初めの印象について
サブタイにする要素がねぇ!
地味に解説回です。
タイトル決まりました。それに合わせて最初に予定していた話とかなり別のものが出来上がりそうです。詳しくはあとがきで!
明玄次隆弘
最初にあった時の印象は、何で死なないんだろう?こいつ?だった。
なんとなく接しやすかったのもあって、色々な話をした。話をして印象はずいぶん変わった。だっていきなり魔女の家行きたいとか言い出すんだぜ?頭おかしいとしか思えないね。
でも、それを聞いてさらに興味がわいた。人間に会うのは久しぶりだったっていうのもあるけど、それでも相手の魔力や実力すらよくわからないような魔獣ですら近寄らない場所に行きたいなんて言い出したんだ。そりゃ興味もわくさ。
いままでに、自分の腕を過信しすぎた人間や魔族が魔女に挑んだことはあった。そのたびに、馬鹿だなぁ。どうせ負けるのに。そう思いながら見ていた。そいつらは決まって魔女を倒しに行く。そう言った。だけど、帰ってきたことはなかった。
今までみたいに倒しに行くっていうんなら、『あぁ、こいつも馬鹿か。』で済んだだろう。でも、こいつの魔女の家に行く理由は『なんとなく魔女を見てみたいから。んでもって、あわよくば話ができればいいな』だった。
その質問は朝にしたけれど、その日は日が暮れても思い出しながら笑ったね。皆から恐れられている魔女に会いに行く理由が『話をしたい』だぜ?ありえないね。狂ってるとしか思えないような思考回路だ。
いったいどういう風な日々を過ごせばそんな思考になるのだろう?そう思った僕は彼に「この世界に来る前はどういう生活をしていたのか?」
という質問を投げかけた。僕は、てっきりお調子者で人気者だったという答えだと思っていた。
でも、返ってきた答えは予想に反し、「人気者なんかではなく、寧ろ虐められていた。」というものだった。
意外だった。それはもう意外だった。冒険の最初に出会ったスライムがLv99だったくらい意外だった。
まさか僕の想像の真逆をいってくるとは・・・やるな!
聞けば地味につらい内容の虐めだったみたいだし・・・どう考えてもそんな馬鹿みたいな思考に陥るわけがない過去なんだけど・・・なんでこいつこんな考え方できるんだ?
普通なら軽く鬱になるレベルだと思うんだけど?
「おい、さっきからこっち無視してなに黙りこくってんだよ?」
「え?ああ、ごめん。ちょっと考え事をね」
「植物のくせに」ボソッ
「・・・もしかしなくても今馬鹿にしたよね?」
「キノセイジャナイデスカネー?」
「いいや。気のせいじゃないね。」
「うるさいなぁ。どうでもいいだろ?それより、俺の昔話聞いたんだからお前のも聞かせろよ」
「え~。めんどくさいんだけど?」
あまり知られたくない過去があるってわけじゃないし、寧ろどうでもいいんだけど・・・、なんとなく昔話をするのは恥ずかしいね?
自分から隆弘に振っといてなんだけど、これはなかなかクるものがあるね。こんな話題振らなけりゃよかった。
「いいから話せよ。気になるだろ?それとも何か?やましいことでもあるのか?」
「あるわけないだろう!大体、植物におけるやましいことって何さ!?」
「そりゃこう・・・触手でシたり、魔物けしかけたり?」
「どんなのさ!・・・もういい。話すよ?」
「どうぞ?」
◇◆◇◆◇
昔話・・・ねぇ。別に語るほどのことはないんだけど・・・そうだね。じゃあ、僕が生まれたころからの話をしよう。
僕は物心・・・というか、気が付いたらこの森にいた。自分の名前すら知らずにね。白と黒の市松模様の草や紫色の空、白い幹に緑以上に緑な葉をつけた木、あとは少々の魔物。
今でもあまり強くはないと思うけど、昔の僕は今以上に弱かった。今でこそ、魔物を撃退する手段を持っているけど昔はそれすらなかったからね。
だから、日々魔物に追いかけられる生活の中で僕は思いついたんだ。
そうだ!土に潜ろう!ってね?・・・いやいや、そんな可哀想なものを見る目で僕を見ないでよ!僕だって必死に考えたんだよ?必死に考えた結果、潜ったんだ。
ほら、君と初めて会った時も埋まってただろう?あんな感じさ。まぁ、それはどうでもいいや。
僕が自分の名前を知ったのは・・・ええと、何時だったけ?
