第12話 リールに到着
今日で投稿開始からちょうど1ヶ月が経ちます。あっという間です笑
引き続き応援よろしくお願いします!
【タクミ様、おはようございます。起きてください。】
「うーん、まだ寝かせてくれ、、、」
【ダメです!!!!!起きなさい!!!!!】
「うおぁ!」
あまりの大音量に奇声を発しながら俺は飛び起きた。
「ん?タクミどうした?ああ、もう朝か。おはようタクミ」
俺の声でライアンを起こしてしまったようだ。
「おはようライアン。起こしちゃって悪い」
「構わないさ、どうせ起きる時間だ」
こうして俺たちは装備を整えテントを出る。するとすでに起きていたルーシーがこっちに走ってきた。
「タクミおはよう!早速なんだけど食べ物頂戴!」
ルーシーが両の掌を俺の目の前に差し出す。
「いいけど体調は大丈夫なのか?」
「体調?何のこと??それよりも早く頂戴!なんでか知らないけどとっっってもお腹が空いてるの!」
ルーシーの顔は空腹で死にそうだったので食料担当の俺は本から昨日の残りのスープなどを取り出す。
それをルーシーは手に取るとガツガツと食べ始めた。
【なんかルーシーいつもより量を食べてないか?】
俺はルーシーの様子を見ながらアカリに問いかける。
【確かにそうですね。昨日あまり食べられなかったからではないですか】
それもそうだな。それにたくさん食べられるようになったと言うことは体調も戻ったってことだしいいことだ。
【(本当は一口も食べてないんですけどね)】
【今何か言った?】
【いえ、何も言っておりません】
まあこれからイノース討伐が控えてるし、腹ごしらえは大切だからな。
「、、、っていくらなんでも食べ過ぎだろぁぁぁぁぁ!!全員分の食べるんじゃねえ!」
「痛いっ!!ちょっと食べてる時に叩かないでよ!!」
ーーーーー
残りのメンバーも起き出し、軽め(ルーシーだけは超ヘビー級)の朝食を取ると、俺たちはテントを片付け再び出発した。
そして2時間ほど歩き、11時を回った頃。
「みんな、門が見えるぞ!」
俺の視線の先には木製の門が開いた状態で道の先に見えてきた。
「確かに見えますわね!やっと着きましたわ!」
オリビアを他のメンバーも歓声をあげる。
そして門の前に着くと
「タクミたちか!これでAパーティーはクリアだ。ご苦労だった」
先生が出迎えてくれた。
「お前たちが1番だ。他のパーティーが来るまで少しの間待っていてくれ」
俺たちは休憩しつつ他のパーティーを待つと1時間ほどで2組とも現れた。
どちらのパーティーも俺たち以上に疲弊している。なんでだ?
「さあみんなよく来てくれた!初めてのキャンプ、そして交代制の見張りには疲れただろう。だが、これが冒険者だ。慣れるように」
その疑問は先生が解決してくれた。ってか俺たち見張り忘れてた!危なすぎる。
【その点に関してはご安心ください。私がしっかりと見張りをしておりました。何の問題も起きなかったですよ】
【アカリ助かった。ありがとう】
【これくらい朝飯前です。あと差し支えなければ、これからの旅でも見張り役は私がいたします。その方が好都合ですから】
【確かにその方がいいな。よろしく頼む】
【かしこまりました】
「それじゃあ、これからイノース討伐に入る!疲れていると思うが頑張れ!みんな付いて来い!」
俺たちは先生に促され移動を始めた。リールは小さな農村で、昨日今日とキャンプ訓練で超えた先にある平地とその向こうに続く山地との境目あたりにある。
そのため平地を使って農業し、山からの木材を利用したりする半面、山に住む草食系の魔物に農作物を食い荒らされることも少なくないようだ。
「これから山の中に入る。イノースはとても早く動くことができるが、あくまで直進だけで急カーブ、急停止することはできない。だから直進できる箇所が少ない山の中で狩るのが鉄則だ」
曲がりくねった、細い林道をしばらく歩いて行くと
「静かに。遠いがあそこに一匹イノースがいる」
先生の言われた先を見てみると、100メートンほどのイノシシに似た魔物がいた。イノシシと違うところは額の部分に角があることだ。
「これから手本としてあいつを狩ってくる。しっかりと見ておくように」
そう言い残すと先生はゆっくりと背後からイノースに近づいて行く。
3メートンまで近づくと、「ヴォビ!?」
だいぶ変な鳴き声だがイノースは先生に気づいたようだ。
「ヴォーーー!」
イノースは先生に向かって突進を始める。先生はギリギリまで動かず、ぶつかりそうになる直前で横によけると素早く剣を取り出し、突進の勢いを利用してイノースに切りつけた。
これがそのまま致命傷となったイノースは小さな鳴き声を出した後倒れた。
先生が手招きをして俺たちを呼ぶ。
「今のが接近戦闘によるイノースの倒し方だ!ポイントは突進をできるだけ近くまで待つこと。怖気づいてまだ遠いのに避けようとすると方向変えて自分の方に突進してくるからな」
「あと、遠距離の魔法を使う人たちはイノースに気づかれるより前に魔法を打ちこむこと。シンプルなようだが意外と難しいぞ。詠唱も聞かれちゃいけないし、魔法そのものの音も聞かれると避けられる可能性があるからな」
先生はイノースの額に生えている角を切り取る。
「これがイノースを狩った時、ギルドに持って帰る必要のある角だ。これは薬の原料としても用いられるし、討伐したことを証明する証となる。今回は最低1人1本集めること。そして他のメンバーは戦闘時には極力協力しないこと。成長しないからな。よし!パーティーごとに散らばって開始だ!日が暮れるまでには村に戻ってこい!」
俺たちはまたパーティーに分かれて行動を開始する。山を登ること10分、
「見つけたわ!まず私がトップバッターね。」
ソフィアが前方でキノコを食べているイノースを指さす。
「そうだね。危ないと思ったら助けを呼んでね!あたしが助けてあげる!」
ルーシーが男前な発言をしてソフィアを元気づける。
「ありがとうルーシー。頑張るわ」
ソフィアはイノースに向けて背後から慎重に歩き始めた。俺たち5人もソフィアから距離をとりつつ固唾を飲んで見守る。
ゆっくりゆっくり近づいていく。しかし残り10メートンのところで
「ポキッ。」
枝の折れる乾いた音がする。
「ヴォビ?」
気付かれた!