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悪魔より怖い男  作者: 315
15/20

鹿狩り

 翌日彼らは屋敷の庭で準備をする。シュタイン、ブリトー、シャーロットに加えヴェルギナ、フレキ、アルフレッドを含めた6人が揃っていた。

「結局、みんな参加するのか。まぁ本当なら僕とブリトーの2人組とシャーロットの鹿を仕留めた数を競う予定だったんだが……そうだね僕とブリトー、シャーロット、フレキとヴェルギナ、アルフレッドの4組に分かれて競うか」

 一同は了承する。

「まぁ、さっさと始めようか。仕留めたらアルフレッドが後で捌いてくれるらしいからそういうことで、各自解散!」


 一同は別々の場所から森に入って行くーー


 

 シュタイン/ブリトーペア

「今日の一番の目的はシャーロットの欲求を満たすためなんだが、ついでにこれがどれだけ役に立つか確かめておきたい」

 シュタインの取り出したものを見てブリトーが嬉しそうに言う。

「お、前に作った武器か。」

「いやそれとは別ので君に持てる大きさにした奴だ。僕は右腕を外してしまったから使えなくてね。どれだけの威力が出るか楽しみにしておくといい」

 ブリトーに散弾銃を持たせて2人は森の中を進む。



 フレキ/ヴェルギナペア

「よろしくねフレキ」

「ああ、よろしく。で俺は本気を出すべきか?」

「うーん、まあほどほどでいいんじゃないかしら?とりあえず人狼化するのは前提よね」

「わかった」

 彼は変身してヴェルギナの方を見ると彼女も人狼になっていた。

「これが私の魔法よ」

「ほう、面白い能力だな。さて行くか」

 2匹の黒狼は走り出す。


 アルフレッドも森に入ると即座に消えた。

(さて、シュタイン様が何をするか見せてもらいましょう。おや?面白い方々がいらっしゃいましたね。これから死ぬとも知らないで)彼が見たのは5人の人間だった。


 魔王ディオニス直々の指令によりこの付近の森の探索を開始した5人の人間たちはしばらくして何かがひしゃげたような音を耳にする。小隊のリーダーを務めていた男は部下に小声で告げる。

「総員、抜剣。俺に続け」

 予定外の参加者を含めた鹿狩りが始まる。


 シュタインとブリトーは草を食べている鹿の群れに遭遇した。

「いたぞブリトーあれを狙うんだ。そっと構えて、あ!逃げた」

 シュタインは急いで追いかける。が、少し進んだところで立ち止まる。

「はぁはぁ無理だ。少し休憩しよう」

「そうだな旦那、休憩はこまめに取らないとな」

 2人は近くの石に腰掛けて休憩を取る。



 抜剣して進んだ5人が見たものは血塗れの少女が肉塊と化した何かをひたすら斧で叩いていたところだった。

「あはっあはは鹿さん鹿さん!もっと遊ぼうよ!ねぇもっと!もっと!もっと!」

「うっなんだこれ」

 そのあまりにも醜悪な光景にたまらず声を出してしまった1人の方を向いて少女ーーシャーロットは笑う。

「あははっ人間だぁ」

 5人はお互いに目を合わせてリーダーの男が叫ぶ。

「レッドキャップだ!俺が時間を稼ぐからお前たちはにげ……」

 彼がそれを言い切る前に首筋に斧が深々と刺さる。部下たちはその隙に撤退しようとするがシャーロットの追撃によって阻まれる。断末魔を上げて残りの4人も絶命した。

「はぁはぁ、足りない……足りないよ」

 彼女は次の獲物を探して森を徘徊する。


 一方その頃、フレキとヴェルギナは1匹仕留めたところだった。ヴェルギナが追い出して来て待ち伏せしていたフレキが喉元に食らいつくという見事な協力であった。

「あなた狩りが上手ね」

「まぁ人狼だからな。まだまだいけるんだが今日はもう1匹仕留めて終わりにするか」

 2人は再び走り出す。


 それから時間が経ち、狩りの時間も終了間近になって焦り出す男たちがいた。

「まずいぞブリトーまだ1匹もとれてない」

「旦那が休憩ばかりとるからだ」

「なんだと!君も賛成してただろう」

 言い争いをしていると茂みから音がした。2人は顔を見合わせて銃を構える。そこから出て来たのはシャーロットだった。

「なんだーシュタインか。鹿さんかと思ったのに」

「やあ、シャーロット。き、君は何匹とれたのかな?」

「アタシ?一匹もとれなかったー」

 彼女は笑いながら答える。シュタインは安堵した様子でため息をついた。

「じゃあ引き分けだね。僕たちもとれてないから」

「旦那、現実を見ろ。1匹もとれてないのにあんな血塗れになるはずがない!」

「別に負けたことを認めようとしない訳ではない。仮に10歳児に勝負で負けたとしてもだね、僕は潔く認めるさ」

 それでもブリトーは彼に食ってかかろうとするがシャーロットが帰ろうと言ったため話しは途中で終わった。

 屋敷の前には鹿が3匹置かれていた。シュタインの一言でしめられる。

「で、今日の鹿狩りの結果はフレキとヴェルギナの2匹が最多ということでした。はい、お疲れ様でした」


 実際にはシャーロットが仕留めた8匹+4人が最多であるが死体が原形をとどめていないため本人の判断で森に放置されたのであった。

 その日の夕食は鹿料理がたくさん出て皆お腹いっぱい食べたとさ。

ブリトーとシュタインの非体育会系ペアがそう簡単に鹿が取れるとは思いません

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