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悪魔より怖い男  作者: 315
12/20

長い1日

 屋敷の一室でシュタインたちは勉強していた。

「じゃあ、シュタインこれ読んでみて」

「このパンは1つ3チャットです」

「よし、次ブリトーこれ」

「えーと、俺はドワーフ」

「あってるわ、それじゃあアルフレッドから借りた本があるから明後日までに読んで来てね」

 そう言ってヴェルギナは彼らに本を渡すが2人は抗議する。

「ちょっと待ってくれ分厚すぎるんじゃないかな?」

「旦那の言う通りだ文字が読めるようになってから3日目の魔族が読むもんじゃないぞ」

「よ・み・な・さ・い!」

「「はい」」

 本を押し付けて彼女は部屋を出ていった。2人はそれを確認したらベッドに本を投げ捨てた。

「よし、ブリトー昨日の作業の続きに取り掛かるぞ」

 ブリトーは心配そうに答える。

「それはいいんだが、大丈夫か?」

「あんな本僕たちにかかればすぐに読み終わるだろ」

「いや、それじゃなくて。旦那最近やつれて来てるぞ。目の下のクマもすごいし」

「最近みてる夢のせいかな?声が響いて来るんだよね『右腕を外しておけ』ってね。それにこんなところで立ち止まってはいられないからね。先に入ってるよ」

「そんな俺の親父みたいなこと言って……」

 シュタインはカバンの中に入って行く。

「まったく、仕方ないな旦那」


 少ししてからシャーロットが部屋に入ってくる。

「シュタイーンあーそーぼー。あれー今日もカバン?むむっこの本は?」

 彼女はベッドに置いてあった2冊のうちシュタインがもらった本をパラパラとめくった

「何書いてあるかよくわかんな……い……や」

 そのまま本を落として彼女は部屋を去った。


 彼ら2人はシュタインの自室で作業をしていた。彼の部屋はたくさんの機械類にあふれている。

「しっかし、この部屋もすごいな1つ1つが場違いな品物だな」

「まぁ、僕のいたところでもそうそう見かけない光景だからね」

「なぁ、旦那とりあえず今日は右腕を外すべきだ」

 不思議そうに彼は尋ねる。

「なぜだい?」

「旦那がみた夢ってのは親父の言ってたやつと同じだ。無視していたらだんだん命令が具体的になっていくんだが、体がどんどん衰弱してくる。というわけで外すぞ」

 シュタインはため息をついて了承した。

「本当なら信じられないところだけどその夢に僕は助けられてるからね。仕方ない……外すよ」

 彼は床から寝台を出してそこに横たわる。右腕を固定して

 ブリトーに指示を出す。

「あれとそれを起動してコードをここにさしてくれ。ついでに完成したあれも使うかな」

「わかった今日は長丁場になりそうだな。これ飲んどけ」

 彼はシュタインに赤のポーションを渡す。

「頼んだぞブリトー腕を外したあとの作業からは手伝えないからな」

 彼は緊張した様子で返事をする。

「ああ」

 2人は作業に取り掛かる。


「うわぁあああ!?目に入ってる入ってるよブリトー」

「わかってるシュタイン見ればわかる」

 シュタインがうめき声をあげる

「ぐおううう」



 昼前に作業を始めた2人だがカバンから出て来たのは夕方近くだった。シュタインは機械の右腕を外して、右目に眼帯をつけていた。

「「はぁー疲れた」」

「「おつかれー」」

 2人は顔を見合わせて笑う。

「とりあえず休憩するか」

「ああ」

 彼らは長い作業を終えてゆっくりと休むーー



 はずだった。

 部屋にフレキが飛び込んでくる。彼は全身傷だらけだったがシュタインを見るなり彼の胸ぐらを掴む。

「おい、貴様シャーロットに何をした」

「なんのことだい?」

「そうやってごまかせると思うなよ」

 そう言って彼は人狼化する。ブリトーが慌てて止めに入る。

「どうしたっていうんだフレキ」

「シャーロットが貴様らの部屋から帰って来てから様子がおかしくなった。ブツブツ何かを言っては虚ろな目で俺を見てくるんだ。心配になって近づいて見たら斧で切りかかってきた。シュタイン貴様何をした」