ああ、思い出した。この森はそこそこ強い人間が腕試しにきたり、そうでない者も薬草の採取にきたりするんだ。僕が自分の名前を知ったのは薬草を採取しに三人くらいの人間が来た時だった。
目的を達成したらしいその人間たちは帰ろうとしていたんだ。
僕は、普段地面に埋まっている間は頭の葉っぱを使って息をしたり、栄養を取ったりしているんだ。その日はなんとなく気分が良かったから、葉を激しく揺り動かしながら少ない栄養と酸素を集めていた。
君とあった時みたいにね。だからだろうね?人間たちが近づいてくるのに気付かなかったんだ。というか引っこ抜かれてから気づいた。
その時に人間たちが僕のことを『マンドラゴラ』と呼んでいたんだ。まぁ、その人間たちは僕の悲鳴を聞いて死んだんだけどね(笑)
それ以来僕はマンドラゴラと名乗っているよ。時々会う人間たちが言うには僕みたいに喋り倒すマンドラゴラはあまりいないらしくてね、僕のことを『突然変異種』と呼んでいるそうだよ。
なに?『突然変異種』がわからない?いやいや、字面でわかるでしょ?は?わからない?・・・君馬鹿だねぇ。何?植物のくせに生意気だって?植物関係ないだろう!
いいかい?『突然変異種』っていうのは、普通の個体と違っていて何かに秀でたりしているんだ。例えば、スライムの突然変異種は周囲の敵味方関係なく『喰って』成長する。
んで、喰った奴の『能力』を手に入れる。火魔法が使えるやつを喰えばそのスライムは火魔法が使えるようになる。もちろん、さっきも言ったけどこれは突然変異種に限った話で、普通のスライムにこんな能力はないよ。
僕の場合、今みたいに喋り倒せるようになったのと、一つだけ、悲鳴以外の特別な力を使える。何かって?それは教えられないね。まぁ、いずれわかると思うよ?
突然変異・・・もうめんどくさいから『変種』ね?変種は普通の個体と見分けがつかないんだ。例外はいるけどね。だから、見分けつかなくて襲い掛かったら変種でしたーなんてこともあるらしいよ?
君もせいぜい気を付けるこった。僕が温厚な奴でよかったね?はい。これで僕の話は終わり。それからどうなったって?君と会うまで退屈な日々を土の中で過ごしただけさ。
何さ?これ以上は本当に無いよ?
