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第17話 突撃!

「来たわよ。ゴブリン」

 ソフィアが小声でささく。村長の屋敷の窓際から近くの畑を観察していた俺たちは、ゴブリンが現れたことで行動を開始する。


「いいか。()()()()()気づかれないように。」

 俺はルーシーとステラに念押しした。


「わかってるって!あたしにまかせてって痛い!」

「当たり前でしょ。もうゴブリン来てるんだから大声出さないでよ」

 、、、ステラに頭たたかれてるけどルーシー本当に大丈夫だろうな。


 今回、やってきたゴブリンをただ狩るのではなく、追跡して一網打尽にする作戦になった。

 そのために小柄なルーシーとステラが尾行係になるわけだ。


【念のため隠密魔法をおかけいたしましょう。そうすればゴブリンに気づかれることはまずありません】

【確かにそうしたほうが安全だな。よろしく頼む】


「ステラ、ルーシー、今から魔法をかけるぞ。追跡に向いてる魔法だ」

「ありがとう。助かる」

「ありがとう!」


 アカリに2人へ隠密魔法をかけてもらう。(といっても他の人からすれば俺がかけてるように見えるわけだけど)


 すると二人の姿はかなり意識をしないと認識できないようになった。気を抜くとすぐに二人が視界から消える。


「すごい!自分の姿も見えなくなってる!」

「これなら安心ね」


「ゴブリンが動き始めたわ!」

 ソフィアの指さす先を見ると2体のゴブリンが森の方へ戻っていくところだった。


「行くよ。ルーシー」

「じゃあみんな行ってくるね!」

 二人は屋敷を出てゴブリンを追跡し、森の中へと入っていった。あとは2人が帰ってくるのを待つだけだ。


 そして2時間ほど屋敷で待機していると。


「戻ってきたよ!!」

「おわっ!!びっくりしたあ!!!背後から話しかけるなよ!!」

「背後じゃなくて真正面なんだけど、、、」


 隠密魔法の威力強すぎ!


「とりあえずこの魔法解いて。そしたら報告するね」

 アカリに頼んで魔法を解いてもらうとステラの方から説明が始まった。


「ここから30分ぐらい森の中に入ったところにゴブリンが30匹ぐらいいる。なんか柵みたいなのが並んででその内側に全てのゴブリンが集まっている感じ」


 この村の背後には広大な森林が広がっている。


「30匹か、それなら僕たちでもなんとかなりそうだな」


 ライアンの言う通りゴブリンは1匹あたりのランクはFランクと低く、その個体数が多くなればなるほどランクが上昇していく。


 30匹となると俺たちのパーティーランクと同じEランク相当だ。


 もちろんこれ以上の個体数に増えるとさらにランクが上がっていくが、それより前に冒険者に滅ぼされることが多い。



「よし、俺たちもそこに行こう。二人とも案内を頼む」


 畑の脇から森の中に入り、ルーシーを先頭に進んで行く。しばらくすると、

「着いたよ。ここがゴブリンの住んでるところ」


 さっきの反省から小声で話すルーシーの後ろ側からのぞき込むと、青い体で頭から小さい角が生えたゴブリンたちが確かに30匹ぐらいいた。


 またその住まいは柵に囲まれた30メートル四方の内側にボロい掘っ立て小屋がいくつか並んでいるだけの粗末な作りだった。ゴブリンの知能から考えればこんなもんなのだろう。


「こっちは6人いるわけですし、このまま正面突破で良さそうですわ」


「大分強気だな。でもそれで良さそうだ」

 弱そうなゴブリンを見ているとそんな気分に俺もなってきた。


「さあ突撃だ!」

 ライアンの合図で俺たちは草陰から飛び出した。


「ガガッ!?」

 柵の入り口部分で見張りをしていたゴブリン2匹が俺たちに気づく。すぐさま木でできた槍を俺たちに向けて構える。


「あたしの槍にかなうと思ってるの!?出でよ!!グリーンスピアー!!」

 ルーシーが魔法を唱えると自分の手からまるで植物生えるかのように太いツタが絡まり合った木製の槍が現れた。


「ぷっ、結局ゴブリンと武器一緒じゃん」

 ステラは小声で後ろからツッコミを入れる。


「うるさい!見てなさいよ!せい!」

 ルーシーの槍がゴブリンの槍とぶつかる。するとツタがゴブリンの槍を覆いはじめ次の瞬間にはゴブリンまで覆い締め付け始めた。


「ギャッ!!」

 ゴブリンはそのまま圧死してしまう。


「今の見てた?この槍強いんだからね!!」

 うん、あの槍持ってるときルーシーには近づかないでおこう。うっかり触っちゃったら死んじゃいそうだ。



 ルーシーが先陣を切った後俺たちもどんどんゴブリンを狩っていった。ちなみに俺は今回も剣だ。敵味方入り混じるような状況で魔法使ったら被害が出るかもしれないからね。


 ものの15分で俺たちはすべてのゴブリンを討伐した。誰一人怪我をしていないところからもみんなの力量が上昇していることを感じられる。


 ぶっちゃけこの前のイノースの方が強そうだったもんね。俺の相手はジャイアントイノースだからなおさらだ。


 しかし俺たちは1匹のゴブリンが襲撃と同時に真っ先に奥の森へ逃げていったことに気づいていなかった。

 そう、()()()()()()を除いては。



 ーーーーー


「あれ?おかしい」

 ゴブリンの角を討伐証明として回収していたライアンが首を傾げた。


「どうしたんだ?」

「ここにいるゴブリンすべてオスみたいだ」


 ゴブリンも生物だから雌雄揃っていなければ子孫を残すことはできない。メスはどこに行った?


「偶然にしては出来すぎてるな」


 それに、ここにある建物に手掛かりらしきものはないし、再び住み着くことを防ぐために建物や柵はすべて燃やさなければならない。


 あれ?そういえば盗まれたって言ってた農具とかも見当たらない。なんでだ?


「とりあえず、撤収だな」

「ああ、そうするしかない」


 建物を燃やし終えると俺たちはマーチに戻った。うーん、なんか引っかかる。


 といっても何か出来ることがあるわけではない。目的のゴブリンの集落を倒すことはできたし明日には帰れるだろう。

 そんな気持ちで俺たちは1日を終え、眠りについた。







【・・・・・・・・・・】

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