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第4話 ギルド試験を受けよう!その2

 

「魔力ゼロの人間なんて聞いたことないぞ」

「測定ミスか何かなんじゃないか?」


 レインの言葉を聞いてさらに周りがざわつき始める。


「お前ら静かになれ!しかし困ったな、魔力がない人間なんて聞いたことがない、、、」


 この世界の人間は誰でも体内に魔力が存在している。

 なので、個人差はあるにしてもみんな魔法が使えるそうだ。


 だが、俺の場合には魔力を持っていないため、たとえどんなに訓練しても魔法は使えるようにならない。



【それもそうでしょう。タクミ様は魔法のない世界から来た人間です。体内に魔力があるはずがありません】


【アカリは分かってたのかよこの結果!そういえば、ユイはどうなんだ?あの人も日本から来たんだよな?なんでユイは魔法が使えたんだ?】


【ユイ様は日本にいたときに交通事故にあい、死亡した後にこの世界に生まれ変わりました。いわゆる転生ですね。そのため体はこの世界で生まれたものだったので魔法が使えたのです】


 もうちょっと早く教えてくれよ、、、、魔法使えるようになるの楽しみにしてたのに、、



【ご安心ください。この私がいれば魔力ゼロのタクミ様でも魔法が使えますから】


【本当か!?頼む使えるようにしてくれ!】


 俺は藁をもつかむ気持ちでアカリに頼んだ。異世界まで来て魔法も使えないとか悲しすぎる。


【かしこまりました。私の持つ魔力をタクミ様にリンクします】



 そういうと、しょっていたリュックからアルファベット、ひらがな、漢字、カタカナの混じった文字が飛び出して俺の中に入っていった。おそらく、その発生源は本だろう。


 周囲の反応からして、ほかの人には見えないらしい。


【リンクが完了しました。これで、タクミ様も魔法が使えるようになります。私の持つ魔力をタクミ様が引き出す形で魔法を発生させます。また、その過程も私が補助しますので、基本的にタクミ様はやりたいことを日本語で思い浮かべるだけで大丈夫です】