 彼はその鋭い目でシュタインを睨みつけた。

「いや、今日はブリトーとずっと作業してたから本当に知らないんだって」

 ブリトーも強く首を縦に振る。

「そうか、じゃあ信じてやる。が、貴様がシャーロットを

 元に戻せ。それができたら貴様認めよう」

「わかったよ、というかまだ認めてくれてなかったのかい?」

 イラついたようにフレキが催促する。

「早くしろ」

「少しは我慢したまえ」

 彼は落ち着いた様子でカバンの中に入っていく。少ししてカバンから何か取って来た。フレキが尋ねる。

「それは?」

「これは電撃銃だ。まあ、見てればわかる」

 彼はスタンガンを持って1人で部屋を出る。

「さてと、ここからが正念場だぞ賢治。失敗はできない。ていうか、日本語喋るの久々だな」

 彼はゆっくりと廊下を移動する。すでに屋敷は真っ暗だった。

「ヴェルギナとアルフレッドは何をしてるというんだ」

 彼は2階から1階に降りる階段で彼女に遭遇した。彼は話しかける。

「シャ、シャーロット?」

 彼女は首をこちらに向けてニッコリと笑った。その一瞬でシュタインとの間合いを詰める。

「は?」

 間抜けな声を上げて彼は右腕を切りつけられる。が空振りに終わる。彼女は一瞬だけバランスを崩す。その瞬間を彼は見逃さない。

「当たれ!」

 スタンガンからワイヤー針をうちだす。

「よし、このまま……」

 彼は電流を流して気絶させる。

「ああああああ!!!!!」

 ぐったりとするシャーロット。シュタインはそのまま彼女を抱えて部屋に戻る。


「ふぅ」

 彼はブリトーたちがいる部屋に戻る。ブリトーは渡された本を読んでいた。人狼化を解いたフレキが驚いた様子で話しかける。

「人間のお前がレッドキャップに勝つ、か。それで?元に戻るんだろうな?」

「それはまだわからないね」

 彼はそう言ってシャーロットをカバンの中に入れる。


「さて、と。彼女がおかしくなった理由さえわかればな」

「お困りのようですね」

 いつの間にか彼の後ろにはアルフレッドが立っていた。

「アルフレッド……どこに居たんだ?」

「本日は週に一度のパンを焼く日でして。ヴェルギナ様と外に出ておりました。彼女もじきに帰ってくるかと思います」

「そうか……ああそうだ、シャーロットがおかしくなったんだが理由がわかるかな?」

 アルフレッドはシャーロットに近づいて異常を確かめる。

「そう、ですね。シャーロットお嬢様には魔法がかけられているようですね。まぁ私の手にかかればこの程度……これで大丈夫でしょう。では、私はこれで……そうそう、シャーロットお嬢様はお客様が治したことにして結構ですよ」

 そう言って彼は消えた。

「消えた!な?え?」

 シュタインは周りを見回すがどこにも彼はいなかった。

 彼はシャーロットを抱えてカバンから出て来た。

「これで、大丈夫だと思うよ、フレキ。彼女は魔法をかけられていたみたいだ」

「そうか、自分で治せたのか?」

 彼は正直にいう。

「いや、アルフレッドに治してもらった」

 するとブリトーが嬉しそうに頷いていた。

「どうした、ブリトー?」

「いや、旦那が正直者でよかったという話だ」

 フレキは立ち上がりシュタインに握手を求めた。

「そういうことだ。これからも宜しくシュタイン」

 シャーロットも目を覚ます。

「あ、れ?アタシ何して?」

「起きたか、シャーロット。シュタインの部屋で寝てたんだ」

「そうだっけ?」

 アルフレッドがノックをして入ってくる。

「皆様、お食事の用意ができましたからいらしてください」

 食堂に行くとヴェルギナが待っていた。

「シュタイン目どうしたの?」

「ああ、まあいろいろあってね」

 そう言って彼は倒れる。シュタインの長い1日はこうして幕を閉じた。




ぜんぜんそんなことなかった(前話の前書きに対して

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