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オリンピアの夢  作者: 伊賀嵐 大城
6/10

5話

確定してるいくつかの事実。

真田は顔が良くて、酒が飲めなくて、うるさい。

青山は凄まじかった。



そもそも、CODというのは昔からある一番有名と言っても過言では無いFPSのことで、その中のブラックオプス(BO)というシリーズの最新作を青山はプレイしている。BO1はベトナム戦争を題材としていたのにBO2では急に2025年が舞台になり、その後色々あってBO4で冷戦にまで戻った。


「ふんーー、ーーふんふんーー」

と、青山の鼻息が聞こえる。完全なゲーミングPCとマウスコントローラ等々を配備している青山のデスクは、軍の関係者かと疑うような装いだった。

肝心のそのプレイングが尋常じゃないのだ。無駄のない動きで障害物をすり抜け最低弾数で敵を鎮める。まだ買ってから1ヶ月も経っていないのに、青山はやり込みのその先へ向かっていた。


「な、やばいだろ御幸、プロゲーマーだよなこれ!」

真田の大げさ例えが今回だけは事実のように感じた。

「うん、頭に凄いチップが刺さってそうだね」


青山がプレイしていたチームデスマッチが何試合か終わった。限られた時間の中で相手チームをより多く倒すモードである。相手より少しでも多くキルを稼げば理論上は勝てるモードだが、青山は1回やられる毎に10人の敵を倒している。

サッカーで言うならばボールを受けてから取られるまでに10人抜きをするような状態だ。


「ゲームなんて大した事ないよ、趣味だし。この強さが本物だと良いんだけどねー。」

青山が言いながらメインメニューに戻る。

「怖いこと言うなよ青山ー!笑」

なんとなく青山の気持ちが分かる。自分の才能が別のベクトルにあったら、ということ。100000人に1人の才能が日常を変えるものであったら。

「いやFPSの才能も、ここまで極めたらかっこいいよ」

本心で言った。

何かをそのレベルまですることは本当に難しい。難しいというか、自分はそれが出来たことが無い。


その後は青山のVRヘッドセットとコントローラを用いて三人でマルチプレイをしたり、カスタムマッチで自分、真田対青山などもした。カスタムマッチに関しては勝てなさすぎてテンションがどんどん下がる真田を見るのが面白かった。ゲームにおいて青山は敵にしちゃいけない。


「またゲーム以外でも俺の家来てよ!」

「もちろん、次は腕相撲とかにしようぜ!」

「いや、勝てないから嫌だよ、、」

「だめだ、ゲームだけだと不公平すぎるわ!」

「スマッシュブラザーズでもいいから」

「いや、それもさっきめっちゃ負けたよ俺!」

と玄関前でアグレッシブな井戸端会議をしている2人を引き剥がし青山宅を後にし、自分と真田はお互いの家へと帰った。真田は世田谷区に住んでいるらしい。自分は横浜の二俣川というところなので青山家の最寄りの自由が丘からは1時間以上かかる。

いつの時間でも人の波が絶えない東京に既に嫌気が差す。



大学にもなると、学生達もある程度の分別がつく。いまさらいじめなどは無く、授業中に意味もなく騒ぐなどもおそらく無いだろう。後輩とのセックスをいかに隠し通すかに頭を悩ませるのだ。

だが自分は、2020年の大学生の分別は少しばかり寂しいとも思った。まだ18だというのに何か大人ぶってしまう。決めつける事が増え、形ばかりのコミュニティが広がるだけだと思った。

それが嫌だったので大学は利己的に過ごそうと思った。だが入学から今までに出来た真田や青山という友達に出会いダラダラとゲームをしている時に

「そう決めつけているのは自分かもしれない」

と少しばかり感じた。


考えすぎるもよくないな、ハリーポッターじゃないんだから、自分は。


日付が変わると同時に家に着いた。家族はみんな寝ている。1人遅い夜ご飯を食べ、テキパキと身支度を整える。そしてインスタグラムを流し見しながら眠りについた。
















おそらく、今自分は夢を見ている。





自分の夢には決まりごとがある。



感覚的に動ける時はいい夢で、動けず見させられている時は悪い夢、悪夢だ。

そしてこのように体験的な記憶のある夢のほとんどは、後者。悪夢だ。

覚悟しながら夢を見る。いや、見させられる。


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