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第5話 ギルド試験を受けよう!その3

 

「ええと、これもまた騒ぎが起こったが無事に終わったということにしよう。最後に剣技の検査を行う!対戦相手は俺だ」


 レインは剣を抜く。


「止めというまで攻撃を続けてくれ。もちろん魔法との組み合わせも許可するし、剣技とは言ったがそれ以外の武器でも大丈夫だ。武器を持っていないやつは剣を貸し出すから言ってくれ。みんな俺を殺すつもりでかかってこい!」


 レインが大きな両刃の剣を前に構えると何やらオーラが出ている気がした。

 これが元Aランクの実力ということだろう。


 俺の思った通り、受験生は誰一人歯が立たなかった。体の動かし方や剣の扱いが段違いに上手い。


「最後はタクミお前だ!」

 17人相手してもまったく息の上がっていないレインから声がかかった。


「剣は貸すぞ、重いから気をつけろよ」

 そういわれて俺は剣を受け取る。多分2キロぐらいあるな。

 てか、生まれて初めて剣持ったのに戦闘なんてできるわけないだろ!!


【剣を用いた戦闘に適した魔法を付与しましょうか?】

 アカリが俺に聞いてくる。


【ああ、頼んだぞ。くれぐれもほどほどにな】

 さっきの前科があるから俺は念を押しておく。


【かしこまりました。それでは付与を開始いたします。剣重力無効、切断強化、対物理攻撃バリア、対魔法バリア、瞬発力強化、身体防御力強化、疑似聖騎士化を行います】


 待て待て待て、一気に魔法掛けすぎ!!!全然話聞いてないじゃん! 


【魔法減らせって!さっきみたいになったら困るだろ!】

 俺は慌ててアカリに命令した。剣重いのは嫌だし、怖いからバリアはそのままにしてほしいが、なんかそれ以外はヤバい気がする。


【ですが、魔】

「よし始めるぞ!!!!」

 まずい。アカリに魔法を解かせるよりも先にレインが剣技開始の合図をしてしまった。こうなってしまったらやるしかない。


【アカリ!事故が起こったらお前が責任とれよ!!!】

 俺は魔導書をリュックにしまうと、恨み節を吐きつつレインの方に体を向けた。


 レインは格上の余裕からか、その場に構えるだけで一切動こうとしない。しかし、どこにもスキがないのは素人から見ても明らかだ。むしろ、立っているだけなのに、こっちに命の危険が及びそうな殺気が飛んでくる。


 これは試験だからレインが俺を殺すようなことはないし、バリアもあるから大丈夫だ。と自分に言い聞かせる。そして浅く息を吸って呼吸のタイミングを整えると、意を決して足に力を入れ、駆け出した。



 ブン!!!!ドン!!!!ガシャーン!!!!!


 ん?なんだ?なんの音だ???何か軽いものに当たったような気もするが、状況が分からない。まだ走ってレインのところに行こうとしただけだぞ?


「タクミ!少しは加減をしろ!!相手が俺じゃなかったら死んでたぞ!!」

 なぜか草原の奥の方からボロボロで、剣の柄だけ持ったレインが現れた。刃の部分は折れたらしい。


「なんでそんな怪我してるんですか!?」

 俺は慌ててレインに問い返す。


「なんでってお前のせいに決まってるだろ!!、、、最初の剣の握り方からして完全に素人だと油断した俺が馬鹿だった」

 レインが息も絶え絶えにそういった。



「一歩踏みこんだ途端に瞬間移動かってぐらい早く突っ込んでくるし、、、それにあの剣さばきはなんだ?王直属の聖騎士並みだったぞ。、、、、、、とっさに身体強化魔法をかけてフル防御に徹したからよかったが、本当に死ぬかと思った、、、」


