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悪魔より怖い男  作者: 315
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無題

題名は思い浮かびませんでした。すみません。

 オスマニール帝国七大騎士序列2位及び魔王軍の将軍を務めるジョン・ポールは先日の任務についての報告をしていた。

「そうか、つまり抵抗したから殺したということか……いったはずだ必ず生け捕りにしろと」

「ですから……」

「良い、何事にも失敗はあるもの。だが本当に、本当に殺したんだろうな?」

「はい」

 ディオニスは彼を睨みつける。が、諦めたようにため息をついて言う。

「もう行っていいぞ」

「はっ」

 彼は立ち去る前に振り返って言う。

「そういえば魔王陛下、今月分の連合国各国への賠償金が支払われていないようですね」

「もう少しだけ用意に時間がかかりそうだ」

「まぁ、こちらとしては払ってもらえれば良いですから。それでは」

 魔王は部下を忌々しげに見送り1人呟く。

「人間共をこの国から追い出せたらどれほど良いことか」

 しかし彼、ディオニスの願いは叶わないものである。戦争に敗れ国民を奴隷として奪われ国土を減らされ軍隊すらもヒト種に肩代わりされているグンマー王国の現状では。





 シュタインと別れた4人はマルバスという都市に来ていた。

 4人ともカバンから出て街を散策していた。ビーフィーファイブレイヤーが先頭を歩いて後から3人がついてきている。先頭の彼が1番後ろを歩く吸血鬼に尋ねる。

「アルフレッド、お前の提案でこの街に来たがあてはあるのか?」

「問題ありませんよビーフ殿。我が主の別荘がありますから」

「いくつ別荘があるのやら……」

 街の外れに行くと荒んだ館が現れた。

「着きましたよ皆様。先に私が中を確認してまいります」

 3人をあまり広くはない庭に残してアルフレッドは館に入っていく。

「雑草だらけだな。シャーロットやっておしまい!」

「はいはーい」

 待ってましたとばかりに斧を取り出し雑草を刈り取るシャーロット。

「ブリトーそんなことのためにシャーロットを使うな」

 フレキが文句を言ったがたしなめられる。

「子供だからといって甘やかしてはいかんのだよフレキ君。だからわがままに育つんだ」

「そこまでわがままじゃないと思うが……」

「終わったよ」

 彼女の速仕事に目を丸くしながらもドワーフは頭を撫でて労いの言葉をかける。

「お疲れさん」

 それを見計らったかのようにアルフレッドが出てくる。

「少々汚いですが異常はありません。お入り下さい」

 館は以前彼らが住んでいたところより狭いがそれでも快適に過ごせる空間を有している。

 すでに日が暮れていたため軽い夕食をとり彼らは就寝までの時間を自室で過ごす。




「……というわけでここに連れて来られたんだ」

「あなたも夢半ばで捕らえられたのですね」

「も?」

「えぇ、あなたの前にそこにいた人も同じです。いや、ここで出会った方々はほとんどがそうでした」

 ルーファスは寂しそうに遠くを見つめて言う。

「へぇ、なら君はどういった経緯で?」

 一瞬だがシュタインの質問に彼は顔を曇らせる。

「私は……私はですね、ここに来る前は教会の牧師でした」

 彼の話相手は意外そうに相槌をうつ。

「君がかい?」

「そうですとも、一応は真面目に働き恋人ができます。ですが彼女は流行り病で亡くなってしまいました」

 シュタインも家族を持った身、恋人の死がどれだけの苦痛を彼に与えたかは計り知れない。

「それは……なんとも……」

「話はそこから始まります。私は彼女を生き返らせようとしました。神に仕える身でありながら不遜にも神と同等のことをしようとしたのです」

 突然のことに彼は耳を疑う。

「んん?生き返らせる?」

「えぇ、魔術的方法などで理論上は可能ですから……結果から言えば失敗に終わりましたけれど」

「そこまでに至る経緯を聞かせて貰いたい」

「何しろ初めての上に失敗は許されませんからね。遺体を防腐処理して保管しておきました。その間に蘇生の実用化を図りました」

「なるほどそれで?」

「教会とはいえ死体が手に入る頻度はそこまで高くありません。足りなくなり私は信者に手を出しました」

 ここまで聞いてシュタインは薄々予想していたことが確信に変わった。この男はかなりの異常者であると。彼は話を畳み掛けるよう早口で言う。

「ですが私が生み出したものはゾンビでした。何人試しても人ならざるものにしかならなかったのです。召使いとしては有用でしたがね……そして信者を手にかけたことが発覚しここに連れてこられました。以上になります」

 シュタインは彼が何か隠しているだろうと疑ったがそれよりも自分の利益になることしか考えない男であるため次の行動に移る。

「いやはや、君も目的に邁進する方だったのだね。君とは気が合いそうだ」

「えぇ、私もあなたとは仲良くなれる気がします」

「どうだろう。ここから出たら僕と一緒に来ないかい?」

「何を言ってるんですか。ここから出られることなんてありませんよ?」

 彼の一言にシュタインは驚愕するがそれを打ち消すように声を上げる。

「そんなことはない、僕は聞いたぞジョン・ポールという奴から!彼らの要望に応えるならここから出すと」

「本当に"出す"と言われたのですか?」

「明言はしていな……騙す気だったのか」

 その一言を待っていたのかルーファスが微笑む。

「長生きしたいのであれば帝国側の要望に応えないことですよ。私ともっと話でもしてましょう」

「ああ、そうだね。じゃあ牧師さんにセオドア教について教えて貰おうかな……」

 そこまで言って彼は諦めたように天井を見上げた。

「いいですよ。ではまずは我らが主、ヘンリー様のお話から入らせていただきましょうか……」

 シュタインはルーファスの話を軽く聞き流しながらいかに脱獄するかを考えることにした。



ここまで読んだ方ありがとうございます

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