ナオさん、もしかして・・・」

「マックス、ティカの事頼むわ・・・・」

「まって、なにがあったの?」

しかし、ナオさんは首を振った

「それはいいわ、もう楽にさせて・・・ティカもあなたがいれば大丈夫

ティカを、たのむわね。

そして、ティカ、わたしのかわいい娘・・・・

早くにいってしまうお母さんを許してね・・・

 お兄ちゃんと一緒なら、あなたは幸せになれるわ・・・」

「お母さん、どこかいくの?」

「ええ、遠いところにいくの、そこには今はティカを一緒につれていけないの

だから、お兄ちゃんと仲良く暮らしてね・・・」

「やだ! お母さんも一緒がいい!」

「・・・ごめんなさい・・・・」 

ナオさんはそう言うと、透明になって消えていった・・・

「お母さん!いっちゃやだー!」

 俺はティカを抱きしめて

「ティカ、お母さんを行かせてあげて・・・」

「うう・・やだー!」

「ティカ・・・」


その直後、後ろで何かが落ちる音がした。

俺は振り返ると、ナオさんのバッグが落ちていた。

(あれはナオさんいつも持っていたバッグでは?なぜそこに?)

俺はバッグを開けて中を確認すると、化粧品とお金、そして何か入っていそうなケースが見つかった。

そのケースの中には手紙が入っていた。

(差出人は・・・マリー・・俺の母さん!?)

 俺は手紙を読んでみると、

 貴族の犠牲になって娼婦になるしかなかった子達がこれ以上増えないために、貴族の中でも力のあるドラス伯爵に抗議した事で、自分は目をつけられ狙われている事。

そのために、自分に何かあった場合は俺を頼むとあった。


最後に、


いつの日にか彼女達の恨みが晴らされんことを、わが息子マックスに希望があらん事を


そう書いてあった。


「母さん・・・・」

俺は最後の文章を読んで、涙が溢れてしまった。


そんな時、玄関から男が3人が入ってきた。

A「おまえがマックスだな。かわいそうに、おまえのおかげでここの娼婦が殺されたんだぜ? まぁおまえも今死ぬけどな」


「なんで、俺が?」


B「おまえが目障りなんだとさ、なんたって姫君達に気に入られていたからな。

 貴族様を差し置いて、おまえが姫君とおなじチームを組むなんてありえないんだよ

 スラムのゴミはゴミらしくしとけってな」


「俺が望んだ事じゃない。そんなに不満なら、一緒のチームにはならないよ」


A「もう遅いって。あろうことかシルヴィア様は、おまえがデビルベアを倒したと言いふらしてやがる。誰も信じないがな、それどころかシルヴィア様がおまえを立てようとしている事に貴族様達は怒り心頭してるぜ?」

C「なぁ、あの娼婦の娘ってあれか? 俺期待してきたのに、なんだあの病気持ちの醜い化物みたいな奴は!?

 触ったら病気うつるんじゃないか?」


B「さっさと殺せばいいだろ、あれじゃあ売り物にもならんし、襲う気もおこらん」

C「そうだな。じゃ、おまえら死ね」

そう言って、そいつはティカに向かって剣を突き刺そうとした。


ティカはショックでまだ動けないようだ

ティカまで殺される・・・やめろ・・

「やめろー!!!」


俺は瞬時にティカを刺そうとした男のとこに突進し体当たりをしたので、男はふっとび壁に激突した。

他の男2名が俺に剣を向けて斬りかかってきた。

俺は壁に激突した男が手放した剣に手を向け、まるで見えない力によって引き寄せられるように剣を引き寄せ手にし、迫ってくる2人を見た。


敵は2名だが、わずかに右の男の方が早い、ならまず右から・・・


俺は右の男が剣を振り上げた瞬間、剣で素早く突き刺し、その男をもう一人の男の方に蹴飛ばしてぶつけた。

もう一人の男もそれにより体制を崩し、2人重なって倒れたため、俺は上から2人とも剣で刺し止めをさした。

さっきの壁に激突した男が、2人が殺されたのを見て逃げ出したので、俺は持っていた剣を回転を付けて投げた。

剣は高速に回転しながら、逃げていく男の体を真っ二つにして飛んでいった。


もうここには居られないと考えた俺は、ティカを連れて家を出る事にした。

とりあえず、この町を出て、獣人でも差別されることなく受け入れてくれる町か村へいこうと思った。

 幸いにも、ここから少し行った森の中にエルフや獣人が住む村があり、精霊の森と呼ばれ、そこにいる人たちは精霊の民と呼ばれているらしい。


 一方シーラの屋敷では、侍女がシーラに報告をしているところだった。

「シーラ様、やはり貴族の間に不穏な動きがあるようです。

 例のシルヴィア様とシーラ様に相手にされなかった者が、嫌がらせと腹いせに

 マックスを人を雇って殺すようです。」

「彼は無事かしら?」

「今手練の者3人に様子を見に行かせていますので、もうしばらくお待ちを」

「彼らより先に探して、至急保護してください」

「恐れながら申し上げます。なぜスラムの子を保護する必要があるのですか?

 シーラ様達とは身分が違いすぎます!しかも汚らわしい娼婦の子ですよ!」

「マリーネ! 人を見た目や身分で差別するものではないわ。

 それにもし、不服があるのでしたらいつでもここを辞めてもらって結構よ」

「・・・失礼しました。」

「わかったのなら、すぐ動いてちょうだい」

「はい・・・では失礼します」(あの3人うまくやったかしら・・・フフッ)



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