アルミニウム
「それで結局その石とかは何に使うんだ?」
家に戻るなりブリトーはそう言った。
「この硫黄と硝石は木炭と混ぜ合わせることで黒色火薬っていうものが作れるんだ。それからこのクズ石はおそらく鉄ばん土で、ある金属の原料になる」
それから彼はこう付け足した。
「もっともこれから先、銃を作るつもりだから無煙火薬も必要になるんだけど今は関係ないね」
それを聞いてブリトーは眉間にしわを寄せながら答えた。
「で、どこで俺が必要なんだ? 知識がなければ無理だろ。それに銃ってなんだ?」
「銃っていうのは武器の一種だよ完成したら見せてあげるよ。で、君にお願いしたいことはヘンリーからいろいろ薬品を借りて来て欲しいんだ。僕は彼がどこにいるか知らないからね。それから君が持ってる金属も必要だし合金を作るときにぜひ協力して欲しい」
「わかった。それくらいお安い御用だ」
「ありがとう。助かるよ」
2人は作業に取り掛かった。が
「どうした旦那。いきなり頭を抱えて」
「忘れてた。この世界、電気が無い!」
* * * * * * * * * *
ーー数ヶ月後
シュタインは満足そうに頷いていた。
「ブリトー!みろこれが完成品だ」
「これが旦那の言ってたあるみにうむ、か」
「ここまで本当に長かった。試しては失敗しの繰り返しだったからね」
ブリトーもヒゲをいじりながら言う。
「旦那と一緒に作ったかたなも相当大変だったな」
「あれは、思い出したくもない。作っては折れ作っては折れ……忘れよう。最後にはうまくいったんだからな」
それからブリトーが思い出したかのように言う。
「あと旦那がポーション依存になりかけたとき時はどうなるかと思ったぞ」
「仕方がないだろう、あれを飲むといろいろ忘れられるし気分も良くなるんだ」
「まぁ、作ってる親父がいいって言ってたせいで好きなだけ飲めたのも原因の1つだな」
やれやれと肩をすくめるブリトー。
「さてと、それで旦那は次に何をするんだ?」
するとシュタインはブツブツと小声で言いはじめた。
「電気、銅、アルミ、鉄鋼、亜鉛……チタンかな。ブリトー、チタン持ってたりしないかい? いや、君の持ってる金属を見せてくれないか?」
「ああ。分かった」
2人は彼の鍛冶の作業場に移動し彼が様々な種類の金属を持って来た。
「右から鉄、亜鉛、銅、鉄鋼、銀、金、ニッケルそしてメナカイトだ」
シュタインは一番左にあるものをとってこう言った。
「ああこれだよこれ。これであれが作れるはずだ。なぁブリトーこのメナタイトってどこで手に入るんだい?」
「それはコボルトの友人から貰ったものでな、貴重なものらしい」
「じゃたコボルト達が採掘してるわけか」
「まぁ、そうなるな」
そう言ったブリトーの目はどことなく寂しそうであった。
「とにかく助かったよ、これでようやく作りたいものが作れるはずだ」
「そいつは何よりだ」
2人は作業場を離れてそれぞれの部屋に戻っていった。