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第16話 新しいクエストへ

 2日の休養をはさんだ後、俺たちは再びギルドに集まった。

 早速俺とライアンの二人で〈クエスト受注相談所〉へ向かう。


「いらっしゃいませ。クエストをお探しですか?パーティーカードの提出をお願いします」

 受付の人に言われてライアンはカードを取り出して渡した。


「Eランクパーティーですね。少々お待ちください」

 受付の人はかがんで机の引き出しを探ると4、5枚の紙を取り出し俺に手渡した。


「これが現在Eランクパーティーに受注可能なクエストです。決まり次第またこちらに戻ってきてください。なお、クエスト受注は早い者勝ちなのでお気を付けください」



 俺たち2人は1階の飲食スペースのテーブルで座っている他の4人のところに戻り紙を見せた。

 みんなテーブルに顔を寄せつつそれぞれの紙を見やる。


「どれにしようか?」

「やりがいがありそうなものがいいわね」


 もらってきた5枚のクエストを見ていくと採取、討伐、農作業などが含まれていた。


【アカリ、この中だったらどれがよさそうだ?】

【ゴブリン狩りがよろしいんじゃないですか?初めてのパーティー単独行動ですし、ここら辺から始めるのがちょうどいいと思いますよ】


 そうだな。それがちょうどいいかもしれない。

「みんな、ゴブリン狩りはどうだ?初めてだし、ここら辺から始めようぜ」


「うーん、、それがいいかな!また町の外に出られるし!」

 ルーシーの賛成を筆頭にみんなも賛成してくれた。


 俺とライアンはゴブリン討伐の紙をもって受付に戻った。


「すいません、これでお願いします」


「かしこまりました。少々お待ちください」

 数分すると、バンッと紙にハンコを押してライアンに1枚の紙を手渡した。


「こちらがクエスト受注証明書となります。それではクエストに行ってらっしゃいませ」


 俺は横からクエスト受注証明書に目を通す。どうやらマーチという村のようだ。


「みんなマーチって村知ってるか?」

 俺は再びみんなのところに戻ってきた。


「その村なら聞いたことがありますわ。確か馬車で1日ぐらいの場所でしたわ」

 さすがオリビアは博識だ。


「そうなると今日中に着くのは難しいね」

 ステラの言う通り、12時を回っている現在からではたどり着くのは難しい。


「よし、今日は準備に充てて明日の朝出発だ!」


 俺たちは食料の準備などを済ませて明日に備えた。


 ーーーーー


 翌日俺たちは早朝から馬車に乗ってマーチへ向かう。

 この世界では車や鉄道がない分馬車が発達している。そのため何回か乗り継ぎしたがマーチまで馬車のみの移動手段でたどり着くことが出来た。この前みたいに歩きがあったら大変だからね。


 そしてそろそろ日も暮れようかという頃マーチに到着した。

 俺たちしか乗せていなかった馬車が見えなくなるまで見送ると、村を歩き始める。


「ねえ、この村なんか暗く感じないかしら?」

「そう?ただ日が暮れてきたからじゃない?」


「ルーシーは黙ってなさい。確かにそうね、なんとなく覇気がない感じがする。」


 確かにソフィアやステラが言うように暗い。先日訪れたリールと同じのどかな農村のはずなのに。


 そんなことを考えていると、歩いている人を目撃したライアンが声を掛けた。


「すいません、冒険者なんですがゴブリン狩りにやってきました」

 そういってライアンはクエスト証明書を村人に見せる。


「あんたたちが冒険者かい。助かるよ。いきなりで悪いんだが村長の屋敷へ案内するから付いてきてくれ」


 村人に連れられてやってきたのはこの村の中では一番大きな屋敷だった。門を潜り抜け玄関までやってくると


「おふくろ!!冒険者様がお目見えだ!!」

 村人が奥の方に向かって叫んだ。すると中の方から一人の50歳ぐらいのおばさんが出迎えに来てくれた。


「ようこそおいでくださいました。村長の妻でそこにいるカレブの母でもあるリドネです。どうぞおあがりください。村長は奥にお待ちです。」


 俺たちは家に上がり奥の部屋へと案内される。そこは板張りの部屋で一番奥には一人の男性が座っていた。


「よう来てくだすった。わしの名前はゾンドじゃ。ささ、こちらに座ってくだされ。」

 促されるままに6人が横一列に並んでゾンド村長と向かい合う。


「息子さんのカレブ殿にはお話しいたしましたが、我々はゴブリンを退治しにやってまいりました。現在の被害の状況を教えてください」

 ライアンがこう切り出した。


「あい分かりました。お教えいたしましょう。1月ほど前から農作物が奪われるようになりましてな、最初は誰かが盗んでいるもんだと思ったんですが、段々盗まれる量が多くなってきて困ったもんですから交代で見張りをしとったところ、ゴブリンの仕業だってことが分かったんです」


 ここでゾンド村長は手元にあったお茶のような飲み物をすすると再び話をつづけた。


「そんで、これまた村の若者が交代で見張りをしながら、現れたゴブリンを倒していっとったんです。ただ、どんどんゴブリンの数が増えていってわしらだけじゃ手に負えなくなってしもうた。若者は怪我をするし、挙句の果てには農具まで奪われ始めて困り果てておるのです」


 ゾンド村長は深いため息をついた。これが村全体に活気がない理由か。

 俺たちが予想していた以上にゴブリンの被害が深刻だったようだ。それにゴブリンって農具まで奪うんだな。


「わかりました。まず俺たちの方でもゴブリンの状況について調査してみます。また何かあったらお聞きします」

 これは一刻も早く解決したほうがよさそうだ。


「かたじけない。せめてものお礼じゃが、この屋敷の部屋を寝泊りに使ってくだされ」

 よかった!これで野宿の心配はなくなった。


 この村のためにも明日からゴブリンを狩りまくるぞ!


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