・・・はぁ、わかったよ。分かったからそんな目を向けないでよ。
じゃあ、とっておきの話をしよう。君にとってはすごく興味のある話だと思うよ?なんせこの話は・・・魔女の話なんだから。
君は魔女にどういうイメージを持ってる?魔法を使う?森の中に住んでる?御婆さん?確かにそれも一つの魔女の形。でも、此処の魔女は違う。
ここの魔女は魔法は使うけど、御婆さんじゃないし、森の中に住んでるけど、もとはそうじゃなかったんだ。
他は知らないけど、此処の魔女は『継承』されるんだ。もうずいぶん前の魔女が自分の力を残すために編み出した最後の魔法。名を『血の継承』。
効果は読んで字の如く、自分の力全てを他者に譲り渡す魔法さ。もっとも、実際は譲り渡すなんて生易しいものじゃなくて呪いに近いものなんだけどね。
要は、魔女が目にした人間で、素養が高いと思われる者に「乗り移る」というものなんだ。だから当然乗り移られた者は自我がなくなり、魔女となる。
でも、乗り移られた者は魔女の中で精神だけで生きるらしい。そして、自分の体で人を殺すのを無理矢理見させられて絶望するんだってさ。
魔女はその絶望を糧として力を得る。だからこの負の連鎖は誰かが魔女を殺すしかない。でも、殺せない。人間とは地力が違うからね。噂じゃこの世界で最大の軍隊と一人だけで互角の勝負をするとか。
だから君も「魔女に会いに行く」なんてやめたほうがいい。会えばすぐ、殺されちゃうよ?それが嫌なら近寄らないことだね。
◇◆◇◆◇
昔話を終えた僕と隆弘は魔女の家に向かって歩いていた。隆弘の奴僕の話を聞いたら余計会いたくなったとか言い出して無理矢理案内させられてるんだ。
楽しいからいいけどね。でもこいつ魔女なんかに会ってどうするんだろう?殺されるだけだと思うけどなぁ。
「おい、まただんまりかよ?もっと楽しく喋ろうぜ?」
「ん?ああ、ごめんごめん。んで?なんだっけ?」
「だから~、魔女にあった時の第一声はどうしよう?って話だろ?」
「くだらねぇ!思ってたよりくだらなかった!どうでもいいよそんなの。」
「はあ!?どうでもよくねえし!お前馬鹿か‼魔女が優しくて超美人でスタイルグンバツのお姉さんだったらどうするんだよ⁉」
「どうもしないし。逆にどうするか知りたいよ」
「馬鹿か‼重ねて言うけどお前馬鹿か!んなもん結婚申し込むに決まってんだろ!」
「いやお前が馬鹿か。魔女がそんな奴なわけ無いだろ?大体こういうのは予想を最低レベルまで低くして実物を見たときのダメージ減らすもんでしょ!?」
「ぐぬぬ。正論(?)すぎて反論できん。」
「歯噛みって、君それ男がやってもまったく可愛くないからね?」
「やかましい。誰が可愛さ求めてるって言った?俺が求めるのは美女からの求婚だけだ!」
「君みたいな野郎が美女から求婚なんかされるわけないだろ?そんな中の上いくかいかないかの見た目にその性格じゃ・・・ハン!ドダイys無理だね!一体どの面下げて言ってんだか。」
「このイケメンフェイスですが!?」
「君がイケメンとか笑わせるよ!世の中の本物のイケメンに全裸で土下座して謝るべきだね!」
「ぬぁあああ!植物のくせに調子に乗りやがって!もう許さん!くらえ!秘儀!【エクステンションチョップ】!」
「なんだいその訳の分からない構え方は!?」
「説明しよう!【エクステンションチョップ】とは!足を交差させて組み、右腕をチョップの形にして背中まで回した後踏み出しつつチョップを繰り出すとなんか威力が上がる気がしないでもない必殺技である!くらえ!」
「うお!?危ねぇ!なんで解説しつつ攻撃してくるんだよ!頭おかしいのかお前!?」
「ぬぅ、右に飛んで躱すとはなかなかやるな!ならばもう一度!くらえ!【エクステンションチョップ】!」
「やめろ馬鹿!そのかっこで追いかけて来ないでよ!気持ち悪い!もうやだこいつ!」
その後、日が暮れるまで隆弘に足を交差させたまま追い掛け回されるというすごく奇妙な体験をした。ある種の恐怖体験である。できればもうしたくない。
活動報告欄にも書きましたが新しいタイトルは
「異世界LIFEを楽しくする100の方法」です。
各話のサブタイも変えると思います。
あと2、3話更新したら変えます。
読みづらい個所等ありましたら教えてください。
感想、批評、誤字・脱字の指摘お待ちしております。