早朝のメイドさんと風呂場で遭遇
改行がされていませんでしたすみません(3月21日修正)
ふと、目が覚める。
昨日とは違う。体が、やけに軽い。
あれだけ辛かった頭痛も、めまいも、節々の痛みもどこにもない。
試しに腕を動かす。
足も動かす。違和感は、何もなかった。
(……治ってるな、よし)
時計に目をやる。
まだ、朝の四時半前。
前日にほとんど一日中寝ていたせいか、自然と目が覚めてしまったらしい。
いつもなら迷わず二度寝する時間だが——
ふと、風呂に入っていないことを思い出した。
なんとなく、体に残る違和感。
気持ち悪い、とまではいかないが、妙に落ち着かない。
「……シャワーでも浴びるか」
小さく呟いて、体を起こす。
軽く伸びをしてから、部屋を出た。
廊下には、まだ朝の静けさが残っている。
けれど、完全に無音というわけじゃない。
遠くから、掃除の音や 小さな足音が聞こえる。
屋敷はもう動き始めている。
(相変わらず早いな……)
そんなことを思っていると、
「おはようございます、遥斗様」
落ち着いた声が聞こえた。
「お体はもう大丈夫でしょうか?」
振り向くと、秋岡さんが立っていた。
「見ての通り、すっかり元気になりましたよ」
そう答えると、秋岡さんはほっとしたように目を細める。
秋岡さんは五十歳ほど。
穏やかな声と落ち着いた雰囲気を持つ、この家の執事つまりまとめ役だ。
昔から世話になっていて紗良の次に頼れる人と俺は思っている
「それは何よりです。もしかしてお風呂でしょうか?」
「ええ。湯船はいいんで、シャワーだけ」
「かしこまりました。二階のお風呂が空いているはずですよ」
「ありがとうございます」
軽く頭を下げると、秋岡さんはいつもの柔らかい笑みを返してくれた。
廊下を歩きながら、ふと思う。
この家のことは、大抵秋岡さんに聞けば何でも分かる。
だからつい頼ってしまう。
紗良に頼るのは同い年ってだけで、妙に遠慮してしまう。
そんなことを考えながら、風呂場へ向かった。
脱衣所で服を脱ぎ、浴室へ入る。
蛇口をひねる。
最初に出てくるのは、ひやりとした水。
身をすくめたあと
すぐに、温かいお湯に変わる。
(あー……)
思わず息が漏れる。
四月下旬。
昼は暖かくても、朝はまだ少し冷える。
そんな中で浴びるシャワーは、体の芯にじんわり染みていく。
髪と体をしっかり洗い流す。
タオルで水気を拭き取り、脱衣所へ戻る。
下着を身につけて——
服に手を伸ばした、その瞬間。
”コンコンコン”
「……失礼します——」
突然のことで俺も声が出ない。
ほぼ同時に、扉が開く。
「……え」
「——は?」
視線が、ぶつかる。
時間が、一瞬だけ伸びた気がした。
空気が凍りつく。
「……何をしてるんですか」
「いや、ちょ、待って。それこっちのセリフなんだけど」
慌てて言い返す。
紗良は、はっとしたように視線を逸らした。
小さく息を吸う。
(……動揺してる?)
頬が、ほんのり赤い。
いつもなら平然としてるくせに。
(珍しいな……)
その間も、心臓の音がうるさい。
ドクン、ドクンとやけに響く。
(いや落ち着け俺……)
「今日は、随分と早いんですね」
少し間を置いて、紗良が平静を装う。
「ああ。昨日ずっと寝てたしな」
服を急いで着ながら答える。
「風呂にも入ってなかったし」
一瞬だけ、視線が合う。
……すぐ逸らされる。
「……そうですか」
どこかぎこちない声。
換気扇の音が、やけに大きく聞こえた。
さっきまで普通だった空間が、妙に意識される。
「すみません……いつもこの時間は誰も使っていなかったので」
「いや、大丈夫気にしてないから」
お互い、どこか落ち着かない。
「……じゃあ俺、出るわ」
タオルを手に取る。
すれ違う瞬間ふわっと甘い香りがした気がする。
妙なことを考えながら、そのまま外へ出る。
後ろで、静かに扉が閉まる音。
(……なんか、変に意識するな)
昨日はあんなに平然としてたのに。
「手伝いましょうか?」なんて言ってたくせにやっぱりあれは冗談だったのか。
そんなことを考えながら部屋に戻って髪を乾かし家を出る準備をする。
朝食をとり一息ついたところで家を出た。
教室につくと亮太が近寄って来た。
「遥斗、おはよう。元気なったか?」
「おかげさまで」
「運動しないからすぐ風邪ひくんだぞ。少しは動けよな」
「はいはい……」
(それ言われると弱いんだよな……)
俺は運動があまり好きではない。もちろん授業をさぼるなんていうことはしないが、自主的にしようとは思わない。
「蒼井さんを見習えよな」
「いやいやあれは例外だろ」
そう言って紗良のほうに視線を向ける。
目が合うがぷいっととそっぽ向かれた。
(まだ恥ずかしがっているのか…)
朝のことをまだ引きずっているそんな気がした。
「お前…さてはなんかあったな」
「は?いや、なんもないけど…」
亮太は妙に勘が良い
「てか、昨日休んでたんだしなんかあるわけないだろ」
俺は落ち着いてごまかす。
「お前さ、さては学校外で蒼井さんと結構一緒にいるだろ」
(ぎくっ…)
なんでわかるんだよ。これが野生の勘とでも言うのだろうか。しかしバレてはいけない。ここは上手くかわさなければ。
「いやいや俺が一緒にいるわけないだろ?」
「それもそうだな。」
何とか理解したようでそう言って亮太は笑い出した。
(あぶねー)
終わったかと思った。今すぐに冷や汗をかきそうなくらいだった。亮太があっさり引き下がってくれて本当に良かった。
「そういえば看病って誰がしてくれたんだ?」
「看病は…母親が早く帰ってきてくれてさ。何とかなったよ」
息をするように嘘をつく。もはや隠すのに慣れてきたかもしれない。平然を常に装って喋るのを意識すればいいだけ……
「俺はてっきり蒼井さんがしてくれたのかと」
「だからなんでそうなるんだよ」
(なんで分かんだよ)
亮太の言葉一つ一つにヒヤヒヤしながら朝を乗り越えた。
午前の授業が終わり、昼休みになって亮太と智樹と昼ごはんを食べている時…
誰かが俺の後ろに立った。
少しだけ表現を変えようと思って1,2,3話を修正しました。
※流れは変わっていないです。
昨日は投稿が遅くなってすみません




