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人気者がいる場合の部活事情

 まずは状況確認をしよう。

 クラスに入ると今いるクラスメイト全員が静かに座っており、黒板には自習と書かれていた。次の授業は化学基礎で担当は桜井先生である。なお、桜井先生は生徒指導担当の先生でもある事から何かしら起こったのだろう。良く見ると何人かは、教室にいないのに気付いた。

 そして今いない人達の机から分かった事は、その人達は全員龍也たちのグループの人である。

 よって、今何が起こっているのかと言うと…


 ダメだわっかんね。

 

 と言うか正直どうでもいい。自習になった、ラッキーとしか思えないしなぁ。とまあ、そんなこと思いながら俺と朔也は、教室の空気を壊さないように静かに座った。そして授業中、ホームルームとこの空気で進んでいき放課後になった。

 俺は、この空気に耐えられなかった為、逃げるように教室を出る。すると朔也は俺が教室から逃げるように出ようとしていたことに気付いたのだろう、朔也も俺に続いて教室から出てきた。そして俺と朔也は、教室の中が息苦しかったことも遭った為、深呼吸をした。


 「何があったらあんな事になるんだよ」

 「何かあったからあんなことになったんでしょ」

 「その何かが分からないから言ってるんだろうが、てか何が起きたらお通夜の方がにぎやかに思えるぐらいに静かになるんだよ」

 「知らないよそんな事、どうせ明日にでもなれば何があったかわかるでしょ。そんな事よりも今日部活どっちだったっけ?」

 「今日は水曜だから中だろ」


 俺と朔也は中学の時からハンドボールをやっていたこともあり高校でもハンドボール部に所属している。なおうちの高校は、室内競技の部活がそこそこある割には体育館が2か所しか無い為、体育館の使用出来る日と出来ない日がある。その為、放課後は基本的にこんな会話をしている。


 「体育館の練習となるといつも通り、パス練とシュート練やってゲームとかかな」

 「多分そうだろ」

 「森内、山城。ちょっと待ってくれ」


 俺らが話をしながら昇降口で話していると、後ろから声を掛けられた。振り向くと、2年の天崎 洋平(あまざきようへい)先輩がいた。天崎先輩はハンド部の現部長であるののだが、部長になった理由に関しては、くじ引きで。7人いる中で当たりを引いたからという運が良いのか悪いのかが分からない人である。


 「天崎先輩、今日の部活何やるんですか?」

 「今日の部活は休みだってグループラインに送ったはずだが」

 「少し、失礼しますね」


 俺は天崎先輩に一言言ってから、スマホを見る。するとラインのメッセージが送られていて、内容は天崎先輩が言っていた通り部活が休みになったという連絡だった。


 「でも何で部活が休みになったんですか?」

 「松平先生が、急に職員会議が入ったし最近休みが無かったから休みにしておこうって事らしい」

 「何で急に職員会議なんて入ったんですかね?」

 「先生曰く、一年の方で何か問題があったらしい」

 「「あっ…」」 

 「お前らなんか知ってんのか?」


 俺達は、天崎先輩に今日うちのクラスで起こった事を話した。すると天崎先輩は、何とも言えない様な微妙な顔をしていた。

  

 「そういやお前らのクラスにお前らと龍也以外にも狭霧がいるのか」

 「多分、狭霧が突っかかったんだと思いますよ、俺達はその場に居なかったので予想ですが」

 「てかそれくらいしか、原因が思いつかないんですけど」

 

 現在阿武隈高校ハンドボール部は男子と女子の両方があり、2年生16人と1年生20人の男女合計36人である。その中で女子は36人のうちの20人もおり、その中でもマネージャーが9人もいるのである。そのせいか女子に実権を握られているような状態である。

 簡単に言えば指示は男子の部長が出すが、それ以外の事はすべて女子が行っているような状態である。

 ちなみにマネージャー9人のうち一年は8人もいる状態であり、その中にも狭霧 夏織(さぎりかおり)もいる。さっき話に上がっていたが狭霧は俺達と同じクラスであり部活のマネージャーでもある。


 しかし狭霧にはある問題がある。彼女はかなり気の強く人の上を取りに行きたがる性格である為か例外もあるが、結構人当たりが強い。その性格のせいなのか、彼女はマネージャーの仕事をしない。正確に言えば、上からモノを言って別のマネージャーに仕事を押し付けている状態である。

 そして彼女に関してはもう一つと言うよりも、これが一番の問題だと言えるものがある。それが、達也の存在である。


 簡単に言えば、好間達也はこの学校でもトップクラスのイケメンである。どのくらいイケメンかと言うと、入学して1週間で20人の女子に告白され、裏ではファンクラブが出来ていると言う噂が流れるぐらい人気のあるイケメンである。

 嘘くさいと思うが、実際最初の部活動の対面式の時にはマネージャーとして女子が24人も入って来る程である。

 ただでさえ今マネージャが9人もいるのに、25人もいた時にはもう言葉を失ったぐらいにマネージャーが多かった。

 そして、そのマネージャーの8.9割が龍也狙いだと分かった。と言うかあからさまな位ずっと龍也の方をチラチラ見ていた。

 しかし、日に日に連れてマネージャーが減っていき今いる人数にまで減っていった。理由としては簡単で、狭霧が龍也の事を自分の獲物だアピールをし、龍也女子狙いの女子を陰湿に落として言った事によって次々に辞めていくマネージャーが増えていった。

 そんな事をするのであれば、今日来た転校生に対して何らかのアクションを起こすのは間違いがないだろうと言う事で大体の人は狭霧がやったのであろうと思う。


 その現場を見てないから何とも言えないが。


 「まあ、明日になれば何かしらあるだろ」

 「まあ、俺らには特にと言うか全く関係は無いんですけどね」

 「一割ぐらいはあるでしょう、ところでさっきから天崎先輩の後ろで葉月先輩は何やってるんですか?」

  

 朔夜がそう言うと後ろから葉月 桜(はづきさくら)先輩が出てきた。葉月先輩は女子の方の部長で天崎先輩の小学校からの幼馴染らしい。

 なお天崎先輩は、呪いじみた腐れ縁だと思っているそうだ。


 「いやー、誰も私に気付かないもんだからずっと後ろにいたわけ」

 「後ろに居たらだれも気付く訳無いだろ」

 「そんなことは置いておいてヨーヘー、これからカラオケ行くぞー」

 「あのー、拒否権は?」

 「ない!」

 「知ってたよ、畜生」


 葉月先輩は、天崎先輩の腕を掴み引っ張って行った。天崎先輩は何かを諦めたかの様な顔をして連れていかれた。

 

 「・・・・」

 「・・・・」

 「響の事待とうぜ」

 「そうだね」


 あの光景を見た時に何故かは分からないが、響にこの話をしてやろうと思った。 


 「何で天崎先輩は葉月先輩の好意に気付かないんだろうな。葉月先輩があんなに構ってるの俺、天崎先輩以外見た事ないんだけど」

 「一幸、あの二人にとってあれは日常茶飯事なんだよ。多分」

 「幼馴染自体が距離感近すぎて、自覚がなくなってる奴か」

 「多分そうでしょ」

 「どっちも不憫な気がする」

 「気にしてないみたいだし良いんじゃない?」

 「気にするだけ無駄か」

 

 こんな感じのくだらない妄想話をする位今日。学校に居ただけでも色々あった気がする。

 

 

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