哀れな兎に会うこと
今回短いです。それと、一か月も間をあけてしまい申し訳ありません。
先の展開は思い浮かぶのですが、先すぎて使うことができず・・・
やっぱり文才が欲しいと考える今日この頃です。というか明日テストなんですよね。・・・やべぇな、俺。
「ねぇ~、まだ~?」
「子供みたいなこと言うなよ。気持ち悪いぞ?」
「気持ち・・・悪い?この・・・俺が・・・?」
「コメントしづらいこと言うのやめてくれる?」
孝弘がおかしなことを言ってそれにマンドラゴラがツッコむ。出会ったばかりなのにこの二人?にはすでに妙な関係が出来上がってしまっていた。
マンドラゴラは大丈夫なのだが、孝弘は森がずっと続いている光景に飽きてきていた。
「あとどれくらいで着くんだよ?」
「そうだなぁ、あと・・・ごめん言い直す。まだまだかかるね」
「長いっ!どんだけかかってんだよ!一日?一週間?位歩き続けてるぞ!?」
「うるさいなぁ。そもそも魔女に会いたいって言ったの君だろう?」
「それはそうだけどさぁ~」
「だったら黙ってついてきなよ」
「こんなにかかるとは思ってなかったんだって」
「そんなの知らないよ。君のわがままに付き合わされるこっちの身にもなってくれ」
「それは悪ぅござんしたー」
「心のこもっていない謝罪をありがとう。まったく、そんなに暇ならスキルでも試してればいいじゃないか」
「その手があったか‼いやぁ、まったく思いつかなかったわ。お前天才か!」
「逆に君が馬鹿なんだと思うけどね?って聞いてないし」
言うが早いか早速とばかりにスキルを試していく孝弘。それを見たマンドラゴラはため息をつきながら――
「まぁ、いいけどね」
と呟き、どんなものを見せてくれるんだろう?と一人期待しながら孝弘を先導するのであった。
◇◆◇◆
さて、試すとは言ったものの、一体何をどう試せばいいのかいまいちわからないな。どうするか・・・と悩んだ末に
「やっぱりイメージが大事だよな!」
と思ったので、取り敢えず周りの空気をある程度操れるようになることにした。イメージとしては周りの空気を腕に集めて防護する感じで・・・
おお!これはすごい!なんか、こう、言い表しづらいが空気が俺の右腕の周りを覆っていってるのがわかる。試しだから肘くらいまでにしとこうかな?
うん。できた。まだ時間がかかるけど初めてにしては上出来だろう。
そのまま近くの木を殴ってみる。が、痛くない。拳が当たったと言うよりも拳の前にある何かに当たったって感じだな。
その証拠に拳は幹に触れてないし、それ以上先に進めなくなっている。
「よし・・よし。よし!俺は特別な力を手に入れたぞ-!ゴラー!」
「急に何言ってるの?気持ち悪いんだけど?」
ゴラがなんか言ってくるが気にしない。何故なら俺は今、・・・感動に打ち震えているのだから!ああ!俺も夢にまで見た特別な力を持つことができたんだ!
急に実感が湧いてきて目から汗が出てきたよ。とっつぁん。
「うわ!なんか急に泣き出した!気持ち悪!」
「ハッ!!」
感極まって泣いてしまった。足生えたニンジンに気持ち悪いっていわれる俺って・・・(泣)
てか、とっつぁんって誰だよ!?とうとう頭おかしくなったのか?俺。
「大丈夫だよ孝弘。君の頭は元々おかしいから」
「うん。何の違和感もなく人の思考読むのやめような?ゴラ」
「え?ホントにそんなこと思ってたの?やっば!?僕、天才かも!?」
「ああ、うん。天災天災」
「・・・なんか違和感あるんだけど?まあいいや」
何事も気にしすぎると負けだよ?ゴラさん?
