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はじまり

もし人生を楽譜に例えたとするとこの世界には沢山の音楽が出来ることになる。

その音楽は一人一人の宝物になっていく。

そして世界は奏でられる。

自分の楽譜を奏でるのは自分自身だ。

楽譜が自分自身の生き方を表し、それを奏でて前へ進んでいく。

だったら、楽譜に音符を書けなくなり奏でることが出来なくなった俺、小澤奏羽はどうすればいいのだろうか?

俺の楽譜は白紙だ、4年前から...


「奏羽、もうすぐで着くよ」

「朱里姉ちゃん、お墓の場所分かる?」

「栞のお墓参りするのか?」

「ああ」

「そうか。じゃあ、新しい家に着いたら、一緒に行こう」

「そうだな」

「もう4年、か...」

まだハンドルを握る手がぎこちない朱里姉ちゃんは俺の隣にある水色のフルートケースを見た。小さな文字で『小澤栞』と書いている。これは4年前に学校で自殺した栞姉ちゃんの物だ。

青信号になったのを見て朱里姉ちゃんはハンドルを握り直し、アクセルを踏んだ。

「新しい学校では吹奏楽部に入るのか?」

「まさか。栞姉ちゃんが自殺した音楽室で練習するのだろ?そんな所で練習したくない」

「2年前に建て替えられたから問題ないよ。...本当にあの学校でいいのか?」

「...あの学校に行きたい。朱里姉ちゃんも教師としているんだろ?安心できるじゃん」

「まぁ、そうだけど...」

あの学校...栞姉ちゃんが自殺した場所。

実は俺はある人を探すためにあの学校に通うことを決めた。

それは『ヒダカナミ』。

4年前の朝、吹奏楽部に入っていた栞姉ちゃんは俺にこのフルートケースを渡して学校へ行った。そのまま栞姉ちゃんは帰らぬ人となった。学校側は栞姉ちゃんの自殺の原因はいじめだと言った。俺は信じなかった。だって、栞姉ちゃんは皆から好かれていたから。栞姉ちゃんは遺書も何ものこさずに逝ってしまった。

だけど、フルートケースに紙が入っていた。それは栞姉ちゃんのクラスメイトの物だった。

そこに書かれていたのはただ一言『ごめんなさい。 ヒダカナミ』と。

俺たち家族は父さんの転勤で栞姉ちゃんが死んですぐにこの町を出た。そして、4年後の今また戻って来た。このカナミさんに会えば栞姉ちゃんが何で自殺をしたのかが分かるかもしれない。だから、あの学校の卒業生カナミさんを探すことにした。

新しい家が見えてきた。

ここから俺の楽譜は書かれていたのかもしれない。

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