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悪魔より怖い男  作者: 315
18/20

夢オチ

 ふとしたことでシュタインは目を覚ました。

「どうしたの?随分とうなされていたけど」

 彼の目の前にいたのはこの1年半彼が会いたかった人物の1人、黒髪のショートカットがよく似合う彼の妻、氷川沙織その人であった。

「沙織、君か君なのか?」

 彼女はくすりと笑う。

「何当たり前のこと言ってるの?」

 彼は一瞬自分に何が起きているか理解ができていなかった。

「なら僕の身に今まで起きていたものはいったい……?」

「夢を見てたんじゃないの?さっきも言ったけどうなされてたよ」

 そう言われて彼はますます困惑する。

「夢?そんなはずは……あれが夢だったというのか?」

 彼女は困惑しているシュタイン、を見かねて彼の額を突く。

「夢よ夢、ね?それとも私のこと信じてくれないの?シュタイン」

 彼はハッとしたように彼女の顔を見つめて結論を出した。

「そうか、夢か」


  * * * * * * * * * *



「それで、いったいどんな夢を見ていたの?」

 彼は忌々しげに彼女を見つめる。

「淫魔が僕の妻に化けて言い寄ってくる夢だよ。ヴェルギナ・テッサロニキ」

 そう言って彼は彼女の首を絞める。


「か、は……なん、で……?」


「惜しかったねぇ、あと少しだったろうに。冥土の土産に教えてあげよう。僕の本当の名前は氷川賢治だ」

 彼は手に力を込めるがじきに首から手を離した。彼女はふてぶてしく言い放つ。


「ふふ、あなたが油断し切ったところを狙おうと思っていたのに。でも残念ね夢の中じゃあ私は殺せないわ」

「そうだね、まぁいろいろと聞きたいこともあるし、場所を変えるかな」


 彼らの周りは寝室からどこかの店内に変わる。

「ここ、は?」

「質問をするのは僕だ。全て答えてもらおうか」

 彼は店員に注文をして彼女に話しかける。

「どこから聞こうか、初めからこのつもりだったね?」

「えぇ、そうよ」

「なるほど、ならどうして言葉を教えたりした?裏切るつもりだったならその必要はなかっただろう?」

「時間が必要だったからよ」

「ほう?なんの?」

「あなたが使っている日本語を理解する時間よ」

「随分と素直に答えるものだね?」

「年貢の納め時ってやつよ」

 賢治は感嘆の声を上げる。

「ことわざまで理解してるとは恐れ入った」

「そう、じゃあ見逃してくれる?」

「いや、無論君は殺す」

 彼女は初めから期待してなかったようにいう。

「そう」

「それじゃあ次は……」


****************************



 雷鳴と共に彼は覚醒した。外は激しい雨が降っていた。シュタインが寝返りをうつとヴェルギナがいる。彼は彼女を押さえつけて言う。

「さて、怒りこそ沈んだものの君はやってはならないことをしてくれた。知りたいこともいくつかしれたし、うん。死ね」

 彼女は何も言わない。虚ろな目でシュタインを見つめるだけであった。彼は右目の眼帯を外す。そこには失ったはずの目ついていた。煌々と輝く紅眼が。

「前に入れたやつが馴染んだみたいだから、試しに使わせてもらおうか。さよなら」

 右目からはレーザー光線が出、彼女の上半身は吹き飛んだ。それを眺めているとアルフレッドが慌ただしく入ってくる。

「いったい何の音ですか?」

 シュタインは歪に笑いながら話しかける。

「ははっ、ただの裏切り者を消した音だ。屋敷を出るぞアルフレッド。皆に準備をさせろ」

「はい」

 アルフレッドはすぐに部屋を出て行く。シュタインもすぐに立ち上がり着替える。フレキとブリトーと合流する。シャーロットはカバンの中で寝ているため起こさなかったとのこと。

 準備が整いシュタインとアルフレッド以外がカバンに入ったとき、土砂降りの中やってくる客がいた。招かれざる客が。



 突然屋敷の扉を破って叫び出すものがいる。

「ヴィクター・フランケンシュタインとその一味、我々魔王軍は魔王ディオニスの名のもと、貴様らを国家反逆罪で逮捕しに来た!出てくるがいい!」


 シュタインは舌打ちをする。

「来たか。さて、時間がないから手短に話そうかアルフレッド。君は彼女、ヴェルギナが裏切ることを知っていたみたいだね。なぜ話さなかった?」

「それはあなた様の力量を確かめるためです」

「で、満足か?」

「あと1つだけ試練を達成なさいましたら私はあなた様に忠義を尽くします」

「そうか。で、その試練があれか」

「はい、戻って来られればの話ですが」

「戻って来てやろうとも。ああやってやるさ」

「では、魔法をかけさせてください。これであなた様が帰ってこられた際にわかります」




「それではまたお会い出来ると良いですね」

「ああ、ブリトーたちを頼んだ」

 シュタインと挨拶を交わすとアルフレッドは窓から外に降りた。少しすると騎士達が入ってくる。

「貴様がヴィクター・フランケンシュタインか?」

「ああ、そうだとも」

「連行しろ」

 彼は2人の騎士に押さえつけられながら馬車に乗せられる。魔王軍将軍のジョン・ポールは指示を出す。

「よし、出発だ。目的地は我らが帝国。脱獄不可能の城だ。魔王には抵抗したから殺したと報告せよ」

「了解!」

 激しい雷雨の中、彼は連れていかれた。


どうしたら面白い話がかけるのでしょうね

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