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とものん、か。
なかなかセンスがあるな。
今度からそう呼んでやろう。
…なんて事を考えているうちに、いつも通り学校は終わり、生徒は学校を去っていく。
僕も例外では無く、一人離れていつもの帰宅ルートを歩いていた。
僕の家は、彼等とは逆の方向に向かった先にある。
当然、何かなければ僕は一人で帰る事になる。
僕は決まって、帰宅する時間は考え事に費やすと決めている。
ある時は自分はなぜ生きているのかに始まり、そもそも生きるとはどういう事なのかと禅問答が肥大化したり、
カレーという食物はどこまで応用がきくのかなどと、くだらない考えに耽ったり。
こういうところが、きっと僕が中二病というカテゴリに入れられる原因の根底にあるのだろう。
まぁ、そんなこと気にしていたら何も出来なくなってしまうわけで、今日も僕はくだらない一人会議の中に放り込まれるわけであった。
やはり、今朝の夢は気になる。
一見しただけでは友則の言うとおりただの悪夢だが、何かが引っ掛かる。
夢の展開の順番がぐちゃぐちゃだったことが、気に掛かっているのだろうか?
…いや、そんなの夢ではよくあることだろう。
むしろ、ちゃんと筋道の立った進行をしたためしがない。
では、なんなのだろう?
わからない。
わからないので、少し休憩をするかのように、上空の鳥の動きを眺めてみる。
すうう、と彼は空を飛び、学校の方の空へと向かって行く。
学校か。
そういえば、夢の中にも学校が出て来たな。
どんな形だったか?
確か、そうだな、暗くても良く見えていた。
そう、現実のものと大差なかった。
それどころか、違いを一切見つけることが出来ない。
他もそうだ。
自分の家も、思い出せる限りでは現実のものと全く違いがない。
僕は、実際に現実でも一人暮らしだし、夜中外を出歩くことも確かにある。
そこまで頻度は多くないが。
学校へ向かう道の途中も、途中知らない道に分岐するまでは、とても見慣れたものだった。
分岐した後の道は、こちらの僕も知らないので、検証しようがないが。
兎も角、あの夢は現実に似過ぎている。
そのことが、たった一点の異常を、ひたすらに際立たせる。
あの少女は、なんだったのだろう?