 なんかかなりチートな能力な気がする。


 こんなやり取りをしていると


「タクミ、この後の試験やめたほうがいいんじゃないか?冒険者は魔法を使いこなすことが基本の職業だ。だから魔力を持たないとつらいぞ」

 レインが声をかけてきた。


「いえ、もう一度やらせてください!もう一回やり直せば大丈夫なはずです!」


「そうか。無理しなくていいからな」

 レインはそう励ますように言ってくれた。



「もう一回やり直してところで意味ないんじゃないか?」

「まあ、どうせ生えても指の爪レベルだろうし、ビリはあいつだろ」



 そんな声も聞こえてきた。そりゃ魔力ゼロならそんな反応が返ってくるよな。


 でも、アカリに魔法使えるようにしてもらえたはずだから大丈夫なはずだ。


 俺はもう一度マジックラビットを抱きかかえる。すると、

【魔力リンクを開始します。】

 そんなアカリの声が頭の中に響く。


 すると角はぐんぐん伸びていき、1メートン、2メートン、3メートンを超えたところで止まった。


かなり長い槍を持っているような気分だ。なんかマジックラビットまで驚いたような表情してるぞ。


「ど、どうでしょうか?」

 俺は恐る恐るレインに聞いてみる。



「どうしたも何もなんだその長さは!こんな長さになる奴なんか見たことがない」

 レインも開いた口がふさがらないようだ。



「生物の本でマジックラビットって2メートン以上の角は形成できないって読んだんだけど、、」

「けど、あれ3メートン以上あるぞ!」

「俺に言われても知らねえよ!!」


 さっきよりももっとざわつき始めた。


「お前の魔力量はよくわかった。多分魔力量が多すぎて最初は角ができなかったんだな。お前が文句なしの一番だ!これより魔力量の多いやつはSランクでもいるか分からん」


 どうやらやりすぎたようだ。とはいえこれは自分で制御できるような代物ではないからしょうがない。

 次の試験からはほどほどにしよう。


「気を取り直して次の試験に行くぞ。次は的あての試験だ!各自自分の使える魔法をあの的に当てろ。壊すつもりでいいぞ」

 そういうとレインは原っぱの奥の方を指さした。確かに木でできた的が30メートン先にある。


「かなり遠いな」

「あたし絶対当てられないわよ」


 受験生の弱気な声が聞こえてきた。



「それじゃあさっそく始めるぞ」


 今度は番号がランダムで呼ばれた。

 結果で言えばほかの新人冒険者たちの成績は散々だった。


 的に当てられた人が5人、ほかが外す、届かず、そもそも遠距離魔法が使えないのどれかだった。


「最初はそんなもんだ。これから覚えていけばいい」

 そういってレインはみんなを励ました。


「最後は18番!準備はいいな?」

 最後の部分はささやき声で聞いてきた。


「大丈夫です!頑張ります!」


 そういうと俺は本を取り出し、開いた状態で構えた。



「魔導書を構えたぞ!それに見たことがない文字だ!」

「さっきの魔力量を考えればすごい魔法を出してくるに違いない!」


 なんか期待されてるみたいだな、今まで人生でそんな反応されたことないからくすぐったい。


【アカリ、あの的を壊したいんだけどどうすればいい?出来れば派手に壊したい】


 前言撤回!初めての魔法だしどうせだったら派手にやってみよう!


【そうでしたら、炎魔法にしましょう。火力はどれくらいにしますか?】

【強めで頼む】


【かしこまりました。炎魔法を発動します】



 開かれた白紙のページから赤い文字が浮かび上がり、魔法陣を描き出す。

 そして次の瞬間。


 バァン!!!!!!!


 とんでもない炎の光線が的めがけて飛んでいく。

 俺はあまりのまぶしさに目を閉じた。

 明るさも収まって目を開けると、、、、、、焼け野原が広がっていた。


 や、やりすぎだろぉーーーーー!!!!!



 的の方角一面が焼け野原に変わっていた。ここまでくれば事故だ。


【いくらなんでも威力高すぎだろ!!!!】

 俺はかなり語気を強めてアカリを問いただす。


【ですが、出力を強めるようおっしゃったのはタクミ様の方です】


 確かにそのとおりだけど、、、しかし初めて発動させた魔法がこんな馬鹿げた力だなんて思ってもみなかった。

【アカリ、これより強い魔法なんて持ってないよな?】

 俺は怖くなって聞いてみた。


【何言っているんですか、さらに強い火力で打つと一瞬で街がなくなるのでその辺は加減してます。そもそも炎魔法自体が大したレベルの魔法ではありません。もっと威力の高い魔法を使うことも可能ですよ】


 ここまでくると言葉にしようがない。まあ、当分は炎魔法を威力を()()()弱めて使うことにしよう。



「タクミ!!!!!お前何をした!!!!!」

 やばい!レインがとんでもない形相をしてこっちに近づいた来た!


「すいません、緊張したらこんなことになってしまいました!」

 ここまで来たら謝り倒すしかない。


「今回は大目に見るが、次は気を付けるんだぞ。しかしこの年でこの威力とは末恐ろしいわい。ひょっとしたら20年ぶりのSSランクにでもなるんじゃないか」


 レインは魔法を唱え始めた。すると、上空に雨雲ができ、燃えていた原っぱに雨が降り注いだ。


 まあSSランクの魔法使いが作った魔導書のおかげなんですけどね。




「、、、おい。今の魔法の威力見たか?桁違いの威力だったぞ」


「いや、あそこまで来たらもはや化け物だぜ」


「そういやさっきビリとか言ってたやついたよな?」


「お前だって言ってただろ!」


 同期よ怖がるのは止めてくれ、、、、、


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