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どんな場所にも這いよる混沌

 「なあ朔也、俺の気のせいなら良いんだけどさ、教室に近づけば近づく程、生気が吸われてるような感覚が襲ってきてる様な感じがするんだけど?」

 「奇遇だね、俺もだよ」


 俺達は、普通に教室へ向かって歩いているだけである。普通に教室へと向かっているだけなのだが、一歩ずつ進むにつれて足に何かが纏わり付いてる様に思える程足が重く感じる。そして何故か熱くもないのに汗が身体中から吹き出ているような感覚や謎の悪寒に襲われる。


 しつこい様だが大事な事なのでもう一度言っておこう。俺達は普通に廊下を歩いているだけである。

 

 しばらく廊下を歩くと、自分たちの教室へと着く。そして俺は教室の扉を開くために取っ手に手を掛ける。その時、俺は何かに吸い込まれる様な感覚に陥った。何かは分からないが、黒く深くそして昏い何者かに自分の大事な何かを吸い込まれそうになった。身の危険を感じた俺は咄嗟に扉から手を放す。そして扉に触れた手を見ると、黒く実態のない何かが纏わりついている様に見えた。


 大事な事だから補足しておくが、ただ教室に入ろうとしているだけである。


 「朔也、ここって学校だよな?」

 「学校のはずだね」

 「別に魔界とかじゃないよな?」

 「魔境であっても魔界ではないね」

 「もう嫌だ、このクラス」


 教室の扉についている窓を覗くとクラスメイト達が静かに自分の席に座っていた。虚ろな目をしながら。まだ予鈴も鳴っていないのに、静かに座っているのである。いつもであれば、クラスメイト達の話声で賑わっている筈なのに今日は誰も話をしようとしない。そしてある事に気付いたため、朔也に聞く。


 「そういえばさ、うちのクラスに野球部っていたっけ?」

 「珍しくうちのクラスにはいないよ」

 「じゃあ何で何人かが頭を丸めてるんだ?それも野球部の坊主とかじゃなくて思いっきり修行僧見たくなってるんだよ?」


 俺が、朔也に問いかけると朔也は少し考えた後何かひらめいたのか、俺に言った。

 

 「クールビズじゃない?最近熱いし」

 「あー、クールビズかー。今は9月の半ばで涼しくなってきてるのにな」


 夏は暑かったが、最近では結構冷えてきているのにクールビズもクソもないと思う。


 「それかイメチェンでしょ」

 「あー、イメチェンかー」

 「イメチェンだねー」


 俺達は、現実を見るのをやめた。正確には脳がこの光景を考える事事態を拒絶している様な感じがした。俺達が現実逃避をしていると桜井先生が声をかけてきた。


 「一幸に朔也、お前ら教室の前で何してるんだ?」


 はたから見れば俺らは教室の前で何か訳の解らないことを言っている事もあり、普通に変な目で見られているだろう。


 「教室の雰囲気がとてつもなくおかしくて、入る気にならないんですよ」

 「もしかしてお前ら2人は昨日起こった事を知らないのか?」

 「えっ、何があったんですか?」

 「運が良かったといった方が良いのか分からないが、そうか2人はあの光景を見てないから問題ないのか」

 「何で達観してんのこの先生。てか本当に何があったんだよ」

 「まさか、美雪があんな姿をしてたなんてな」


 ちょっと待ってこの先生結構、大事な事をサラッと流したんだけど。何、まさか転校生ニャルラトホテプなの?SANチェックあんなにいて全員失敗したの?まさか全員して不定の狂気以上の狂気患ってんの。この学校怖いんだけど。


 「まあ冗談だがな」

 「冗談だったんですか、あれ!先生のせいで朔也が何かさっきからぶつぶつ言ってんすけど!」

 「SANチェック1d10/1d100で、俺のSANが53だから・・・100ファン!うせやろ!いや、落ち着けまだ終わってないこれで俺が少なくとも11より下ならまだ狂気にならない可能性が・・・アアァッ‼52はアカン、死ぬって‼ちょっと待って不味いやんけ、いや待てよ、1d10で変なの引かなければなんとかなる、よしお、おちけつ、ちゃうわ落ち着けよし・・・1か・・・・ばなな」


 アイツしょっぱなファンぶってしかも直送寸前、そして止めに健忘症とかマジかよ。


 「私が脅かしたのが悪いからな、保健室に連れていくぞ」

 「俺も付いて行きますよ。あの中に1人で入って行ったらなんか俺も病みそうなんで」

 「そうか」


 俺は、朔也を担いで先生と保健室へと向かう。その道中、俺は先生に何が起こったのかを聞いた。先生が言うには先生が駆け付けた時には、狭霧と湯之元さんが何故か殴りあっていたらしい。そして殴り合いになった理由は案の定、龍也に関してであった。多分というか確実に痴情のもつれで起こったのだろう。

 それよりも俺が一番驚いたのは、最初に手を出したのがまさかの湯之元さんだったことである。先生が湯之元さんに話を聞いていた時も、「やっと、たっ君に会えたのにあんな女狐に騙されているなんて・・・害獣は駆除しなきゃ」とずっと呟いていたらしい。いや怖えよ。


 保健室に着いたため、俺は朔也をベットに寝かせる。保健室の先生が言うには、昼には目を覚ますらしい。そして俺と先生は、教室に戻りホームルームを行った。ホームルーム中も俺と先生以外は微動だにせずただ、どこかは分からないが虚ろな目で虚空を見つめていた。ホームルームが終わり、午前中の授業もずっとこんな状態で行っていた。そのせいで午前の授業で何故か俺だけが先生に差される始末。


 昼休みは、響と保険室に行こう。この空間に居たら間違いなく俺は病みかねない。

 

 ただ今だけでいい。

 凄く下らない事を考えているのは重々承知している。

 けど言わせて欲しい。

 ろくでもない事だが。


 誰か、この状態をどうにかしてくれ・・・  



 

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