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悪魔より怖い男  作者: 315
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質問タイム

 本を読み終わったシュタインは暇を持て余していた。ポーションを一口飲んで彼は考えに沈む。今彼が疑問に思っていることを解決し得るものは何か。考えた末に出た結論は

「アルフレッドか」

 彼は目の周りの湿疹が引いていることを確認しつつ、ベッドから出る。

 彼は部屋を出てアルフレッドの部屋へ向かう。廊下は昨晩シャーロットが暴れた後であろう傷がたくさんあった。彼は部屋の前に立つとノックをして部屋に入った。



「失礼する」

 書類整理をしていたアルフレッドは顔を上げて微笑する。

「いかがなさいましたかお客様」

「いや、いろいろと聞きたいことがあってね」

 それを聞いた彼は立ち上がってシュタインを見下ろす。

「なるほど、ですが私から何かを聞くにはそれ相応の対価が必要ですよ」

 シュタインは口の端を歪めて笑う。

「構わないとも君の知り得ない知識を披露してみせよう」

「では、何なりとご質問を」

 シュタインは首をかしげる

「先に聞いてもいいのかい?」

 アルフレッドはそれで構わないと頷く。

「すでに1つ私は見ていますから」

「そうか、ならいいのだが……最初の質問はシャーロットはなぜ魔法にかかった?」

「えぇ、シャーロットお嬢様にかけられていた魔法はなんと申しましょう、理性を失わせる魔法ですね。精神干渉系の初歩です。本来であれば術者はあのまま対象を操ることができますがそうしなかった場合には自身の欲望のままに動きます。彼女の場合は『殺したい』と言ったところでしょうか」

「なるほど、じゃその欲求が満たされていた場合は?」

「その時は次に満たされていない欲に従います。そして、満たされていなければいないほど魔法にかかりやすくなります」

 そう言った後で彼は一言付け加える。

「それからよほどの欲求不満じゃなければかかりません」

「よく分かったよ」

「では、お客様の番ですよ」


 シュタインは少し考えてこう言った。

「そうだね、じゃあはるか彼方にある大陸の伝承の話だ。この話を始める前にモモという果物について知るべきかな。モモというのは不思議な食べ物でね食べると不死になるとも言われているんだ」

「興味深いですね」

「そう、それでこの話はね巨大な桃から生まれた男の子の話だ。昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました」

 彼は語った。アルフレッドの知らない知識を。

「……そして、モモタロウは幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」

 桃太郎を聴き終わったアルフレッドはため息をついた。

「確かに私の知らない伝承ですが、そのようなものではなくもっと私を驚かせるような知識が欲しいですね」

「伝承はダメか。そうだねアルフレッド、君は人の言葉はどれくらい知っているかな?」

「そうですね、私これでも一応言語理解には自信がありまして」

 シュタインは心の中でガッツポーズを作る。

「そうか、なら今から僕が話す言葉がわかれば君の勝ちわからなければ僕の勝ちとしようか」

「分かりやすくて良いですね」

 シュタインは少し間を置いて話した。日本語で。

「誰が仲間になってない君なんかに重要な知識を話すと思うんだ?桃太郎で満足してくれたら楽だったのに。どうせシャーロットに魔法をかけたのも君なんだろう?それからこの世界の料理は味が薄すぎる。和食が食べたい。あー……パッと言えるのはそれくらいかな」

 アルフレッドは唖然として、シュタインを見つめる。

「今、なんとおっしゃっていたのです?」

「ん?秘密だ」

「出鱈目の可能性がありますが、負けを認めましょう。次のご質問をどうぞ」


「この国にいる生き物はなんだ?」

 アルフレッドは意外そうな表情をした。

「生き物ですか。そうですねこの辺りにはまず鹿がいますね。ここよりもっと南のオスマニールとの国境付近だった場所の森にはマンドラゴラという生き物が群生しています。あとは鳥、コウモリ、魚などが常にいます。ですが、十数年に一度大量発生する生き物が2種類います。マンマルと大蟻です。そうですね大きさはこれくらいでしょうか」

 彼が広げた手の大きさは30cmほど。

「この2種類が非常に厄介な生き物でして、マンマルはオークたちが育てた穀物を全て食い荒らして各地を巡っていきます。大蟻の方ですがこちらはこのマンマルを追いつつ各地の生物を狩って移動していきます。私もヴラド陛下の率いる軍に加わり討伐に出ましたが相当大変な作業でした。かつてはこの国の北のほうにドラゴンが生息していたのですが、大蟻によって倒されたそうです」

 今度はシュタインが唖然としていた。


「大蟻……恐ろしい生き物だけれど興味が湧いたよ」

「あと2、3年しましたらまた発生しますよ。おや、もうすぐ日が暮れてしまいますね、夕食の準備をして参ります」

「そうか、じゃあ続きはまた今度にしようか」

「はい」



 シュタインは挨拶を告げて部屋を出る。自分の部屋に戻るとブリトーがいた。

「よう旦那、どこに行ってたんだ?」

「アルフレッドと勉強をしていたよ」

「そういえば、シャーロットがもう限界とかなんとか言ってたぞ」

「まずいね、そろそろ僕が殺されてもおかしくないな」

「あとそろそろ燃料を補充しないと俺たちのカバンの電力供給源がなくなるぞ」

 シュタインは苦虫を噛み潰したような顔をする。

「それは、なんとかしないと。またアルミニウムと魔石を交換してくれる人がいるかわからないから頑張って発電機を作らないといけなくなるね」

「俺にも手伝えることがあればなんでも言ってくれ」

 2人で雑談をしていると、ヴェルギナ、シャーロット、フレキの3人が入ってくる。

「2人とも本は読めたかしら?」

「「ああ」」

「なら明日から文字の書き方を教えてあげるわ」

 そう言われた2人は頷き、シュタインが口を開く。

「その前に、シャーロット明日は森に出かけないかい?」

「うん!いいよ」

「ブリトー、君にも付き合ってもらうよ」

「それはいいが、何するんだ旦那」

 質問されたシュタインは嬉々として答えた。

「鹿狩りだ」





そろそろ即席で話が思いつかなくなって参りました

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