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第6話 飯テロ被害者

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 第6話 飯テロ被害者

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 あれ以来、現代飯を再現する毎日を送っている。おかげで食生活が豊かになった。

 さらに、竹さんが現代飯のレシピを覚えてくれたので、僕が作らなくてもよくなった。しかも僕が作るより美味しい。


 朝は香の物と汁物、そして卵焼きか目玉焼き。朝はこれで十分。

 朝焚いたご飯(白米)は、お昼に食べられるように、握り飯にしてもらう。

 この時代の食事は朝晩の二回だけ。それでは力が出ないので、僕は昼も食べる。


 梅干しの握り飯は、美味しい。

 この時代の梅干しは、とても美味しく漬けられている。スーパーの梅干しとは一線を画す美味しさだ。


 夜はできるだけ豪華に。

 といっても、再現できる範囲で。

「今日は鶏肉のハンバーグを作ってみました」

「今日もありがとうね」


 つくねを平たくしたものだけど、ハンバーグで統一。

 以前、豚や牛の肉を食べたいと言ったら、一頭丸ごとの肉が届いた。

 食べきれないです。

 熟成させておけばいいかもしれないけど、僕ではそういった知識はありませんよ。

 冷蔵庫が欲しいと、あれほど思ったことはない。

 とりあえず、(むろ)があればなんとかなるかもと思い、床下を掘って保存してあるけど腐ったらごめんなさい。


「ふむ。美味(びみ)である」

「お口に合ってよかったです」

 なぜか信長様がいる。

 三日前から毎日夕食時にやってくるようになった。

 これは餌付けというやつだろうか。

 いや、飯テロの被害者といったほうがしっくりくるか。


 できれば、こんな目つきの悪い中年さんではなく、可愛い女の子がいいです。

 あ、ごめんなさい! 殺さないで!


「いつも思うが、失礼なこと考えているだろ」

「え!?」

 な、なぜ分かったのですか!?


「ふんっ。お主程度の考えなど、簡単に分かるわ」

「こ、殺さないでください!」

 僕は土下座して床板に額を擦りつけた。


「そんなことで殺さんわ」

「ほ、本当ですか」

 信長様は呆れ顔をしている。


「久太郎。あれを持て」

「はっ」

 なになに? 何を持ってくるの?

「ぎゃー、刀! 殺さないと言ったじゃないですか!? ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。殺さないでください!」

「だから殺さんと言っているであろう。いい加減にせい!」

「は、はひー」

 久太郎さんは二振りの刀を持ってきた。


「関孫六と村正だ」

「おおお!」

 どうやら以前久太郎さんにお願いした刀を、信長様がプレゼントしてくれるようだ。


「領内のものは簡単に取り寄せられる。他のものは待て」

 はい、ステイして大人しく待ちますワン。


「人殺しができぬと言いながら、太刀がほしいとはの」

「刀は別腹です!」

「なんだ、それは?」

「あ、いえ、刀は美術品だと思っているのです」

「美術品か。確かに美しいと思うが、所詮は人殺しの道具よ」

 僕もそう思わないではないですが、それでも美しいのです。


「あの……」

「なんだ」

「僕なんか戦場に連れていっても足手まといですよ。歴史はある程度覚えていますが、戦術とか学んだことないですし」

「戦場で時久を頼りにはせぬ」

「では、なぜ僕を?」

「儂の軍師なのだ、共に戦場におらねば示しがつかぬであろう」

「ああ、なるほど……えーっと、僕が軍師じゃなくてもいいのではないですか?」

「もう決めたことだ」

 信長様が決めたと言ったから、僕はこれ以上この話をしなかった。だって、怖いんですもの。


「今回の戦いの後、お主は勝軍山城に入れ」

「勝軍山城……ですか? それって銀閣寺の北にある山城ですか?」

 多分だけど、北白川城などと言われることもある城だと思う。うろ覚えですけどね。


「そうだ」

「それって、宇佐山城から京へ抜ける道の押えの城ですよね」

「うむ」

「朝倉・浅井軍と比叡山の僧兵が襲ってきて危険ですよね?」

「安心せい。今改築して堅牢な城にしておる」

 全然安心できませんけど。

 まさか森さんと共に討ち死にしろと!? あんた鬼か!? あ、第六天魔王でした!?

 殺さないでくだせー。おいら、まだ二十年しか生きてないんですぅ。ううう。


「また莫迦なことを考えているようだが、三左衛門をむざむざ殺させるようなことなどせんわ」

 そこは僕の名前を出すところではないですか?


「朝倉・浅井軍と比叡山の僧どもをなで斬りにせよ」

 いや、だから僕は戦えませんから……。


「兵の指揮ができる者を与力につける」

「塀の四季?」

「違うわ!」

「ひえー」

「いい加減にせんと、本当に殺すぞ」

「ごめんなさい!」

 ザ・土下座!


「朝倉・浅井が攻めてくるのが分かっているのだ。お主にも兵を与える。そのために与力を増やすと言っているのだ」

「久太郎さん以外に与力をつけてもらえるのですか?」

 恐る恐る頭を上げて、上目遣いで信長様を見ると、面倒くささそうな表情をしていた。


「与力を幾人かつけるゆえ、好きに使え」

「それじゃあ、前田利益と山内一豊を与力にください」

 どうせなら会ってみたい武将をと、つい口が動いてしまった。


「前田は慶次郎であろう。山内は……以前伊勢守のところに山内猪之助なる者がいたが……」

「はい。猪之助は岩倉城落城の際に討ち死にした方で、その息子になります」

「相分かった。探させよう」

 おおお! 戦国ビッグネームゲットの予感!

 前田慶次郎のほうは某漫画でブレイクした武将で、山内一豊のほうは国営テレビのドラマで(夫婦で)主役張れる人なんだよね。フフフ。


 他にもどうせなら欲しい人材が何人かいるけど、あまり欲をかいたら殺されるかもしれない。

 何事もほどほどがいいのです。

 徐々にお願いしましょう。


 さて、前田慶次郎利益は、言わずと知れた傾奇者。

 この時代の人の背丈は決して大きくないが、慶次郎は六尺五寸(百九十七センチメートル)もあったと言われている。それが本当かどうか、本人を見れば分かるというものだ。


 それから苦労人の山内一豊。妻の千代さんの内助の功でも有名な人だね。戦国の世を生き抜き、尾張の守護代家の家老の家から牢人になり、土佐一国の国主になった人だ。


 この二人の名を挙げたのは、定職についてなさそうだから。

 前田慶次郎は遊び回っていそうだし、山内一豊は牢人からそろそろ仕官する頃で、仮に仕官していてもまだ重要な役にはついていないと思うから異動がさせやすいはず。



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