俺と住民
新キャラ二人登場。
思ってたよりも長くなってしまいました。
「ただいまー。」
いつものように仕事を終えて自宅についた俺。夕飯を作り、準備も完了した。さあ、いただきまーーー・・・
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
と右の隣室から真樹の悲鳴が聞こえてきた。それを聞いて俺は・・・
・・・もぐもぐ・・・
「うん。うまい。」
気にせず食うことにした。すると、
「おにーさん!!助けてよ!!」
と壁からニュッと出てきた・・・お団子ヘアーでチャイナドレスを身に纏った真樹が。
「またやられたようだな。」
「息を荒げながらこっちに迫ってきて・・・怖くて動けなかったよ~・・・。」
それを聞いてイメージしてみる俺。・・・確かにそりゃ怖い。と思い耽ていると、唐突に
ピンポーン
とインターホンが鳴った。この時点で誰が来たのかがすぐに分かってしまう自分が嫌だ。とりあえず玄関に向かい、扉を開ける。
「はーい。」
扉を開けるとそこには・・・
スタイルが良く、顔も整っており、そんじょそこらの芸能人も顔負けの女性が立っていた。
「こんばんわ~~。ごめんね~こんな時間に。」
「いえいえ、お気になさらずに。」
とお互い挨拶を交わす。
雅 雫
俺の右隣の部屋に住む女性だ。普段はキャバクラで働くキャバ嬢だ。愛想も良く意外と料理上手であり、さらにこの人の微笑みは多くの人々(大半は男性)が魅了される。
しかし、この人には困った部分もある。それは・・・
「ねえねえ浩ちゃん、真樹ちゃんここに逃げてるでしょ?今度はこの服を着せてみたいの!真樹ちゃん呼んできてくれる?」
と雫さんが出したのは・・・露出が多目のチアガール服だった。うわあ、満面の笑みだ。
そう、この人は若い女の子、特に女子高生が好きなのだ。それも悪い意味で。中でも真樹は一番のお気に入りのようで、今さっきも真樹を使ってコスプレ遊びをしていたんだろう。
「ねえねえ、こっちはもうすぐ出勤なの。それまでに真樹ちゃんをもっと可愛くしたいの!早く真樹ちゃん!真樹ちゃん!」
とまるで早くお土産を出せと父親にねだる子供みたいにせがむ雫さん。そこに殺気が入り混じっているように感じるのは俺の気のせいだろうか?
俺が対応に困っていると再び唐突に、
ピンポーン
とインターホンが鳴り響いた。それを聞いた雫さんが「チッ。」と舌打をした。ああ、今度はあの娘か・・・。
俺が嘆いていると雫さんとは違い、勝手に扉が開かれた。
そこには雫さんとは違い、中性的な女性がいた。その人は雫さんに
「雫さん!!真樹君が困っているんですよ!!少しは自重してください!!!!。」
と掴み掛かった。
彼女は崎宮 光
俺の真下の部屋に住む21歳の大学生だ。大人の女性の雰囲気を出している雫さんとは違い、光さんはまさにそこらへんの男よりも遥かにイケメンの雰囲気を出している。それ故彼女の通っている大学では「光様」、「光王子」と呼ばれて女性にモテモテなのだ。けど・・・。
「何で真樹が雫さんに襲われていることに気づいたの?」
と俺が聞いてみると、彼女は
「当たり前ですよ烏間さん!か弱き乙女の危機に気づかないほうがどうかしていますよ!」
とドヤ顔で答えた。
言うまでも無く彼女もまた女の子好きなのだ。ただし、雫さんが女の子を攻めるのに対し、光さんは女の子を守るのだ。その姿はまさに姫を守る王子だ。
「いいじゃないの!あの子は私の唯一の癒しなのよ!あの子で癒されてもいいじゃない!」
「彼女の意思を尊重すべきです!真樹ちゃんはあなたの玩具じゃない!」
「何よ!男にモテた事なんか一度も無いくせに!」
「僕は女の子にモテればいいんですよ!それにあなたみたいに中年にモテるよりは遥かにマシですよ!」
「ッ!あれは仕事上仕方が無いわよ!私だって女の子にモテたいわよ!小娘の癖に生意気ね!」
「オバさんよりかはいいですよ!」
・・・どうでもいいけど俺の部屋の玄関で争わないでくれ・・・。と何度嘆いたことか。この光景はもう日常茶飯事だ。二人は真樹のことになると熱くなりすぎるのだ。
「ねえおにーさん。またあそこに逃げる?」
と真樹が声をかけてきた。
「もちろん。」
と俺はすぐさま同意し、俺たちはまだ口論を続けている二人に気づかれないように部屋を出た。そして階段を下りて、一階にある部屋に逃げ込んだ。そう・・・大家さんの部屋に。
「こんばんわ~。」
「ごめんくださーい。」
と俺たちは大家さんの部屋に入った。そこには一人の・・・女子高生がいた。
「あ、烏間さん、真樹ちゃん、いらっしゃーい。」
天野 美月
このムーンライトの大家さんである現役女子高生だ。両親を早くに亡くした彼女は先代の大家さんである祖母と一緒に過ごしていたが、その人も老衰でこの世を去り、今では彼女がこのマンションを切り盛りしている。
「ごめん美月ちゃん。また非難させてもらうよ。」
「いいですよ。遠慮なさらずにどうぞ。」
・・・やっぱすごい子だな。女子高生とは思えない。
俺たちは美月ちゃんの部屋に入り、彼女からお茶をもらった。
「賑やかですねー。」
「・・・あれが?」
「だって今までこんなことありませんでしたから。烏間さんのおかげですよ。」
「俺の?何故に?」
「だっておにーさんが来てくれたおかげであたしは堂々とここに住むことができたんだもん。」
「その代償は高かったんじゃね?」
「うう・・・それを言わないで・・・。」
「でも烏間さんが来てくれたから、入居者が立った3人といえどもこうやって賑やかになったんですよ。」
「ミッチおばーちゃんがいなくなって寂しそうにしていたからねー。」
それは驚きだ。それを聞いた俺は
「光栄だよ。マンションの役に立てて。」
と言った。そして美月ちゃんははにかみながらこう言った。
「ありがとうございます。」
そして俺と真樹はしばらく美月ちゃんの部屋に厄介になった。
ちなみに雫さんと光さんのことだが、雫さんの出勤時間になるまで二人の口論は続いたと言う。迷惑極まりない話である。
真樹のそれぞれの呼び方
浩一=おにーさん
雫=おねーさん
光=王子様
美月=ミッチ
次回は梶山さん(浩一の同僚)との話