表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

3

ある時、漁師は漁で捕まえた魚を逃がさずに全部引き上げて帰ってきた。


「まぁ、今日は大漁ですね」

女が言うと、

「米や味噌や醤油がそこをつき始めたから、村に行って交換してくる」

と、漁師は答えた。

「それなら魚籠の中の真珠もお持ちになってください」

と、女がいうので、漁師は女と魚籠を交互に見比べてから聞いた。

「何か欲しい物はあるか」

「早く帰ってきてくれれば何もいりませんわ」

「そうか」

そして、漁師は魚と真珠をを持って村に向かった。


間もなく漁師は帰ってきて、米や味噌や醤油と一緒に

「加工してもらった」

と、真珠の首飾りを女に渡した。

「まぁとてもきれいだわ。ありがとうございます」

女は真珠の首飾りを見ながらにっこり笑うと、魚籠に入れた。


次に漁師が村に行く時も真珠を持っていき、今度は腕輪に加工してもらった。

「まぁとてもきれいだわ。ありがとうございます」

今度も女は真珠の腕輪を見ながらにっこり笑うと、魚籠に入れた。


その次に漁師が村に行く時も真珠を持っていき、今度は髪飾りに加工してもらった。

「まぁとてもきれいだわ。ありがとうございます」

女は真珠の髪飾りを見ながらにっこり笑うと、今度は魚籠に入れずに髪飾りを自分の頭につけた。

その様子を眺めながら漁師は満足げに笑った。

そこで女がひどく驚いた顔をして漁師に抱きつくので、逆に漁師の方が驚いた。

「どうした?」

と漁師が聞けば、

「お前さまが笑ったのは初めてですね」

と、女が鈴を転がすような声で一際うれしそうに笑って抱きつくのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