そのあと二・三時間歩きながら会話したりスキルを使って遊んだりしているとそこそこ広い開けたところに出た。
「なんだ?此処?」
「ここは・・・あ~やっべ。ごめん孝弘。先に謝っとく」
「は?」
と、そんな会話をしていると、少し離れた茂みから何かが飛び出してきた―――
「死ねぇえええええええええええええええ!?」
―――飛び出してはきたのだが、出てくるなりいきなり後ずさり始めた。器用な奴だな。
よく見ると、なんのことはない、兎だった。逆関節で後ずさるとかすげぇな。
「おいゴラ!こいつは一体なんだ?出てくるなり叫んで後退していったけど?」
「んー?こいつはねぇ、フライラビット。略してフラビットさ」
「何でフライ?」
「見てみ?羽が付いてるだろう?」
「羽?ホントだ付いてる」
回り込んでよく見てみると、首の後ろあたりにちょこっとだけ羽が生えていた。
「いや、こんなちょこっと生えた・・・翼?羽?は何のためにあるんだ?」
「さぁ?ファッション?」
「いや知らないのかよ!?」
「僕だって何でも知ってるわけじゃないさ。むしろ、知らないことのほうが多い」
「ふーん?そんなもんか」
「そんなもんさ」
「あのー?さっきから無視しないでいただけます?」
「「喋った!?」」
あ。ハモった。
「最初からしゃべってましたけど!?」
「ジョークだよ。真に受けんな」
「そうそう。冗談が通じない奴ほどつまらないことはない」
「え、これあっしが悪いんですか?」
「あぁ?」
「ひぃ!?すいません、すいません、すいません!」
なんだこの状況?足の生えた気持ち悪い人参が威張って、それを餌とする兎がへこへこしてる。
「な、なぁゴラ?」
「なんだい?孝弘?」
「ひょっとしてお前そこそこ立場強かったりするのか?」
「いんや?昔ちょーっとこいつの種族と遊んだだけだよ?それ以外はただの人参だよ?」
「ハンッよく言いますね。一族全員で襲い掛かっても退ける人参が何処にいるってですか」
「何か言ったかい?」
「うぃ!?いいえ何も!?」
「そう。ならいいんだけど?・・・ねぇ孝弘?」
うわぁ、なんか悪そうな顔してる。返事すんの嫌なんだけど。でも返事しないと怒られるからなぁ。
「何だよ?」
「僕らもいい加減野宿は飽きてきたよね?」
「は?いや俺はべt」
「飽きてきたよね?」
「・・・うん」
おかしい、こんなことで危機感を覚えるなんて。なんで意見を強制されなきゃならないんだ。
その時脳内には「強いられているんだ!」という声が響いた。
「あーどこかに哀れな僕たちを泊めてくれる心優しい奴は居ないかなぁ?チラッ」
「え?なんです?嫌ですよ?」
「あー何処かに哀れな僕たちを泊めてくれる心優しい奴は居ないかなぁ?チラッ」
「だから嫌ですって」
「あー何処かに哀れな僕たちを泊めてくれる心優しい奴は居ないかなぁ?チラッ」
「いやだから嫌d」
「あー何処かに哀れな僕たちを泊めてくれる心優しい奴は居ないかなぁ!?」
「・・・わかりましたよ。泊めりゃあいいんでしょう?泊めりゃあ」
「え?そうかい?悪いね?ほら孝弘、泊めてくれるってさ?」
思いっきり脅してんじゃねぇか。とツッコミそうになったがここでツッコむとえらいことになりそうなので黙っておく。たかひろ、賢い子。
かくして俺たちはフラビット達の家?に泊まることになった。どんな感じなんだろう?ていうか俺は入れるのか?
「え?食事も用意してくれるって?ありがとう!ほんとに申し訳ないよ!」
「いやそんなことは言って・・・はぁ。もう好きにしてください」
哀れフラビット。頑張って生きるんだぞ。
いよいよ次話を投稿したらタイトルを変えます。
各話のサブタイも変えますのであしからず。
2014/07/15 タイトル・サブタイともに変更しました。