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オリンピアの夢  作者: 伊賀嵐 大城
5/10

4話

グリフィンドールでもレイブンクローですらない、ほとんどの人は普通だ。

1年生最初の授業からある程度が経った。

だいたいの教室の場所やシラバスの内容などは頭に入ってきた。サークル募集の前線は随分撤退したが、まだ残党がチラホラ残っている。そもそも、サークルというには同じ趣味を持った同士が集まるものだと思うのだが、無理矢理募集するのはなぜなのだろうか。

この調子だと自分はサークル活動はしないだろう、と思った。高校の部活とはやはり訳が違ってくる。既にあの少し気の合っていた藤田さんはスノボーサークルの先輩のものになったらしい。うるさい真田がそう言っていた。信じたくはない。


そのうるさい真田が電話をかけてきた、水曜4限の途中であった。

「おい、御幸!CODのことなんだけどさー」

あの日以来しばしば真田とはオンラインで一緒にプレイしている。

「同じ学科のやつにめっちゃ上手いやつがいて、しかも一人暮らしだったもんで。」

トイレに行くふりをして電話を続ける。

「おい真田、授業中なんだけども」

「おいおい水曜なのに真面目かよ、単位は賢く取るんだよ」

たしかに、水曜4限に授業を取る人は少ない。

自分の学校では水曜はサークル日という風潮があり、そのせいか人がどっと少ない。自分には関係が無いし、そもそもサークルにそのままいけよとも思うが人が少ないのはありがたいので水曜にはみっちりと授業を詰めた。つまりは賢いのだ。

「それで、その友達とプレイしよっていう事だよな?」

「そうそう、まぁともかく会って友達になって欲しいし今日そいつんちに行こうぜ!」

「うん、了解。授業終わったらまた連絡する」


急なできごとではあったがそのCODが上手い友達に会うのが楽しみでもあったので、すんなり了解した。一体どんな人物なのであろう。




「どうも、入って」

その日の夜、大学から10分のかなり広めのアパートに住んでいる青森という男と出会った。例のその人物だ。

「お邪魔します」

「よう青森、この隣にいるタバコ吸わなさそうな顔の男が御幸だよ!」

「逆に御幸くんじゃ無かったら困るよ。よろしく御幸くん、俺は青森。」

意外であった。青森はいわゆるオタクだった。自分はオタクに偏見は無い。自分もゲーマーであるし、本格的にでは無いが部活の終わった夜遅くにアニメも見ていた。ので、自分も広義でオタクだからだ。

だが思春期の長い間において淘汰され続けるのがオタクであるとも思っていた。が、その青森の家に自分と、真田が、いる。真田による企画で。それは少し不思議な風景だった。

人間というのを比較するのはとても嫌いではあるが、常識はそれを許してくれない。分かりやすく言えば

"クラスのうるさい奴らは、オタクを馬鹿にする"

真田はこの常識を壊してくれるのかもしれない。


回りくどくなったが、この3人が出会ったことには恐らく意味がある、かもしれないと思ったということだ。


青森とはすぐに仲良くなった。


テレビの横にある年季の入ったルイズのフィギュアとそのさらに隣に貼られているフロイトの肖像を見て、真田が

「これがアニメのキャラなのは分かるんだけど、隣のおっさんは誰だよ!祖先?」

そのおっさんは心理学の父だよ、真田。という哀愁の顔を自分と青森はした。


大体こんな感じでしばらく話し込んだ後に、肝心のゲームを始めた。例のCODだ。


控えめにいって青森は天才であった。




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