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勇者な少年と少女の魔王

勇者になりたくなかった少年

作者: 夜魔

 僕は勇者にされた(・・・)


 それも、先祖が勇者だったというくだらない理由で。

 だってそうでしょう?先祖が勇者だったとしても僕はどこにでもいる普通の少年だった。こんな僕よりもお城にいる兵隊の方が何倍も強い。そんな事は誰でも分かる。


 まあ、百歩譲って僕が魔王退治に出るのを良いとしよう。だけど何の訓練もしてない子供を送り出す!?しかも動きにくい服に、嵩張かさばる鎧に、重たい剣を持たせて、それなのにお金は少しだけだし。


 最初に出会ったのが最弱王スライムじゃなければ死んでたよ。あの時、鎧が邪魔な事に気づいて良かった。そうじゃなけれは次に出会った飛び針蜂フライングニードルに刺されて死んでたね。毒で普通に鎧溶かしてたし。


 そんなこんなで命からがら近くの村に着いたらそこは魔王の直属の部下の四天王の一人の配下の手下に占領されていた。――え?何でそんなに詳しいのかって?自分で言ってた。

 それで占領されている町に剣を持った子供が来たらどうなるのか――連れて行かれました。それで尋問じんもんされました。

 僕は黙秘もくひを続けていたら何故なぜか(不本意ながら)勇者だという事がバレたため、剣(何故か取り上げられなかった)を使って戦い、なんとか勝利した。

 僕が倒した魔物は立ち去り、村に平和が訪れた。

 その翌日、僕は村人に感謝され、村を後にした。……魔王を倒してくれとエールを受けながら……。


 その後、僕は度々たびたびやって来る魔王の配下と戦うようになった。来る敵を撃退している間にはどんどん強くなっていったが、その強くなる段階がもの凄い穏やかな物だったので、僕もだんだん強くなった。――命懸けで戦って強くならないわけないが。


 で、しばらくすると幹部やら四天王の一人が出てくる様になった。流石に強く、死ぬかと思ったのは一度や二度ではない。そんな僕はとうとう魔王の城へ辿り着いた……適当に歩いていただけだったが。

 ここまで来たら魔王を倒そうと思った。――そうしないと帰れないし。一旦国に戻ったら門前払いされたし。


 中に入るため、門の前にいたモンスターを正面から倒す……のではなく、適当に変装して何事も無く突破(通過)した。

 中には今まで戦った魔物達がいたから不意打ちで倒した。四天王は流石に不意打ちは通じず、戦闘することになったが……まあ勝てた。手の内は知ってたから結構余裕だった。

 というのも魔物と戦う時一番厄介やっかいなのは、攻撃手段が見た目では分からない所だ。だが、それが分かるとけかなり楽に戦える。一方、俺はというと攻撃手段は剣と戦いの途中で目覚めた光の力だ。


 この二つに出来るのは相手にぶつけてダメージを与える事だけなので、対処法たいしょほうが少ない。剣は単純に近づけない方法があるが、魔物も遠くの物を攻撃する方法が少ない。体の一部を飛ばすか、何かを吐き出すかだ。でも上位の魔物となれば自身の魔力を使って色々出来るが、それは僕の光の力で相殺できる。

 僕の光の力は物理的な破壊力の他に、限度はあるが相手の魔力を消す事が出来る。――これが勇者の力なんだろうなと思った。


 そして僕が魔王の玉座に辿り着くとそこには一人の女の子が居た。最初見たときは僕は自分の目を疑った。なぜなら、その女の子は普通の女の子に見えたから。

 魔王はその名に恥じぬ恐ろしい容姿をしていると言われていた事もあり、最初は信じられなかったけど、その娘からは魔物達が発する魔力が今まで会ったどの魔物よりも強かったため、魔王だと確信した。

 その事に気づいた僕は、やる気がかなり無くなった。女の子斬りたくないし。

 そう考えていたら魔王(女の子)が話しかけてきた。


「勇者よ、よくぞここまで来たな。そんな貴様きさまに一つ提案ていあんがある」

 僕はそれを聞くと、怪訝けげんそうな顔をした。何故魔王がそんな事を聞いてきたのか分からなっかたからだ。だけど僕の顔をを見た魔王は、話を聞くがあると判断したのか、言葉を続けた。


「勇者よ、我が配下となれ。――その代わり、世界の半分をお前にやろう」

  その言葉に僕は間髪かんぱつれずに答えた。

「喜んで!!」


 それを聞いた魔王は驚いた顔をしてたずねてきた。

「ちょっと待て!おぬしなんでうなずいた!?」

 その質問に、僕はそっちの言った事に賛成したのになんで疑問をいだかれるのだろうと思いながらも、こうなった経緯いきさつと日頃溜まっていた文句を吐き出した。


「何で僕は死にそうな目に会ってるのにもらえるものが、がんばって――だけなんだよ。謝礼ぐらいくれたっていいじゃないか。助けた村も一晩泊めてくれて翌日には追い出されるように送り出されるし、お前の所の部下と戦っても得られたものは疲労ひろうと光の力だけだよ――そういえば一回だけ焼き鳥貰ったっけ、四天王の一人に。正直お前らに殺されるよりも餓死しかけた回数が多いよ。それに・・・・・・」


 そんな事を話していたら魔王がいきなり涙を流した。

「な、なんで泣いてるの?」

「いや、お主この大陸の誰よりも不憫ふびんだから……ぶっちゃけ、わらわ達が支配している土地の一番貧しい民より扱いが酷いぞ」

「えぇ!?」


 魔王から聞いた話では魔王軍が辺りの土地を支配し始めたのはこの辺りの王様達は民の事を考えない自分中心な考え方な人(ジコチュー)ばかりでいさかいがえなかった為、それを仲裁ちゅうさいしようとしたら戦争になり、その結果、支配しちゃったらしい。

 その話が婉曲えんきょくされて伝わったらしく、周辺諸国しゅうへんしょこくからも戦争されて、それを続けている内にどんどん支配地域が広がってしまったそうだ。

 それなのに魔王軍が恨まれているのは戦争で物資がなくなったのを魔王の所為せいにしたらしい。

 その対策として地道なイメージ回復につとめようとした時に僕が現れたんだとか。


「じゃあ、僕の所に魔物達が来たのは?」

「説明しようとしたのだが……お主が抵抗したので――」

「すみませんでした!」

 言葉の途中だったが土下座しました。

「あーよいよい。うちの奴らも帰ってくるたびに戦いに、夢中になって伝え忘れました!――って土下座してくるからの。お互い様じゃ」

「そう言っていただけると幸いです。――あれ、じゃあさっきの、世界の半分を――っていうのは?」

 その質問に魔王は少し表情を変えた。そして――

「つい、一回言って見たかった台詞セリフを言ってしもうた」

 と言って笑って誤魔化ごまかした。

「そ、そうなんだ……」


「それでのう……お主これからどうする?」

「え、配下になるって言ったよね?」

「世界の半分を上げれないぞ?それでもか?」

「そうか……じゃあ今から世界征服せかいせいふくしよう」

 その言葉に魔王は苦笑いした。

「勇者のお主が言う事ではないのう……だが気にいった」

 そこで魔王は立ち上がった。

「いいだろう、世界征服、やってみようではないか!」


 そして、勇者と魔王による世界征服が始まった。


後、魔王視点Verとその後の物語を書く予定です。

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