 そういえばさっき疑似聖騎士化とかアカリ言ってたよな。俺はアカリの魔法に改めて際限がないと悟った。


【さすがはレイン殿、あの攻撃にも耐えられますか。さすがはAランクです。】

 と、上から目線で褒める。というか、耐えられなかったらどうするつもりだったんだろう。


【それまでの男だったということです。とはいえ、死なれては困るので、絶命直前に回復魔法はかけますけどね】

 (アカリ)がそんな風にいった。この人だけはほんと敵に回したくない。ので怒るのは諦めた。




「元Aランクの冒険者を吹っ飛ばしたぞ」


「化け物通り越して魔王なんじゃないか」


「さっきビリとか言ったやつ殺されるんじゃないか?」


「oqkdycbnmu!:+=~$&」(←さっきビリと言ったやつ)


 断じて魔王ではないし、そんな理由で人を傷つける理由もない。これは別の意味で同期の中で浮いてしまったな。


「お前の力はよーく分かった。なんでそんなに強いのかは聞かん。必要以上に詮索しないのも冒険者のマナーだからな。ただ、この試験の結果は上に報告させてもらうぞ」


 レインはそう言いながら、青緑色の液体をカバンから取り出して飲んだ。回復薬だろうか。ほんとに悪いことをしたな。


「本当にすみませんでした。ケガさせてしまって」

 俺は誠心誠意謝った。


「気にするな。殺す気でかかってこいと言ったのは俺の方だしな。むしろ、こんなに優秀なやつと知り合えたんだから礼を言いたいぐらいだ」

 そう笑顔で答えてくれた。レインは人徳者だなと俺は思った。


「さあ、いろいろあったがこれで試験は終了だ!結果は後日通達する!と、言ってもいいのだが、面倒だから今言うぞ!全員合格だ!みんなは今を持ってFランク冒険者となった!帰りにギルドによって証明書の発行手続きをとるように!」

 レインはみんなの方を向き、高らかに宣言した。


 受験生から歓声が上がる。俺も胸をなでおろした。最初の検査のときはどうしようかと思ったぜ。


「そしてこれからは俺のことを先生と呼ぶように!なぜなら俺がこのままお前らの指導員となるからだ!Fランクの間は基本的に俺の指導を受けてもらう。クエストの初歩も知らずに依頼を受けて死なれては困るからな!」


「最後に一つ!タクミ!お前は個人的に話があるから俺と一緒に残るように!それ以外は解散だ!明日の9時にギルド前に集合すること」


 あ、やっぱそうなりますよね。


 ほかのみんながワイワイと町の方へ帰る中、俺はレインと、おっと言い間違えた。先生と一緒に草原に残った。


「あの先生。話とは何でしょうか?」

 俺は恐る恐る聞いてみる。


「いや、そんなに長い話をするわけではないのだが、要約するとお前さんはおそらくFランクではなくCランクあたりからのスタートになると思う」

 そう先生は切り出した。


「さっきの試験からして、明らかにFランクの技量を超えてる。ぶっちゃけ俺より強いからSランク以上に推薦したいんだが、Sランク以上は国王の推薦がないとなれないから今は不可能だ。それにいきなり高ランク認定すると上もうるさいからな。だから間をとってCランクというわけだ」


「とはいえ、俺が持つ試験官としての権限はFランクに合格させるか否かだから、これからギルドに帰って試験結果を報告してから会議に挙げることになる。まあほぼほぼその要請は通るだろうな」


「分かりました。よろしくお願いします」 

 あれだけ派手にやらかせばそうなってもおかしくはないな。でも最初から高いランクをもらえるのは嬉しい。目指せるのなら強い冒険者になりたいからね!


【、、、私がいる時点で世界最強など容易いことですけどね】

 うん、本当にアカリ、いやアカリ様のおかげです。



「さ、今日はおしまいだ。暗くなる前に帰るぞ。日没とともに門が閉まるからな」


 こうして俺とレインは町に戻り、ギルドで冒険者登録の手続きをするとそこで別れた。


 俺は昨日と同じ宿屋に戻るとベットに腰を下ろした。かなり一日が長く感じたな。でも、明日からもっと忙しくなりそうだ。


 俺は夕食を食べると明日に備えぐっすりと眠った。

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