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私はずっと…

作者: 冬姫0818

午後11時。


月がのぼり、暗い静かな夜。誰もいない公園に私は君といた。


「・・・・・ごめんね。付き合わせてしまって」


君が私にそう言う。なんで謝るの?謝る必要なんてないのに。それに私は君のそばにいたいんだよ。私なんかも大切にしてくれる君の力になりたいんだよ。


君・・・・・彼は優しい人間だ。何かある度に、彼は関係ないのに罪を被り、悪者になる。周りの敵になる。そうすることで彼にメリットがあるわけではない。むしろデメリットしかない。それでいじめられることだってあるのだ。彼は自分自身を犠牲にし、周りのために敵になり、戦っている。周りはこのことを知らない。知らないから彼を敵視し、彼のそばに誰も近寄らない。


そして、私は彼に守られ、彼は周りの敵になっている。







「・・・・・ねぇ」


私は隣にいる君に聞く。


「なんでいつも敵になるの?君は何もしていないのに」


君は少し考え、私に答える。


「・・・・・気分」


・・・・・嘘だ。気分だったら何回もこんなことしない。


「ちゃんと答えて」


私は強めに聞く。君は何も答えず、下を向く。


沈黙。




「・・・・・だから」


「え?」


君は口を開き、沈黙を破る。


「それが、僕の生きる理由だから」


・・・・・何を言ってるの?


「誰かの代わりに僕が犠牲になるべき、そう思っているから。僕が・・・・・犠牲になるべき人間だから」


「・・・・・どうして・・・・・そう思うの?」


「僕は昔、いじめられていて、耐えられなくなって、自殺しようとした」


「!?」


「でも、死ねなかった。屋上から飛び降りたのに。どうして死ねなかったんだろうってずっと考えて・・・・・分かったんだ。僕は生きなきゃいけないって。周りの犠牲になるために」


・・・・・分からない。


なんでそうなるの?死のうとして死ねなかったからって、なんでそうなるの?犠牲になるために生きるなんて・・・・・


「違う」


絶対に違う。君は犠牲になるべき人間じゃない。


「いじめられてたからって、死ねなかったからって・・・・・そんなの違う!絶対に違うよ!君は!君・・・・・は・・・・・」


気づけば私は涙を流していた。濡れた目で君をみて、言う。違う、と。

でも、私がどれだけ言っても、周りは明日も君を敵視するだろう。そして君は、自分自身を犠牲にする。

あぁ、もう『明日』なんてこなければいいのに。




だが、世界は私の思いなんて知らずに―




午前4時。


私と君は公園にいた。今日が・・・・・『明日』が来た。そして、また君は犠牲になるだろう。君のために何かしたい。



今の私に出来ること・・・・・



私は君の手を握る。君は驚いていたが、そんなの気にしない。


「周りが君を敵視しても、私はずっと君のそばにいる。絶対に」


君はまだ、犠牲になることが生きる理由だと思っている。だから、君はずっと1人だ。だから、私は君のそばにいる。そして、君が考えを変えてくれるのを、ずっと待ってるから。


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