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異分子  作者: KeNKeN
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第1章 「さぁーて、やるか」

処女作です。

追試1日前。何を思うか俺はほぼ何も準備していない。この追試が合格できなければ留年するという中、土、日、月と3日休日があったにせよ俺は万全な準備を成せていない。理由をつけるなら今週末に文化祭があるためだ。その出し物でダンスをする事になっている。いかんせんハードルが高いダンスで、しかも有名なボーイズバンドのキレッキレで一心同体の動きを完コピだ。俺はこれに興味が湧いていたのだ。そして思う、俺には二つの選択肢があることを。学校生活を選ぶか、ダンスという娯楽を選ぶか...。 鼻で笑い思った、どちらにせよどうでも良い事だ、ただどちらが魅力的であったかと感覚で判断したのだ。今日は火曜日...。一と二限目が生物の授業であって朝から寝落ちしそうになる中そう考えていた。

「野村、ちょっと緋村起こせ」

俺はその根っから関心のない声ですでに起きたが、右側に座っている野村は俺の背中を軽く叩いた。少し不愉快だったが考えれば寝ている自分が事の原因だと気付き、不愉快ではなくなった。俺は彼に礼を言った。

-キーンコーン カーンコーン-

予鈴だ。予鈴は学校生活で唯一気分が良くなる音だ。ものの仕切りを感じる音。その一瞬の響が時が進んでいる事を再度理解させ、変な爽快感に襲われる。だが欠点がその一瞬だけだという事だ。考えるとその一瞬にバカにされているようで少し気分が悪くもなるが、鳴るからにはそれを感じざるおえなかった。俺のいる学校はめんどくさい。生徒が教室を移動するからだ。階段を登ったり降りたり、生徒の人数のせいか数分の遅刻は当たり前のことだ。周りがザワザワしてる中俺は二つの事しか考えてなかった。国語の教室に行くのと、帰ってくる期末テストの結果だ。俺は教室に着き、クラスメイトが昨晩のテレビの内容に盛り上がっている事に不愉快と思いながらも席に座る。号令と共に立ち上がり、頭を下げ、席に座る。なぜ先ほど座ったばかりなのに立ち上がり頭を突き出してまた座らなければならないと思いつつテスト返しが始まった。理由を全く知らない訳ではないが、理解ができなかったのだ。俺の名前が呼ばれる。テストを取りに行き、結果がどうだったか確認した。俺は前回赤点を取り、今回のテストではノルマ以上の点数を取らなければならなかった。取れていた。俺は必要な点数が取れていたことに安心し、テスト用紙に無関心になった。

「まぁそんなものか」

俺はテスト用紙をカバンに入れ、特に関心もなくテストの答え合わせを始めた先生に目を向けた。

「ん」

授業が終わっていた。毎度の事、時は一瞬だ。俺は荷物をまとめようと考えたが、何もカバンから出していなかったためそのまま持って次の授業へと移動した。教室を移動する際、校舎と校舎を繋ぐ2階からでしか使えない屋根なしの橋みたいなのがある。俺はそのほぼ中心の位置で立ち止まり、空を見上げた。風が俺の長くもなく短くもない微妙な髪をなびかせた。数分間俺は空の広さを実感しながら、なぜかふと不愉快に思いはじめ、教室へと歩みを進めた。英語の授業だ。俺は英語が得意である。周りの人との差は明確なのはクラス全員が知っている。あまり興味はないが、英語の神と言われ称えられた事もある。そもそも嫌味なのか本気なのか疑い深いのだ。いつものように授業が始まり、個人作業へと授業内容が進む。俺はいつものように頬杖をついて教室の外を眺めていた。そして聞こえる、透き通るような声が俺の耳元で。

「緋村くん、ちょっと良いかしら」

いかにも裏があるように見える女性の先生が俺を呼んでいる。そう考えただけで少し疲れたが仕方なく先生の進む先へと向かった。

「明日の追試の事。私は応援してるから授業に集中しなくても許すわ。だから諦めないでね。」

俺は途切れ途切れに、はい、とうないずいた。応援されようがなかろうが俺はどうでもよかった。

「あなとのその、はい、は私を安心させるためかしら。」

俺はそうだと言った。彼女は少し疲れた顔をして笑った。

「きっと上手くいくわ。」

彼女は俺の肩をを掴み、そう言った。なぜだろうか、女性に触れられると少し欲情してしまう。だがそれは本能的なものであって少し邪魔なものだと思った。時はあっという間。放課後だ。俺は追試の事で何か助けを得られないかと思い、担当の先生の元へと行く。行く途中の周りの目線、会話、息づかい、足音、色々なものが肌で感じた。これはいつもの事だが、このいつもの事がとても不愉快と感じている。結局どうでもよくなるのだが、違う存在がウジャウジャいるのに対する拒絶反応だろうか、単純に不愉快なのだ。先生との用事をなんとなく済ませ、俺は職員室から出て帰ろうとしていた。だがその時少し幼くどこか落ち着きのない声が俺を呼び止めた。

「あ、あの。...これ。呼んでくださいっ」

彼女は一学年下の長谷川だ。髪は首元にとどくかとどかないぐらいで、しなやかなストレート。背は俺より少し小さい。俺は少し顔を赤くし、欲情した。なぜなら彼女が俺に思いを寄せている事を知っていて、あわゆくば手紙を渡されるのだ。俺は分かったと言い、また明日と別れを告げた。帰り際に思った、なぜもっと話さなかったのかと。だが今となっては過ぎた事で関係ないと思った。ダラダラと帰っていたせいか家に着く頃には外が暗くなっていた。いや、季節的に夜が来るのが早いだけなのか。結局答えが出ず、どちらにせよ自分に関係ないと思いながらシャワーを浴びた。俺はただの水で浴びるのが好きだ。ぬるま湯ではなく、水だ。初め浴びる瞬間は辛いが、後に自分の熱エネルギーが奪われていって、新しい熱エネルギーを作りだそうと体内が動いている事を感じる。これが爽快なのだ。俺は浴室から出て、膝までかぶる半ズボンとふざけたキャラクターが描かれてるTシャツに着替えた。シャワーを浴びた後はものすごく気持ちがいい。だがそれを邪魔するかのように同時に一日のストレスが俺の脳を襲う。だるい。ものすごくだるい。その気持ちは一層増してくる。なぜなら就寝時間がやってくるからだ。だいたい二十二時に寝て、四時半に起きるのが習慣だ。夜はみんなが休む、寝る時間帯だ。だが俺は違う。火曜の夜は特に違う。俺は階段を登って自分の部屋に入り、ベッドに座ってから寝る体制に入った。

「さぁーて、やるか」

悪夢の始まりだ。

続きます。

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