ちょっとした雑談をすること
相変わらずの亀投稿です。いやーホント、話が進まない(泣)
何とかしたいですねぇ。
「いやぁ~良かったねぇ隆弘。思わぬところで寝床が手に入って。」
「え?あ、あぁ。そうだな。」
いやまぁ、俺としてはもっと穏便に済ませる方法もあった気がするんだ。例えば何か山菜的なものと引き換えに泊めてもらうとか。土下座して頼み込むとか。
こいつが嫌われるのは一向に構わんが俺も一緒に嫌われるのは勘弁してほしい。異世界に来てまで嫌われ続けるのはさすがに嫌だ。
「なぁ」
「なんだい?隆弘?」
「いやお前じゃなくて。フラビットのほう」
「はい?あっしですか?」
「そう、お前。お前ってなんか個体名的なのあるの?というか何で喋れるの?」
「えーと、なるべくひとつづつ質問していただけると助かるんですが・・・」
「兎脳だからね。覚えが悪いんだよね?二つ以上のことはギリギリ覚えられるかどうかっていうくらいの記憶力だもんね?」
「兎脳で悪かったですね。どうせあっしは兎ですよ」
「お?いじけるの?いじけるの?弱いなぁ。物事には常に強気でいかなくちゃ!」
「強気で行かせてくれないのはどなたですか」
「え?僕じゃないよね?まさかそんな、天才のこの僕がそんな嫌味な奴なわけ無いじゃないか」
天災の間違いじゃね?しかも無駄に嫌味ったらしくね?
「アーソウデスネー。テンサイノマンドラゴラサマハソンナイヤミナヤツジャアリマセンモンネー」
「・・・君今しれっと馬鹿にしただろう?」
しれっとというか、大分馬鹿にしてた気もするがな。
「ナンノコトデスカネー。ワカリマセンネー。マッタクナンノコトダカケントウモツキマセンネー」
「兎ごときが調子に乗るなよ?」
兎ごときとかいってるがこいつは自分が人参なのを知ってて言ってるんだろうか。普通は逆だと思うんだが・・・
「いえいえそんな、調子に乗ってるだなんて滅相もない」
「・・・ふーん。まあ天才で寛大な僕は許してあげるけどね」
「それはありがとうごぜぇますー」
「いや、こっちの質問に答えてくれない?」
「あっ!すいやせん。え~と、なんでしたっけ?」
「だから、お前に個体名はあるのかってことと」
「だ~か~ら~!質問は一つづつにしてあげなよ。どうせ覚えられないんだし」
「・・・そうか、じゃあまずそれで」
「個体名ならありますよ。あっしはビット。これからお二方に泊まっていただく集落の門番的なことをしております」
「じゃあ、何で喋れるの?」
「あー、それは・・・隆弘さんは突然変異種はご存じで?」
「しってるよ?この人参みたいのを言うんだろ?」
「人参とは失礼な‼」
「お前今までそこに突っ込んでこなかったじゃねえか!ややこしいから黙ってろよ!」
めんどすぎる!もういい。こいつの口になんか詰めとこう。
ん?そこになんかいい感じに丸まってる植物があるな。よし。これを引っこ抜いてと・・・。
「ねぇ隆弘?その手に持っているものは何だい?え?ちょっと待ってよ。それもしかしてギム草じゃないかい?一体それをどうしようって言うんだい?」
「ああ、これギム草って言うのか。いやな?あまりにお前がやかましいからこのいい感じに丸まってる草抜いてお前の口に突っ込んでやろうかなって」
「ひどくない!?邪魔したのは認めるけど酷くない!?ギム草って毒性の高い植物なんだよ!?いくら僕がマンドラゴラとはいえ死ぬかもしれないんだよ!?」
「え、死の危険があるのか?」
「あるよ!むしろ死の危険しかないよ!」
「よし、お前これ食え」
「いやだよ!死ぬっつってんだろ!?」
「いやもう、なんかやかましいから」
「殺そうとする理由がしょぼすぎる!」
「あのー?」
「「あ?なんだよ?」」
「いや、もう着きましたけど?」
え?まじ?いつの間に?て言うか結局ゴラのせいで聞きたいこと聞けなかったし。・・・まあいいか。
兎達の集落は木でできた小屋だった。うん。なかなかいいんじゃないか?というかなんで兎なのに俺でも入れそうな大きさの家なんだ?
どう考えても兎達には必要ない大きさだろう。尋ねてみると
「なあ、ビット。何でこのサイズなの?明らかお前らにはでかすぎるだろ」
「知りません」
「いや知らないってこたねぇだろ?」
「知りません」
超早い返答が返って来た。
「いやだから」
「知りません」
「ああ、そう」
「隆弘、触れないほうがいいこともあるんだよ」
「ええ、知りませんとも。知らないんです」
何で?何で触れちゃいけないの?あれか?見えざる駄神の手が働いてるのか?
っとなんか出てきた。ビットよりも角がでかくて羽もでかい。髭も生えてる。なんか、こうボスっぽいというか長老っぽいというか。そんな感じのやつ。
「ようこそおいでくださいました。明玄次隆弘様。ゴラ様」
「え?何でおれの名前知ってるの?」
「この森のある程度は我らの縄張りです。私には縄張り内での会話を聞きとるスキルがあります」
「え?村長、なにげにあっし初耳なんですが」
「当然じゃ。誰にも話してないからの」
「何で?そういうことは話しといたほうがいいんじゃないか?」
「いやいや、話してしまっては若い者どもの青春の衝動を聴き取れんでしょうが。年をとった今ではこれだけが楽しみでしてな」
やべぇ。この爺さん変態だ。あのゴラでさえちょっと引いてるぞ。だいたい一定の範囲とはいえどこの会話でも聞こえるとかチートじゃねえか。
縄張り内ならこいつ最強じゃね?もしかして心の声まで聞こえてるとかないだろうな?
「いやいやそれはないですよ。いくらワシとはいえ心の声まで聞こえはせんよ」
「いや思いっきり聞こえてんじゃねえか!」
「まあまあ。そうカッカせずに、ささ、向こうで宴の準備が整っておりませう。今宵は存分にお楽しみください」
「・・・ああ、なんだかんだで疲れたし、そうさせてもらうよ」
「孝弘―!早く早く!御馳走がいっぱいだよ!」
あいつ、何か黙りこくってると思ったら先に呑んでやがる。許せんな。どれ、ちょっとしばいてこよう。
◇◆◇◆◇◆◇
兎たちの集落からもう少し奥にそれは居た。
普段ならこんなところには出てこないのだが、今日に限ってはその定かでは無かった。
「ん~?よそ者の匂いがするなぁ。それもあの兎どもの集落のほうからだ。・・・気に入らねえな。あいつら俺のことは拒んでよそ者は歓迎するってのか?だとしたら―――
―――――――『喰う』か。ああ、でもやりすぎると魔女の奴が煩いなぁ」
この森は『魔女の森』であるため、魔女の権限によって集落などを襲うことは原則として禁止されている。しかし、そこに関係のないよそ者が絡むとなると――――
「まあいいかぁ。そのほうが面白いしな」
―――その限りではない。
「さあ、お楽しみをぶち壊しに行こうかねぇ」
それは赤くギラついた眼を揺らしながら、匂いのするほうへ向かってふらつく足取りで歩き始めた。
まことに勝手ですがタイトルを変更させていただきました。
旧タイトルは『そうだ!誰にも理解されずに生きよう!』です。
勝手に変更してしまい申し訳ありません。