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第15話 パーティー正式決定

「よし、Aパーティーが帰ってきたから話を進めるぞ」

 レイン先生は村から借りた家屋に3パーティー全員を集めて話を始める。


「まず、みんなご苦労だった。初めての魔物討伐で悪戦苦闘した人もいるかもしれないが、ここでの経験を生かしてもらいたい。そして、イノースを1人で討伐できた人達に朗報なのだが、討伐に成功したものは全員Eランクに昇格だ。Fランクで必要な技術はすべて身に着けたからな」


 俺たちAパーティーの面々は全員大喜びだ。


「これでAパーティーは全員Eランク以上になったから、Eランクパーティーに昇格だ。次のクエストからはギルドでクエストを自ら選べるぞ!」


 おお!俺たちだけで冒険できるようになるのか!一歩前進した気がするぜ!


「今日倒すことが出来なかった人が何人かいると思うが安心してくれ。明日俺が直接指導して倒せるようにしてやる」


 何人か暗い顔をしていたが、この言葉を聞いて少し安心したような顔になった。

 確かに出来るようになるまで教えてくれるのなら、確実にEランクに進めるからね。


「残りの人たちは明日、引き続きイノースの狩りを進めてくれ。幸いタクミがジャイアントイノースを討伐してくれたおかげでしばらくイノースも増えることはないだろう」



「ジャイアントイノース!?そんな魔物を冒険者になって数日で狩ることが出来る人間なんているのか!?」

「山で出会わなくて本当に良かった、、、、」

「どう?あたしたちのタクミ強いでしょ」

 おいルーシー、他のやつに自慢するな。


「連絡は以上だ。今日はここで泊まることになるが、食事などは村の方のご厚意で用意してもらっている。たくさん食べて明日に備えるように!」


 俺たちは移動と狩りの疲れもあってか食事を取るとすぐに眠ってしまった。


 ーーーーー


 次の日にも俺たちはイノースを狩りまくり、全部で30匹は倒す活躍を見せた。


 このおかげでリールの周辺にはイノースがほとんどいなくなり、しばらくの間は農作物の被害も出ないだろうということで村人からもかなり感謝された。


 異世界に来て褒められる経験は初めてだったので少し気恥ずかしかった。


 全員がその日のうちに討伐を成功させ、Eランクに昇格すると、さらにもう一泊して朝に馬車に乗って帰る。あっという間にカーイルの街に戻ってきた。


 ギルドに帰ってきてそのまま2階の部屋に集まり先生が話を始めた。


「えー、今回のイノース討伐を終えて、全員がめでたくEランクになった。これで私が指導係をするのは終了になる。とはいえ俺はいつもギルドにいるから何かあったら声をかけてくれ。短い間だったがありがとう!」


 俺たちからは自然と拍手が沸き起こる。


「最後の連絡だ。全員帰りにギルドカードをEランクのものに交換するのと、パーティーを組むのならパーティーカードを発行すること!それと同時に今回のクエストの報酬金が支払われる。では解散!」




「ねえ、あたし達このまま6人でパーティー組まない?」

 ルーシーが5人に声をかける。


「珍しくルーシーと気が合った。うちも同じ意見」

 ステラも頷く。


「まあまあ悪口は言わないの。私も賛成よ!」

 ソフィアも笑顔で答える。


「僕もそうしてもらえると嬉しい」

「わたくしもですわ!」

 ライアンもオリビアも即答する。


 みんながこっちの方を見てくる。俺だって答えは決まってるって。

「ああ、勿論だ。みんなよろしくな!」


 俺たちはこの時を待って正式にパーティーを組むことを決定した。



 早速俺たちは下の階へ降りて登録に向かう。

 〈冒険者サポートセンター〉のカウンターの前に行くと。


「ようこそサポートセンターへ!どのような要件ですか?」

 ギルドの制服を着た若い女の人が応対に当たる。


「ギルドカードの昇格手続きとパーティーカードの発行をお願いします。後ろの人達も同じです」

 ライアンが自分のFランクカードを見せながら言う。


「皆さんがパーティー全員ですか?そうしましたら全員のカードを提出していただければまとめて登録いたします」


 俺たちは全員カードを提出した。俺のカードを見たときは少し驚いていたが、それ以後はそぶりも見せずに作業していた。


 15分ほど待つと

「お待たせ致しました。こちらが先にギルドカードとなります。タクミ様のみ昇格はございませんが、後の方はFランクからEランクのカードに変更されています。そして、これが今回のクエスト報酬金です。お受け取りください」


 ギルドカードはちょうど日本で言う運転免許証ほどのサイズのもので、魔法がかけられており、偽造の類は一切することができない。


 ランクが上がるごとにカードもどんどん豪華になる仕組みだ。

 みんな嬉しそうに自分のカードを手に取る。


 ちなみに今回の報酬は俺が金貨12枚、他の5人は金貨4枚だった。おそらくジャイアントイノースの討伐報酬がかなり良いのだろう。


 1人だけ報酬が多くなっていても、みんな気にしていなかったのはこっちとしてはありがたった。

 実力主義だから構わないと言われはしたが、申し訳ないなとは思うからね。


「次にこちらがパーティーカードになります、皆様の場合パーティーランクはEランクとなります。こちらは1枚となりますのでリーダーの方がお持ちください」

 ブロンズ色のカードが1枚渡された。


「そういえばリーダー決めてなかったな。誰にする?」

 俺がみんなに聞くと


「それはタクミに決まってるだろう。ランクも1人圧倒的に上なんだから」

 ライアンが何言っているんだ?という感じで答えを返してきた。


 うーん、でもやりたいとは思わないんだよな。偉くなりたいわけじゃないし。


「俺よりライアンの方が向いてるんじゃないか?俺よりまとめるの上手いし絶対そっちの方がいい」


「いやいや、そんなわけにはいかない。僕には実力不足だ」

 と真面目に断ってきた。うん、そう言うところが向いてると思うんだよね。


「いや、適任だと思う。むしろライアンにやってほしい。他のみんなもいい?」


「私は賛成よ。ライアンキャンプの時仕切りとか上手かったし」

 ソフィアを始めみんなも頷いてくれた。


 こうしてライアンがリーダーに就任し、パーティーカードを受け取った。



 さあ、いよいよ本格的に異世界での冒険者生活が始まるぞ!


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